解説記事2019年06月17日 【税制改正解説】 令和元年度における国際課税関係の改正について(2019年6月17日号・№791)
税制改正解説
令和元年度における国際課税関係の改正について
吉田雅史
国際課税制度においては、従来、国際的二重課税の調整が重視されてきたが、経済のグローバル化が進展する中、近年、一部の多国籍企業グループが各国の税制の隙間や抜け穴を利用して租税回避を行っているとの批判が高まり、二重非課税等への対応が重要な課題となっている。国際的な租税回避等に対応し、公平な競争条件をグローバルに整えるためには、国際社会が協調し、世界経済及び企業行動の実態を踏まえた国際課税ルールの再構築に取り組む必要がある。
このような問題意識により、多国間協調による国際課税ルールの再構築を通じてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食・利益移転)に対応することを目指したOECD・G20「BEPSプロジェクト」は、15の行動を含む最終報告書を平成27年(2015年)10月に公表し、現在、合意事項の実施段階に入っている。BEPSの合意事項については、タックス・プランニングの機会をできるだけ減じるよう、その国際的に一貫した実施が重要であり、G20議長国である我が国は、これをG20の国際租税分野における重要課題の一つと位置付けている。この点は、本年6月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議における共同声明でも明記された。BEPSプロジェクトの取りまとめに当たり主導的役割を果たした我が国としては、引き続き、日本企業の健全な海外展開を支えつつ国際的租税回避に効果的に対応するため、変化する経済実態や諸外国における取組も踏まえながら、BEPSプロジェクトにおける国際合意に則った制度整備を着実に進めていく必要がある。
こうした背景の下、令和元年度税制改正においては、過大支払利子税制について、通常の経済活動に与える影響に配慮しつつ、BEPSリスクにより的確に対応できるよう、BEPSプロジェクトの最終報告書(行動4「利子控除制限ルール(Limiting Base Erosion Involving Interest Deductionsand Other Financial Payments)」)の勧告を踏まえた見直しを行っている。
具体的には、対象となる支払利子の範囲について第三者への支払利子を含めるよう拡大するほか、損金算入限度額の計算の基礎となる調整所得から国内外の受取配当益金不算入額を除外するとともに、調整所得に乗じる「基準値」を20%に引き下げる等の改正が行われた。
また、移転価格税制について、BEPSプロジェクトの最終報告書(行動8-10「移転価格税制と価値創造の一致(Aligning Transfer Pricing Outcomes with Value Creation)」)の内容及びそれらを反映したOECD移転価格ガイドラインの規定等を踏まえ、我が国の移転価格税制を国際スタンダードに合わせる等の見直しを行っている。
具体的には、独立企業間価格の算定方法としてディスカウント・キャッシュ・フロー法を加えるとともに、評価困難な無形資産取引(特定無形資産取引)に係る価格調整措置を導入する等の改正が行われている。
これらの改正を含む国際課税の改正は、次の法令により行われている。
(法律) ・所得税法等の一部を改正する法律(平成31.3.29法律第6号)
(政令) ・所得税法施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第95号)
・法人税法施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第96号)
・地方法人税法施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第97号)
・租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第102号)
・外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第103号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第104号)
(省令) ・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(平成30.12.28総務省・財務省令第7号)
・外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成31.3.29総務省・財務省令第5号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(平成31.3.29総務省・財務省令第6号)
・所得税法施行規則等の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第6号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第7号)
・租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第14号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づく租税条約に基づく認定に関する省令の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第17号)
・国税質問検査章規則の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第23号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.4.12財務省令第31号)(申告書別表関係)
・地方法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.4.12財務省令第32号)(申告書別表関係)
1 関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(過大支払利子税制)の改正
(1)対象となる純支払利子等の額 その事業年度における対象支払利子等の額(支払利子等の額のうち対象外支払利子等の額以外の金額をいう。以下同じ。)の合計額(以下「対象支払利子等合計額」という。)からこれに対応するものとして計算した受取利子等の額の合計額(以下「控除対象受取利子等合計額」という。)を控除した残額(以下「対象純支払利子等の額」という。)を本特例の対象とすることとされた(措法66の5の2①)。
(2)対象外支払利子等の額 上記の「対象外支払利子等の額」とは、次に掲げる支払利子等の区分に応じそれぞれ次に定める金額とされた(措法66の5の2②三)。
① 支払利子等を受ける者において我が国の課税対象所得に含まれる支払利子等(④に掲げる支払利子等を除く。①において同じ。) その課税対象所得に含まれる支払利子等の額
(措法66の5の2②三イ、措令39の13の2⑥)
② 一定の公共法人に対する支払利子等(④に掲げる支払利子等を除く。②において同じ。) その公共法人に対する支払利子等の額(措法66の5の2②三ロ、措令39の13の2⑦)
③ 特定債券現先取引等に係る支払利子等(②及び④に掲げる支払利子等を除く。③において同じ。) その特定債券現先取引等に係る支払利子等の額のうち一定の金額(措法66の5の2②三ハ、措令39の13の2⑧~⑪)
④ 法人が発行した債券(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く。)に係る支払利子等で非関連者に対するもの(以下「特定債券利子等」という。) 債券の銘柄ごとに次に掲げるいずれかの金額(措法66の5の2②三ニ、措令39の13の2⑫~⑭)
イ その支払若しくは交付の時に源泉徴収が行われ、又はその特定債券利子等を受ける者において我が国の課税対象所得に含まれる特定債券利子等の額と一定の公共法人に対する特定債券利子等の額との合計額
ロ 次の債券の区分に応じ計算した金額
(イ)国内において発行された債券 特定債券利子等の額の合計額の95%に相当する金額
(ロ)国外において発行された債券 特定債券利子等の額の合計額の25%に相当する金額
(3)調整所得金額 調整所得金額の計算上、受取配当等の益金不算入額及び外国子会社配当等の益金不算入額を足し戻さないこと等とされた(措令39の13の2①)。
(4)損金不算入額 その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額を超える場合には、その超える部分の金額に相当する金額は、損金の額に算入しないこととされた(措法66の5の2①)。
(5)適用免除基準 法人が次のいずれかに該当する場合には、本特例の適用はないこととされた(措法66の5の2③、措令39の13の2
~
)。
① その事業年度における対象純支払利子等の額が2,000万円以下(改正前:1,000万円以下)であること。
② 内国法人及びその内国法人との間に発行済株式等の50%超を直接又は間接に保有する等の関係のある一定の内国法人のその事業年度におけるイに掲げる金額がロに掲げる金額の20%に相当する金額を超えないこと。
イ 対象純支払利子等の額の合計額から対象純受取利子等の額(控除対象受取利子等合計額から対象支払利子等合計額を控除した残額をいう。)の合計額を控除した残額
ロ イに掲げる金額と比較するための基準すべき所得の金額として計算した金額
(6)超過利子額の損金算入 ① その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額に満たない場合において、前7年以内に開始した事業年度に本特例の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)があるときは、その対象純支払利子等の額と調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額との差額を限度として、その超過利子額に相当する金額を損金の額に算入することとされた(措法66の5の3①)。
② 上記①の損金算入について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(改正前:確定申告書等)に損金の額に算入される金額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の改正が行われた(措法66の5の3③⑧)。
(7)適用関係 ① (1)から(6)①までの改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおり(改正法附則57①)。
② (6)②の改正は令和2年4月1日以後に確定申告書等(期限後申告書を除く。以下同じ。)の提出期限が到来する法人税について適用し、同日前に確定申告書等の提出期限が到来した法人税については、従前どおり(改正法附則57②)。
※ 連結法人の関連者等に係る純支払利子等の課税の特例についても(5)②を除き同様の改正が行われた。
2 国外関連者との取引に係る課税の特例(移転価格税制)の改正
(1)価格算定方法の整備 独立企業間価格の算定方法として、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を追加することとされた(措令39の12⑧六)。
(2)特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の創設 特定無形資産に係る国外関連取引(以下「特定無形資産国外関連取引」という。)について、その特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定するための前提となった事項についてその内容と相違する事実が判明した場合には、税務署長は、その特定無形資産国外関連取引の内容及びその特定無形資産国外関連取引の当事者が果たす機能その他の事情(その相違する事実及びその相違することとなった事由の発生の可能性(客観的事実に基づき、通常用いられる方法により計算されたものに限る。)を含む。)を勘案して、その特定無形資産国外関連取引に係る最も適切な方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができることとされた。
ただし、上記により算定した金額と特定無形資産国外関連取引の対価の額との乖離が20%を超えていない等の場合は、本価格調整措置は適用されない(措法66の4⑧~⑪、措令39の12⑭~⑱、措規22の10⑩)。
(3)移転価格税制における無形資産の定義 移転価格税制における無形資産は、有形資産及び金融資産以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の額が支払われるべきものとすることとされた(措法66の4⑦二、措令39の12⑬、措規22の10⑨)。
(4)移転価格税制に係る更正期間制限の特例等 移転価格税制における更正決定等の期間制限を7年(改正前:6年)に延長するとともに、移転価格税制の適用に係る更正の請求期間及び国税の徴収権の消滅時効についても7年(改正前:6年)へと延長することとされた(措法66の4
~
)。
(5)差異調整方法の見直し 比較対象取引に係る利益率等の割合を参照する独立企業間価格の算定方法に係る差異調整について、国外関連取引と比較対象取引との間の差異(以下「調整対象差異」という。)により生ずる割合の差について必要な調整を加えることができない場合であっても、その割合の差を定量的に把握することが困難な差異が、その差異以外の調整対象差異につき必要な調整を加えるものとした場合に計算される割合に及ぼす影響が軽微と認められるときには、統計的手法(いわゆる四分位法)を用いた差異調整により算出した割合を用いて独立企業間価格を算定することができることとされた(措令39の12⑥~⑧、措規22の10②~⑤)。
(6)推定課税制度の見直し 独立企業間価格の算定方法にDCF法が追加されたことに伴い、推定課税における独立企業間価格の算定方法においてもDCF法に対応する方法が追加されるとともに、特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の創設に伴い、本価格調整措置により独立企業間価格とみなされる金額を算定するために必要な価格算定文書の提出がない場合等にも推定課税規定を適用することができることとする等の所要の措置が講じられた(措法66の4⑫~⑮、措令39の12⑳、措規22の10⑪⑫)。
(7)関連制度の見直し 連結納税制度における移転価格税制、外国法人等の内部取引に係る課税の特例及び内国法人等の国外所得金額の計算の特例について、上記(1)から(6)までと同様の改正が行われた(措法40の3の3、41の19の5、66の4の3、67の18、68の88、68の107の2、措令25の18の3、26の28の7、39の12の3、39の33の5、39の112、39の126の4、措規18の19の3、19の11の5、22の10の3、22の19の4、22の74、22の82)。
(8)適用関係 ①(1)及び(3)から(6)の改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおり(改正法附則56①)。
②(2)の改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用(改正法附則56②)。
③(7)の改正は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税若しくは連結事業年度分の法人税又は令和3年分以後の所得税について適用し、同日前に開始した事業年度分の法人税若しくは連結事業年度分の法人税又は令和2年分以前の所得税については、従前どおり(改正法附則42、45、56③、61、73、77)。
3 外国関係会社に係る所得等の課税の特例の改正
(1)制度の適用を受ける内国法人(納税義務者) 内国法人がその内国法人との間に実質支配関係がある被支配外国法人を通じて外国関係会社の持分を有する場合には、同族株主グループに属する内国法人に係る外国関係会社に係る持株割合が零を超えるものに限る要件について、その内国法人に係る被支配外国法人のその外国関係会社に係る持分割合が零を超えるかどうかによって判定されることとされた(措法66の6①四)。
(2)会社単位の合算課税制度 ① 特定外国関係会社
イ ペーパー・カンパニーの判定における保険特例の改正
特定保険外国子会社等及び特定保険協議者並びに特定保険委託者及び特定保険受託者に係る一の内国法人による100%保有要件について、一の内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)及びその一の内国法人との間に特定資本関係のある内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている外国関係会社であるという旨の要件に見直す等の改正が行われた(措令39の14の3①~③)。
ロ ペーパー・カンパニーの範囲の改正
次の外国関係会社について、ペーパー・カンパニーに該当しないこととされた。
(イ)外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(3)、措令39の14の3⑤⑥、措規22の11②~④)
(ロ)特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする等の外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること、その管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額及びその株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(4)、措令39の14の3⑦⑧、措規22の11⑤~⑧)
(ハ)その本店所在地国にある不動産の保有、その本店所在地国における石油その他の天然資源の探鉱、開発若しくは採取又はその本店所在地国の社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている等の外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(5)、措令39の14の3⑨、措規22の11⑨~⑱)
ハ キャッシュ・ボックスの範囲の改正
キャッシュ・ボックスの範囲に次のいずれにも該当する外国関係会社が追加された(措法66の6②二ハ、措令39の14の3⑫~⑯)。
(イ)各事業年度の非関連者等収入保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満であること。
(ロ)各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額の関連者等収入保険料の合計額に対する割合が50%未満であること。
② 対象外国関係会社
イ 実体基準・管理支配基準
保険特例の対象となる外国関係会社の実体基準及び管理支配基準の判定について、上記①イと同様に、それぞれ改正後の範囲による特定保険外国子会社等、特定保険協議者、特定保険委託者及び特定保険受託者により判定されることとされた(措令39の14の3
)。
ロ 非関連者基準
保険業を主たる事業とする外国関係会社に係る非関連者基準の適用について、一定の要件を満たす再保険取引に係る再保険料に限り、関連者から収入する保険料に該当しないこととする等の改正が行われた(措令39の14の3
五旧⑲)。
③ 基準所得金額
現地法令基準による基準所得金額の計算方法について、本店所在地国の法令の規定のうち企業集団等所得課税規定を適用しないものとして計算することとする等の改正が行われた(措令39の15②)。
④ 適用対象金額
適用対象金額の計算における繰越欠損金額の計算及び納付法人所得税の額について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措令39の15⑤~⑦)。
(3)部分合算課税制度 ① デリバティブ取引損益
仮想通貨の価額の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させるために行われるデリバティブ取引に係る損益について、部分合算課税の対象から除外することとされた(措規22の11
)。
② 保険所得
イに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額について、部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く。)に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に追加された(措法66の6⑥七の二、措令39の17の3⑰⑱)。
イ 収入保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額
ロ 支払保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額
③ 異常所得
異常所得の計算上ないものとして計算される受動的所得の所得類型の金額に保険所得を追加する整備が行われた(措法66の6⑥十一チ)。
(4)外国金融子会社等に係る部分合算課税制度 外国金融機関に含むものとされている部分対象外国関係会社に係る通常必要業務従事要件について、上記(2)①イの改正に伴う規定の整備が行われた(措令39の17②)。
(5)租税負担割合の計算 ① 所得の金額
無税国に所在する外国関係会社以外の外国関係会社に係る所得の金額の計算について、上記(2)③の基準所得金額の計算の改正と同様に、本店所在地国の法令の規定のうち企業集団等所得課税規定を適用しないものとして計算する等の改正が行われた(措令39の17の2②一イ)。
② 租税の額
租税の額について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措令39の17の2②二三)。
(6)添付対象外国関係会社に係る財務諸表等の添付 内国法人が確定申告書に添付すべき添付対象外国関係会社に係る書類について、企業集団等所得課税規定の適用がないものとした場合に計算される法人所得税の額に関する計算の明細を記載した書類及びその法人所得税の額に関する計算の基礎となる書類で各事業年度に係るものが追加された(措規22の11
)。
(7)二重課税調整 ① 外国子会社合算税制の適用に係る外国税額の控除
外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人が、その内国法人に係る外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち、納付する控除対象外国法人税の額とみなされる金額等について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措法66の7①②、措令39の18①~③⑯⑰)。
② 外国関係会社からの配当等に係る二重課税調整の適用要件
内国法人が合算課税の対象となった外国関係会社から受ける剰余金の配当等に係る二重課税調整について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(改正前:確定申告書等)に益金の額に算入されない剰余金の配当等の額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の改正が行われた(措法66の8⑭旧⑮)。
(8)居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例の改正 居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例と同様の改正が行われた(措法40の4、40の5、措令25の19、25の19の3、25の20、25の22の2、25の22の3、措規18の20)。
(9)特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(コーポレート・インバージョン対策合算税制)の改正 特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について、外国子会社合算税制と同様の改正が行われた(措法40の7、40の8、66の9の2~66の9の4、措令25の25~25の27、39の20の2~39の20の4、39の20の7、措規18の20の2、22の11の2)。
(10)適用関係 ① (1)、(2)(①ハを除く。)、(4)及び(5)の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度に係る課税対象金額等(課税対象金額、部分課税対象金額及び金融子会社等部分課税対象金額をいい、その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)を計算する場合について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度に係る課税対象金額、部分課税対象金額及び金融子会社等部分課税対象金額を計算する場合については、従前どおり(改正法附則58①、改正措令附則26)。
② (2)①ハ及び(3)の改正は、外国関係会社の平成31年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額について適用し、外国関係会社の同日前に開始した事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額については、従前どおり(改正法附則58②、改正措規附則12①)。
③ (6)の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度に係る書類(その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度に係る書類については、従前どおり(改正措規附則12②)。
④ (7)①の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度の課税対象金額等(課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額をいい、その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)に係る外国法人税の額について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度の課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額に係る外国法人税の額については、従前どおり(改正法附則58③)。
⑤ (7)②の改正は、平成31年4月1日以後に確定申告書等(期限後申告書を除く。以下同じ。)の提出期限が到来する法人税について適用し、同日前に確定申告書等の提出期限が到来した法人税については、従前どおり(改正法附則58④)。
⑥ (8)の改正については、内国法人についての特例と同様の適用関係(改正法附則28、43①②、改正措令附則12、改正措規附則7①②)。
⑦ (9)の改正については、外国子会社合算税制と同様の適用関係(改正法附則28、43③④、58⑤~⑦、改正措令附則13、27、改正措規附則7③、12③)。
※ 連結法人の外国関係会社に係る所得等の課税の特例についても(1)から(7)まで及び(9)と同様の改正が行われた。
4 令和2年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例の創設
(1)令和2年に開催される東京オリンピック競技大会若しくは東京パラリンピック競技大会((1)において「大会」という。)に参加をし、又は大会関連業務(大会の円滑な準備又は運営に関する業務をいう。(2)及び(3)において同じ。)に係る勤務その他の人的役務の提供を行う一定の非居住者の一定の国内源泉所得(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間におけるその参加又はその提供に係るものに限る。)については、所得税を課さないこととされた(措法41の23①②④、措令26の33①②④、措規19の14の2)。
(2)大会関連業務を行う一定の外国法人が支払を受ける一定の使用料(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間において行われる一定の業務に係るものに限る。)については、所得税を課さないこととされた(措法41の23③、措令26の33③④)。
(3)恒久的施設を有する外国法人のうち、大会関連業務を行う一定の外国法人の平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間に開始する各事業年度の一定の恒久的施設帰属所得については、法人税を課さないこととされた(措法67の16の2、措令39の33の3、措規22の19の3の2)。
(4)適用関係 平成31年4月1日から施行(改正法附則1)。
5 台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度等の整備
(1)台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度の整備 ① 報告金融機関等は、その年の12月31日において、その報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行った者が報告対象契約を締結している場合には、その報告対象契約ごとに、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地及び特定居住地国、その報告対象契約に係る資産の価額、その資産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他一定の事項((1)において「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等の記録用の媒体を提出する方法により、その報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならないこととされた(相互免除法41の2①②⑤、相互免除令33の2①、相互免除規21)。
② 報告金融機関等は、上記①により報告事項の提供を行った場合には、その報告事項に関する事項等一定の事項に関する記録を文書等により作成し、保存しなければならないこととされた(相互免除法41の2③④、相互免除規21②)。
③ 税務職員は、報告事項の提供に関する調査について必要があるときは、その報告事項の提供をする義務がある者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又はその物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができることとされた(相互免除法41の2⑥~⑩、相互免除令33の2②)。
④ 報告事項の提供義務に対する違反行為等について所要の罰則を規定することとされた(相互免除法47)。
(2)国別報告事項の提供制度の整備 特定多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供制度について、子会社方式の適用に係る最終親会社等の居住地国に台湾が追加された(措令39の12の4①)。
(3)適用関係 ① (1)①から③までの改正は、平成31年4月1日から施行(改正法附則1、改正相互免除令附則①、改正相互免除規附則)。
② (1)④の改正は、平成31年4月1日以後にした違反行為について適用(改正法附則1、115)。
③ (2)の改正は、平成31年4月1日以後に開始する最終親会計年度に係る国別報告事項について適用し、同日前に開始した最終親会計年度に係る国別報告事項については、従前どおり(改正措令附則24)。
6 その他の国際課税の改正
(1)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の改正 ① 非課税の対象となる債券現先取引の範囲の拡充
非課税の対象となる債券現先取引の範囲に、一定の特定金融機関等との間で行われる外国債券を用いて行う債券現先取引で一定の要件を満たすものを加えることとされた(措法42の2③、67の17⑨、措令27の2⑨四ロ⑪⑫、措規19の15⑦⑧)。
② 所得税の非課税の対象となる利子の範囲の拡充
外国投資信託の受託者である特定外国法人がその外国投資信託の信託財産につき支払を受ける債券現先取引に係る利子については、その外国投資信託が適格外国証券投資信託である場合に限り、一定の要件の下に、所得税の非課税の対象とすることとされた(措法42の2④⑤⑩、措令27の2⑳
、措規19の15⑩⑫⑯⑱
)。
③ 適用期限の延長
本措置の適用期限を2年延長することとされた(措法42の2③、67の17⑨)。
(2)振替社債等の利子等の課税の特例等の改正 ① 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権に該当するものの剰余金の配当等の非課税措置について、その適用期限を3年延長することとされた(措法5の3④七ホ)。
② 特定地方公共団体との間に完全支配関係がある法人の発行する振替社債等に関する特例は、適用期限の到来をもって廃止することとされた(旧震災税特法10)。
(3)集団投資信託の収益の分配等に係る二重課税調整の改正 集団投資信託の収益の分配に係る源泉徴収所得税の額から控除することとされている集団投資信託の信託財産について納付した所得税の額がその所得税の課せられた収益を分配するとしたならばその収益の分配につき源泉徴収所得税を課されるべきこととなるものに対応する部分(特別分配金のみに対応する部分を除く。)の額に限ることとされるなど、受託者が内国法人である場合の信託財産に係る利子等の課税の特例における改正と同様の改正を行うこととされた(所法180の2③、所令306の2②⑦)。
(4)特定目的会社の利益の配当等に係る源泉徴収等の特例の改正 特定目的会社の利益の配当等に係る源泉徴収所得税の額から控除する控除外国法人税の額は、その特定目的会社が納付した外国法人税の額のうち、支払を受ける利益の配当等の額に対応する部分の額を限度として、その支払を受ける者ごとに計算した金額の合計額とすることとされた(措令4の9①②、措規5の4の2①②)。
(5)組織再編税制の見直しへの対応 ① 非居住者株主が合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上することとされた(措法37の14の3①~④⑥⑧、措令25の14②~④⑩⑫)。
② 企業グループ内の一定の内国法人間で行われる合併等のうち、合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式を対価とするものは、適格要件を満たさないこととされた(措法68の2の3①~③⑤)。
③ 個人又は法人が、適格合併等に該当しない合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上することとされた(措法37の14の4①~③⑤、68の3①~③措令25の14の2、39の35②④)。
(6)外国税額控除の改正 ① 外国税額控除の対象とならない外国法人税
の額について、内国法人に対する配当等の支払があったものとみなして課される一定の外国法人税の額が追加された(法令142の2⑦五)。
② 個人の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる調整国外所得金額の見直し
イ 年の中途において非居住者から非永住者となった場合の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる調整国外所得金額について、純損失の繰越控除又は雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合の非永住者期間内において生じた国外所得金額のうち、国内において支払われ、又は国外から送金された国外源泉所得に係る部分に限ることとされた(所令258④一ロ)。
ロ 上場株式等の譲渡損失の繰越控除の適用がある場合の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる「上場株式等に係る配当所得等の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額に係る国外所得金額」等について、上場株式等の譲渡損失の繰越控除等を適用しないで計算した場合の国外所得金額とすることとされた(措令25の11の2⑳、25の12の2
、26の26⑪)。
(7)租税条約の実施のための国内法の整備 ① 相手国等転出時課税の規定の適用を受けた場合の所得税の課税の特例の創設
相手国等の相手国等転出時課税の規定の適用を受けた居住者が、その適用に係る資産又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済をした場合において、その相手国等との間の租税条約の規定においてその譲渡又は決済による所得について課する所得税の課税標準又は所得税の額の計算に当たってその適用を受けたことを考慮するものとされているときは、その資産又は未決済デリバティブ取引等に係る事業所得の金額等の計算については、その相手国等転出時課税の規定により課される外国所得税の額の計算において収入金額に算入することとされた金額をその資産の取得に要した金額とし、又は未決済デリバティブ取引等の決済損益額からその外国所得税の額の計算において算出された利益の額の減算等をすることとされた(実特法5の2、実特令4の2)。
② 配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等の改正
イ 相手国居住者等配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例の対象となる配当等の範囲に、譲渡収益(資産の譲渡により生ずる収益で所得税法の施行地にその源泉があるものをいい、配当等に含まれるものを除く。)を加えることとされた(実特法3の2①②、実特規1五、2①五ヘ)。
ロ 両国で課税上の取扱いが異なる事業体に対する租税条約の適用に関する措置の対象となる相手国居住者等配当等の範囲は、相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定においてその相手国居住者等の所得として取り扱われる範囲とするとともに、本措置の対象となる相手国団体配当等、第三国団体配当等、特定配当等その他の一定の所得の範囲について所要の改正を行うこととされた(実特法3の2①③⑤⑦⑨)。
③ 国際運輸の用に供される船舶又は航空機において行う勤務により受ける給与に対する租税条約の適用手続に関する規定を整備することとされた(実特規4④⑤)。
④ 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度における「報告対象国」の範囲に、5か国・地域を加えることとされた(実特規別表六・七・二十六・五十三・五十九)。
(8)外国普通法人となった旨の届出書等に関する改正 外国普通法人となった旨の届出書について、定款等の和訳文以外の書類の添付が不要とされ、収益事業開始届出書について、人格のない社団等である外国法人が新たに国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における貸借対照表以外の書類の添付が不要とされた(法法149①②、法規64、65③④)。
(9)適用関係 ① (1)①の改正は、特定外国法人が平成31年4月1日以後に開始する外国債券に係る特定債券現先取引につき支払を受ける利子及び差益について適用(改正法附則47①、60)。
② (1)②の改正は、適格外国証券投資信託の受託者である特定外国法人が平成31年4月1日以後に開始する振替国債等に係る特定債券現先取引につき支払を受ける利子について適用(改正法附則47②)。
③ (2)②の改正は、平成31年4月1日前に発行された振替社債等については、従前どおり(改正法附則87)。
④ (3)の改正は、令和2年1月1日以後に支払われる収益の分配について適用し、同日前に支払われた収益の分配については従前どおり(改正法附則9②)。
⑤ (4)の改正は、令和2年1月1日から施行(改正措令附則1四)。
⑥ (5)①及び③の改正は、平成31年4月1日以後に合併、分割又は株式交換が行われる場合について適用し、同日前に合併、分割又は株式交換が行われた場合については従前どおり(改正法附則39、64)。
⑦ (5)②の改正は、平成31年4月1日以後に行われる合併、分割又は株式交換について適用し、同日前に行われた合併、分割又は株式交換については従前どおり(改正法附則63)。
⑧ (6)①の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、内国法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおり(改正法令附則12)。
⑨ (6)②イの改正は、令和2年分以後の所得税について適用し、令和元年(平成31年)分以前の所得税については、従前どおり(改正所令附則5)。
⑩ (6)②ロの改正は、令和元年(平成31年)分以後の所得税について適用し、平成30年分以前の所得税については、従前どおり(改正法附則7①、8①、15)。
⑪ (7)①の改正は、居住者が平成31年4月1日以後に譲渡又は決済をする資産又は未決済デリバティブ取引等について適用(改正法附則85⑤)。
⑫ (7)②の改正は、平成31年4月1日以後に相手国居住者等、外国法人、非居住者、居住者又は内国法人が支払を受けるべき相手国居住者等配当等、相手国団体配当等、第三国団体配当等又は特定配当等について適用され、相手国居住者等、外国法人、非居住者、居住者又は内国法人が同日前に支払を受けるべき相手国居住者等配当等、相手国団体配当等、第三国団体配当等又は特定配当等については、従前どおり(改正法附則85②)。
⑬ (7)③の改正は、平成31年4月1日から施行(改正実特規附則①)。
⑭ (7)④の改正は、平成30年12月28日から施行(平成30年12月改正実特規附則)。
⑮ (8)の改正は、平成31年4月1日以後に提出する届出書について適用し、同日前に提出した届出書については、従前どおり(改正法附則22②、改正法規附則5)。
令和元年度における国際課税関係の改正について
吉田雅史
国際課税制度においては、従来、国際的二重課税の調整が重視されてきたが、経済のグローバル化が進展する中、近年、一部の多国籍企業グループが各国の税制の隙間や抜け穴を利用して租税回避を行っているとの批判が高まり、二重非課税等への対応が重要な課題となっている。国際的な租税回避等に対応し、公平な競争条件をグローバルに整えるためには、国際社会が協調し、世界経済及び企業行動の実態を踏まえた国際課税ルールの再構築に取り組む必要がある。
このような問題意識により、多国間協調による国際課税ルールの再構築を通じてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食・利益移転)に対応することを目指したOECD・G20「BEPSプロジェクト」は、15の行動を含む最終報告書を平成27年(2015年)10月に公表し、現在、合意事項の実施段階に入っている。BEPSの合意事項については、タックス・プランニングの機会をできるだけ減じるよう、その国際的に一貫した実施が重要であり、G20議長国である我が国は、これをG20の国際租税分野における重要課題の一つと位置付けている。この点は、本年6月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議における共同声明でも明記された。BEPSプロジェクトの取りまとめに当たり主導的役割を果たした我が国としては、引き続き、日本企業の健全な海外展開を支えつつ国際的租税回避に効果的に対応するため、変化する経済実態や諸外国における取組も踏まえながら、BEPSプロジェクトにおける国際合意に則った制度整備を着実に進めていく必要がある。
こうした背景の下、令和元年度税制改正においては、過大支払利子税制について、通常の経済活動に与える影響に配慮しつつ、BEPSリスクにより的確に対応できるよう、BEPSプロジェクトの最終報告書(行動4「利子控除制限ルール(Limiting Base Erosion Involving Interest Deductionsand Other Financial Payments)」)の勧告を踏まえた見直しを行っている。
具体的には、対象となる支払利子の範囲について第三者への支払利子を含めるよう拡大するほか、損金算入限度額の計算の基礎となる調整所得から国内外の受取配当益金不算入額を除外するとともに、調整所得に乗じる「基準値」を20%に引き下げる等の改正が行われた。
また、移転価格税制について、BEPSプロジェクトの最終報告書(行動8-10「移転価格税制と価値創造の一致(Aligning Transfer Pricing Outcomes with Value Creation)」)の内容及びそれらを反映したOECD移転価格ガイドラインの規定等を踏まえ、我が国の移転価格税制を国際スタンダードに合わせる等の見直しを行っている。
具体的には、独立企業間価格の算定方法としてディスカウント・キャッシュ・フロー法を加えるとともに、評価困難な無形資産取引(特定無形資産取引)に係る価格調整措置を導入する等の改正が行われている。
これらの改正を含む国際課税の改正は、次の法令により行われている。
(法律) ・所得税法等の一部を改正する法律(平成31.3.29法律第6号)
(政令) ・所得税法施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第95号)
・法人税法施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第96号)
・地方法人税法施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第97号)
・租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第102号)
・外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第103号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成31.3.29政令第104号)
(省令) ・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(平成30.12.28総務省・財務省令第7号)
・外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成31.3.29総務省・財務省令第5号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(平成31.3.29総務省・財務省令第6号)
・所得税法施行規則等の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第6号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第7号)
・租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第14号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づく租税条約に基づく認定に関する省令の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第17号)
・国税質問検査章規則の一部を改正する省令(平成31.3.29財務省令第23号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.4.12財務省令第31号)(申告書別表関係)
・地方法人税法施行規則の一部を改正する省令(平成31.4.12財務省令第32号)(申告書別表関係)
1 関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(過大支払利子税制)の改正
(1)対象となる純支払利子等の額 その事業年度における対象支払利子等の額(支払利子等の額のうち対象外支払利子等の額以外の金額をいう。以下同じ。)の合計額(以下「対象支払利子等合計額」という。)からこれに対応するものとして計算した受取利子等の額の合計額(以下「控除対象受取利子等合計額」という。)を控除した残額(以下「対象純支払利子等の額」という。)を本特例の対象とすることとされた(措法66の5の2①)。
(2)対象外支払利子等の額 上記の「対象外支払利子等の額」とは、次に掲げる支払利子等の区分に応じそれぞれ次に定める金額とされた(措法66の5の2②三)。
① 支払利子等を受ける者において我が国の課税対象所得に含まれる支払利子等(④に掲げる支払利子等を除く。①において同じ。) その課税対象所得に含まれる支払利子等の額
(措法66の5の2②三イ、措令39の13の2⑥)
② 一定の公共法人に対する支払利子等(④に掲げる支払利子等を除く。②において同じ。) その公共法人に対する支払利子等の額(措法66の5の2②三ロ、措令39の13の2⑦)
③ 特定債券現先取引等に係る支払利子等(②及び④に掲げる支払利子等を除く。③において同じ。) その特定債券現先取引等に係る支払利子等の額のうち一定の金額(措法66の5の2②三ハ、措令39の13の2⑧~⑪)
④ 法人が発行した債券(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く。)に係る支払利子等で非関連者に対するもの(以下「特定債券利子等」という。) 債券の銘柄ごとに次に掲げるいずれかの金額(措法66の5の2②三ニ、措令39の13の2⑫~⑭)
イ その支払若しくは交付の時に源泉徴収が行われ、又はその特定債券利子等を受ける者において我が国の課税対象所得に含まれる特定債券利子等の額と一定の公共法人に対する特定債券利子等の額との合計額
ロ 次の債券の区分に応じ計算した金額
(イ)国内において発行された債券 特定債券利子等の額の合計額の95%に相当する金額
(ロ)国外において発行された債券 特定債券利子等の額の合計額の25%に相当する金額
(3)調整所得金額 調整所得金額の計算上、受取配当等の益金不算入額及び外国子会社配当等の益金不算入額を足し戻さないこと等とされた(措令39の13の2①)。
(4)損金不算入額 その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額を超える場合には、その超える部分の金額に相当する金額は、損金の額に算入しないこととされた(措法66の5の2①)。
(5)適用免除基準 法人が次のいずれかに該当する場合には、本特例の適用はないこととされた(措法66の5の2③、措令39の13の2


① その事業年度における対象純支払利子等の額が2,000万円以下(改正前:1,000万円以下)であること。
② 内国法人及びその内国法人との間に発行済株式等の50%超を直接又は間接に保有する等の関係のある一定の内国法人のその事業年度におけるイに掲げる金額がロに掲げる金額の20%に相当する金額を超えないこと。
イ 対象純支払利子等の額の合計額から対象純受取利子等の額(控除対象受取利子等合計額から対象支払利子等合計額を控除した残額をいう。)の合計額を控除した残額
ロ イに掲げる金額と比較するための基準すべき所得の金額として計算した金額
(6)超過利子額の損金算入 ① その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額に満たない場合において、前7年以内に開始した事業年度に本特例の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)があるときは、その対象純支払利子等の額と調整所得金額の20%(改正前:50%)に相当する金額との差額を限度として、その超過利子額に相当する金額を損金の額に算入することとされた(措法66の5の3①)。
② 上記①の損金算入について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(改正前:確定申告書等)に損金の額に算入される金額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の改正が行われた(措法66の5の3③⑧)。
(7)適用関係 ① (1)から(6)①までの改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおり(改正法附則57①)。
② (6)②の改正は令和2年4月1日以後に確定申告書等(期限後申告書を除く。以下同じ。)の提出期限が到来する法人税について適用し、同日前に確定申告書等の提出期限が到来した法人税については、従前どおり(改正法附則57②)。
※ 連結法人の関連者等に係る純支払利子等の課税の特例についても(5)②を除き同様の改正が行われた。
2 国外関連者との取引に係る課税の特例(移転価格税制)の改正
(1)価格算定方法の整備 独立企業間価格の算定方法として、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を追加することとされた(措令39の12⑧六)。
(2)特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の創設 特定無形資産に係る国外関連取引(以下「特定無形資産国外関連取引」という。)について、その特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定するための前提となった事項についてその内容と相違する事実が判明した場合には、税務署長は、その特定無形資産国外関連取引の内容及びその特定無形資産国外関連取引の当事者が果たす機能その他の事情(その相違する事実及びその相違することとなった事由の発生の可能性(客観的事実に基づき、通常用いられる方法により計算されたものに限る。)を含む。)を勘案して、その特定無形資産国外関連取引に係る最も適切な方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができることとされた。
ただし、上記により算定した金額と特定無形資産国外関連取引の対価の額との乖離が20%を超えていない等の場合は、本価格調整措置は適用されない(措法66の4⑧~⑪、措令39の12⑭~⑱、措規22の10⑩)。
(3)移転価格税制における無形資産の定義 移転価格税制における無形資産は、有形資産及び金融資産以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の額が支払われるべきものとすることとされた(措法66の4⑦二、措令39の12⑬、措規22の10⑨)。
(4)移転価格税制に係る更正期間制限の特例等 移転価格税制における更正決定等の期間制限を7年(改正前:6年)に延長するとともに、移転価格税制の適用に係る更正の請求期間及び国税の徴収権の消滅時効についても7年(改正前:6年)へと延長することとされた(措法66の4


(5)差異調整方法の見直し 比較対象取引に係る利益率等の割合を参照する独立企業間価格の算定方法に係る差異調整について、国外関連取引と比較対象取引との間の差異(以下「調整対象差異」という。)により生ずる割合の差について必要な調整を加えることができない場合であっても、その割合の差を定量的に把握することが困難な差異が、その差異以外の調整対象差異につき必要な調整を加えるものとした場合に計算される割合に及ぼす影響が軽微と認められるときには、統計的手法(いわゆる四分位法)を用いた差異調整により算出した割合を用いて独立企業間価格を算定することができることとされた(措令39の12⑥~⑧、措規22の10②~⑤)。
(6)推定課税制度の見直し 独立企業間価格の算定方法にDCF法が追加されたことに伴い、推定課税における独立企業間価格の算定方法においてもDCF法に対応する方法が追加されるとともに、特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の創設に伴い、本価格調整措置により独立企業間価格とみなされる金額を算定するために必要な価格算定文書の提出がない場合等にも推定課税規定を適用することができることとする等の所要の措置が講じられた(措法66の4⑫~⑮、措令39の12⑳、措規22の10⑪⑫)。
(7)関連制度の見直し 連結納税制度における移転価格税制、外国法人等の内部取引に係る課税の特例及び内国法人等の国外所得金額の計算の特例について、上記(1)から(6)までと同様の改正が行われた(措法40の3の3、41の19の5、66の4の3、67の18、68の88、68の107の2、措令25の18の3、26の28の7、39の12の3、39の33の5、39の112、39の126の4、措規18の19の3、19の11の5、22の10の3、22の19の4、22の74、22の82)。
(8)適用関係 ①(1)及び(3)から(6)の改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおり(改正法附則56①)。
②(2)の改正は、法人の令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用(改正法附則56②)。
③(7)の改正は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税若しくは連結事業年度分の法人税又は令和3年分以後の所得税について適用し、同日前に開始した事業年度分の法人税若しくは連結事業年度分の法人税又は令和2年分以前の所得税については、従前どおり(改正法附則42、45、56③、61、73、77)。
3 外国関係会社に係る所得等の課税の特例の改正
(1)制度の適用を受ける内国法人(納税義務者) 内国法人がその内国法人との間に実質支配関係がある被支配外国法人を通じて外国関係会社の持分を有する場合には、同族株主グループに属する内国法人に係る外国関係会社に係る持株割合が零を超えるものに限る要件について、その内国法人に係る被支配外国法人のその外国関係会社に係る持分割合が零を超えるかどうかによって判定されることとされた(措法66の6①四)。
(2)会社単位の合算課税制度 ① 特定外国関係会社
イ ペーパー・カンパニーの判定における保険特例の改正
特定保険外国子会社等及び特定保険協議者並びに特定保険委託者及び特定保険受託者に係る一の内国法人による100%保有要件について、一の内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)及びその一の内国法人との間に特定資本関係のある内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている外国関係会社であるという旨の要件に見直す等の改正が行われた(措令39の14の3①~③)。
ロ ペーパー・カンパニーの範囲の改正
次の外国関係会社について、ペーパー・カンパニーに該当しないこととされた。
(イ)外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(3)、措令39の14の3⑤⑥、措規22の11②~④)
(ロ)特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする等の外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること、その管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額及びその株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(4)、措令39の14の3⑦⑧、措規22の11⑤~⑧)
(ハ)その本店所在地国にある不動産の保有、その本店所在地国における石油その他の天然資源の探鉱、開発若しくは採取又はその本店所在地国の社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている等の外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること等の一定の要件に該当するもの(措法66の6②二イ(5)、措令39の14の3⑨、措規22の11⑨~⑱)
ハ キャッシュ・ボックスの範囲の改正
キャッシュ・ボックスの範囲に次のいずれにも該当する外国関係会社が追加された(措法66の6②二ハ、措令39の14の3⑫~⑯)。
(イ)各事業年度の非関連者等収入保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満であること。
(ロ)各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額の関連者等収入保険料の合計額に対する割合が50%未満であること。
② 対象外国関係会社
イ 実体基準・管理支配基準
保険特例の対象となる外国関係会社の実体基準及び管理支配基準の判定について、上記①イと同様に、それぞれ改正後の範囲による特定保険外国子会社等、特定保険協議者、特定保険委託者及び特定保険受託者により判定されることとされた(措令39の14の3


ロ 非関連者基準
保険業を主たる事業とする外国関係会社に係る非関連者基準の適用について、一定の要件を満たす再保険取引に係る再保険料に限り、関連者から収入する保険料に該当しないこととする等の改正が行われた(措令39の14の3

③ 基準所得金額
現地法令基準による基準所得金額の計算方法について、本店所在地国の法令の規定のうち企業集団等所得課税規定を適用しないものとして計算することとする等の改正が行われた(措令39の15②)。
④ 適用対象金額
適用対象金額の計算における繰越欠損金額の計算及び納付法人所得税の額について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措令39の15⑤~⑦)。
(3)部分合算課税制度 ① デリバティブ取引損益
仮想通貨の価額の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させるために行われるデリバティブ取引に係る損益について、部分合算課税の対象から除外することとされた(措規22の11


② 保険所得
イに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額について、部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く。)に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に追加された(措法66の6⑥七の二、措令39の17の3⑰⑱)。
イ 収入保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額
ロ 支払保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額
③ 異常所得
異常所得の計算上ないものとして計算される受動的所得の所得類型の金額に保険所得を追加する整備が行われた(措法66の6⑥十一チ)。
(4)外国金融子会社等に係る部分合算課税制度 外国金融機関に含むものとされている部分対象外国関係会社に係る通常必要業務従事要件について、上記(2)①イの改正に伴う規定の整備が行われた(措令39の17②)。
(5)租税負担割合の計算 ① 所得の金額
無税国に所在する外国関係会社以外の外国関係会社に係る所得の金額の計算について、上記(2)③の基準所得金額の計算の改正と同様に、本店所在地国の法令の規定のうち企業集団等所得課税規定を適用しないものとして計算する等の改正が行われた(措令39の17の2②一イ)。
② 租税の額
租税の額について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措令39の17の2②二三)。
(6)添付対象外国関係会社に係る財務諸表等の添付 内国法人が確定申告書に添付すべき添付対象外国関係会社に係る書類について、企業集団等所得課税規定の適用がないものとした場合に計算される法人所得税の額に関する計算の明細を記載した書類及びその法人所得税の額に関する計算の基礎となる書類で各事業年度に係るものが追加された(措規22の11

(7)二重課税調整 ① 外国子会社合算税制の適用に係る外国税額の控除
外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人が、その内国法人に係る外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち、納付する控除対象外国法人税の額とみなされる金額等について、企業集団等所得課税規定に対応した改正が行われた(措法66の7①②、措令39の18①~③⑯⑰)。
② 外国関係会社からの配当等に係る二重課税調整の適用要件
内国法人が合算課税の対象となった外国関係会社から受ける剰余金の配当等に係る二重課税調整について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(改正前:確定申告書等)に益金の額に算入されない剰余金の配当等の額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の改正が行われた(措法66の8⑭旧⑮)。
(8)居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例の改正 居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例と同様の改正が行われた(措法40の4、40の5、措令25の19、25の19の3、25の20、25の22の2、25の22の3、措規18の20)。
(9)特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(コーポレート・インバージョン対策合算税制)の改正 特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について、外国子会社合算税制と同様の改正が行われた(措法40の7、40の8、66の9の2~66の9の4、措令25の25~25の27、39の20の2~39の20の4、39の20の7、措規18の20の2、22の11の2)。
(10)適用関係 ① (1)、(2)(①ハを除く。)、(4)及び(5)の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度に係る課税対象金額等(課税対象金額、部分課税対象金額及び金融子会社等部分課税対象金額をいい、その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)を計算する場合について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度に係る課税対象金額、部分課税対象金額及び金融子会社等部分課税対象金額を計算する場合については、従前どおり(改正法附則58①、改正措令附則26)。
② (2)①ハ及び(3)の改正は、外国関係会社の平成31年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額について適用し、外国関係会社の同日前に開始した事業年度に係る適用対象金額及びその適用対象金額に係る課税対象金額、部分適用対象金額及びその部分適用対象金額に係る部分課税対象金額並びに金融子会社等部分適用対象金額及びその金融子会社等部分適用対象金額に係る金融子会社等部分課税対象金額については、従前どおり(改正法附則58②、改正措規附則12①)。
③ (6)の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度に係る書類(その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度に係る書類については、従前どおり(改正措規附則12②)。
④ (7)①の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度の課税対象金額等(課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額をいい、その内国法人に係る外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始した事業年度に係るものに限る。)に係る外国法人税の額について適用し、内国法人の平成31年4月1日前に終了した事業年度の課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額に係る外国法人税の額については、従前どおり(改正法附則58③)。
⑤ (7)②の改正は、平成31年4月1日以後に確定申告書等(期限後申告書を除く。以下同じ。)の提出期限が到来する法人税について適用し、同日前に確定申告書等の提出期限が到来した法人税については、従前どおり(改正法附則58④)。
⑥ (8)の改正については、内国法人についての特例と同様の適用関係(改正法附則28、43①②、改正措令附則12、改正措規附則7①②)。
⑦ (9)の改正については、外国子会社合算税制と同様の適用関係(改正法附則28、43③④、58⑤~⑦、改正措令附則13、27、改正措規附則7③、12③)。
※ 連結法人の外国関係会社に係る所得等の課税の特例についても(1)から(7)まで及び(9)と同様の改正が行われた。
4 令和2年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例の創設
(1)令和2年に開催される東京オリンピック競技大会若しくは東京パラリンピック競技大会((1)において「大会」という。)に参加をし、又は大会関連業務(大会の円滑な準備又は運営に関する業務をいう。(2)及び(3)において同じ。)に係る勤務その他の人的役務の提供を行う一定の非居住者の一定の国内源泉所得(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間におけるその参加又はその提供に係るものに限る。)については、所得税を課さないこととされた(措法41の23①②④、措令26の33①②④、措規19の14の2)。
(2)大会関連業務を行う一定の外国法人が支払を受ける一定の使用料(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間において行われる一定の業務に係るものに限る。)については、所得税を課さないこととされた(措法41の23③、措令26の33③④)。
(3)恒久的施設を有する外国法人のうち、大会関連業務を行う一定の外国法人の平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間に開始する各事業年度の一定の恒久的施設帰属所得については、法人税を課さないこととされた(措法67の16の2、措令39の33の3、措規22の19の3の2)。
(4)適用関係 平成31年4月1日から施行(改正法附則1)。
5 台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度等の整備
(1)台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度の整備 ① 報告金融機関等は、その年の12月31日において、その報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行った者が報告対象契約を締結している場合には、その報告対象契約ごとに、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地及び特定居住地国、その報告対象契約に係る資産の価額、その資産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他一定の事項((1)において「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等の記録用の媒体を提出する方法により、その報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならないこととされた(相互免除法41の2①②⑤、相互免除令33の2①、相互免除規21)。
② 報告金融機関等は、上記①により報告事項の提供を行った場合には、その報告事項に関する事項等一定の事項に関する記録を文書等により作成し、保存しなければならないこととされた(相互免除法41の2③④、相互免除規21②)。
③ 税務職員は、報告事項の提供に関する調査について必要があるときは、その報告事項の提供をする義務がある者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又はその物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができることとされた(相互免除法41の2⑥~⑩、相互免除令33の2②)。
④ 報告事項の提供義務に対する違反行為等について所要の罰則を規定することとされた(相互免除法47)。
(2)国別報告事項の提供制度の整備 特定多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供制度について、子会社方式の適用に係る最終親会社等の居住地国に台湾が追加された(措令39の12の4①)。
(3)適用関係 ① (1)①から③までの改正は、平成31年4月1日から施行(改正法附則1、改正相互免除令附則①、改正相互免除規附則)。
② (1)④の改正は、平成31年4月1日以後にした違反行為について適用(改正法附則1、115)。
③ (2)の改正は、平成31年4月1日以後に開始する最終親会計年度に係る国別報告事項について適用し、同日前に開始した最終親会計年度に係る国別報告事項については、従前どおり(改正措令附則24)。
6 その他の国際課税の改正
(1)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の改正 ① 非課税の対象となる債券現先取引の範囲の拡充
非課税の対象となる債券現先取引の範囲に、一定の特定金融機関等との間で行われる外国債券を用いて行う債券現先取引で一定の要件を満たすものを加えることとされた(措法42の2③、67の17⑨、措令27の2⑨四ロ⑪⑫、措規19の15⑦⑧)。
② 所得税の非課税の対象となる利子の範囲の拡充
外国投資信託の受託者である特定外国法人がその外国投資信託の信託財産につき支払を受ける債券現先取引に係る利子については、その外国投資信託が適格外国証券投資信託である場合に限り、一定の要件の下に、所得税の非課税の対象とすることとされた(措法42の2④⑤⑩、措令27の2⑳



③ 適用期限の延長
本措置の適用期限を2年延長することとされた(措法42の2③、67の17⑨)。
(2)振替社債等の利子等の課税の特例等の改正 ① 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権に該当するものの剰余金の配当等の非課税措置について、その適用期限を3年延長することとされた(措法5の3④七ホ)。
② 特定地方公共団体との間に完全支配関係がある法人の発行する振替社債等に関する特例は、適用期限の到来をもって廃止することとされた(旧震災税特法10)。
(3)集団投資信託の収益の分配等に係る二重課税調整の改正 集団投資信託の収益の分配に係る源泉徴収所得税の額から控除することとされている集団投資信託の信託財産について納付した所得税の額がその所得税の課せられた収益を分配するとしたならばその収益の分配につき源泉徴収所得税を課されるべきこととなるものに対応する部分(特別分配金のみに対応する部分を除く。)の額に限ることとされるなど、受託者が内国法人である場合の信託財産に係る利子等の課税の特例における改正と同様の改正を行うこととされた(所法180の2③、所令306の2②⑦)。
(4)特定目的会社の利益の配当等に係る源泉徴収等の特例の改正 特定目的会社の利益の配当等に係る源泉徴収所得税の額から控除する控除外国法人税の額は、その特定目的会社が納付した外国法人税の額のうち、支払を受ける利益の配当等の額に対応する部分の額を限度として、その支払を受ける者ごとに計算した金額の合計額とすることとされた(措令4の9①②、措規5の4の2①②)。
(5)組織再編税制の見直しへの対応 ① 非居住者株主が合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上することとされた(措法37の14の3①~④⑥⑧、措令25の14②~④⑩⑫)。
② 企業グループ内の一定の内国法人間で行われる合併等のうち、合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式を対価とするものは、適格要件を満たさないこととされた(措法68の2の3①~③⑤)。
③ 個人又は法人が、適格合併等に該当しない合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上することとされた(措法37の14の4①~③⑤、68の3①~③措令25の14の2、39の35②④)。
(6)外国税額控除の改正 ① 外国税額控除の対象とならない外国法人税
の額について、内国法人に対する配当等の支払があったものとみなして課される一定の外国法人税の額が追加された(法令142の2⑦五)。
② 個人の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる調整国外所得金額の見直し
イ 年の中途において非居住者から非永住者となった場合の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる調整国外所得金額について、純損失の繰越控除又は雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合の非永住者期間内において生じた国外所得金額のうち、国内において支払われ、又は国外から送金された国外源泉所得に係る部分に限ることとされた(所令258④一ロ)。
ロ 上場株式等の譲渡損失の繰越控除の適用がある場合の外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる「上場株式等に係る配当所得等の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額に係る国外所得金額」等について、上場株式等の譲渡損失の繰越控除等を適用しないで計算した場合の国外所得金額とすることとされた(措令25の11の2⑳、25の12の2

(7)租税条約の実施のための国内法の整備 ① 相手国等転出時課税の規定の適用を受けた場合の所得税の課税の特例の創設
相手国等の相手国等転出時課税の規定の適用を受けた居住者が、その適用に係る資産又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済をした場合において、その相手国等との間の租税条約の規定においてその譲渡又は決済による所得について課する所得税の課税標準又は所得税の額の計算に当たってその適用を受けたことを考慮するものとされているときは、その資産又は未決済デリバティブ取引等に係る事業所得の金額等の計算については、その相手国等転出時課税の規定により課される外国所得税の額の計算において収入金額に算入することとされた金額をその資産の取得に要した金額とし、又は未決済デリバティブ取引等の決済損益額からその外国所得税の額の計算において算出された利益の額の減算等をすることとされた(実特法5の2、実特令4の2)。
② 配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等の改正
イ 相手国居住者等配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例の対象となる配当等の範囲に、譲渡収益(資産の譲渡により生ずる収益で所得税法の施行地にその源泉があるものをいい、配当等に含まれるものを除く。)を加えることとされた(実特法3の2①②、実特規1五、2①五ヘ)。
ロ 両国で課税上の取扱いが異なる事業体に対する租税条約の適用に関する措置の対象となる相手国居住者等配当等の範囲は、相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定においてその相手国居住者等の所得として取り扱われる範囲とするとともに、本措置の対象となる相手国団体配当等、第三国団体配当等、特定配当等その他の一定の所得の範囲について所要の改正を行うこととされた(実特法3の2①③⑤⑦⑨)。
③ 国際運輸の用に供される船舶又は航空機において行う勤務により受ける給与に対する租税条約の適用手続に関する規定を整備することとされた(実特規4④⑤)。
④ 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度における「報告対象国」の範囲に、5か国・地域を加えることとされた(実特規別表六・七・二十六・五十三・五十九)。
(8)外国普通法人となった旨の届出書等に関する改正 外国普通法人となった旨の届出書について、定款等の和訳文以外の書類の添付が不要とされ、収益事業開始届出書について、人格のない社団等である外国法人が新たに国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における貸借対照表以外の書類の添付が不要とされた(法法149①②、法規64、65③④)。
(9)適用関係 ① (1)①の改正は、特定外国法人が平成31年4月1日以後に開始する外国債券に係る特定債券現先取引につき支払を受ける利子及び差益について適用(改正法附則47①、60)。
② (1)②の改正は、適格外国証券投資信託の受託者である特定外国法人が平成31年4月1日以後に開始する振替国債等に係る特定債券現先取引につき支払を受ける利子について適用(改正法附則47②)。
③ (2)②の改正は、平成31年4月1日前に発行された振替社債等については、従前どおり(改正法附則87)。
④ (3)の改正は、令和2年1月1日以後に支払われる収益の分配について適用し、同日前に支払われた収益の分配については従前どおり(改正法附則9②)。
⑤ (4)の改正は、令和2年1月1日から施行(改正措令附則1四)。
⑥ (5)①及び③の改正は、平成31年4月1日以後に合併、分割又は株式交換が行われる場合について適用し、同日前に合併、分割又は株式交換が行われた場合については従前どおり(改正法附則39、64)。
⑦ (5)②の改正は、平成31年4月1日以後に行われる合併、分割又は株式交換について適用し、同日前に行われた合併、分割又は株式交換については従前どおり(改正法附則63)。
⑧ (6)①の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、内国法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおり(改正法令附則12)。
⑨ (6)②イの改正は、令和2年分以後の所得税について適用し、令和元年(平成31年)分以前の所得税については、従前どおり(改正所令附則5)。
⑩ (6)②ロの改正は、令和元年(平成31年)分以後の所得税について適用し、平成30年分以前の所得税については、従前どおり(改正法附則7①、8①、15)。
⑪ (7)①の改正は、居住者が平成31年4月1日以後に譲渡又は決済をする資産又は未決済デリバティブ取引等について適用(改正法附則85⑤)。
⑫ (7)②の改正は、平成31年4月1日以後に相手国居住者等、外国法人、非居住者、居住者又は内国法人が支払を受けるべき相手国居住者等配当等、相手国団体配当等、第三国団体配当等又は特定配当等について適用され、相手国居住者等、外国法人、非居住者、居住者又は内国法人が同日前に支払を受けるべき相手国居住者等配当等、相手国団体配当等、第三国団体配当等又は特定配当等については、従前どおり(改正法附則85②)。
⑬ (7)③の改正は、平成31年4月1日から施行(改正実特規附則①)。
⑭ (7)④の改正は、平成30年12月28日から施行(平成30年12月改正実特規附則)。
⑮ (8)の改正は、平成31年4月1日以後に提出する届出書について適用し、同日前に提出した届出書については、従前どおり(改正法附則22②、改正法規附則5)。
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