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解説記事2019年06月24日 【税制改正解説】 令和元年度における納税環境整備に関する改正について(2019年6月24日号・№792)

税制改正解説
令和元年度における納税環境整備に関する改正について
 星野竜一

はじめに

 令和元年度(平成31年度)税制改正では、消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却及び経済再生に向けた対応、国際的な租税回避への効率的な対応等の観点から、個人所得課税、資産課税、法人課税、消費課税、国際課税、納税環境整備等について所要の措置が講じられた。
 このうち納税環境整備については、税務当局が事業者等に対して必要な情報を照会するための手続を整備するとともに、番号が付された証券口座情報の効率的な利用の促進等の措置が講じられている。
 以下では、これらの納税環境整備に関する改正の主な内容について説明することとする。

一 経済取引の多様化等に伴う納税環境の整備(情報照会手続の整備)

Ⅰ 官公署等へ協力を求める措置の整備

1 改正前の制度の概要
 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員は、国税に関する調査(犯則事件の調査を除く。以下同じ。)について必要があるときは、官公署又は政府関係機関に、その調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることとされている(旧通法74の12⑥)。
 他方、財務省設置法に基づく「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現」という任務(財務省設置法19)を達成するために必要な範囲において、事業者の協力を得て行う情報の収集も実施しているところだが、事業者に対する協力要請については、その根拠となる税法上の明文の規定を欠いている状況となっていた。

2 改正の内容  税法上の事業者への協力要請については、その根拠となる明文の規定を欠いていることから、対象者(顧客)とのトラブルを懸念して協力要請に応じないケースも生じており、結果として、事業者間、納税者間のそれぞれにおいて不公平が生じる状況となっており、その解消が課題とされていた。
 今回の改正においては、こうした課題に対応し、適正公平な課税を実現するための税務執行体制を整備する観点から、金融商品取引法や独占禁止法など他の法律の例も踏まえ、上記1の「協力を求める措置」の対象範囲に、「事業者」を追加する整備を行うこととされた。
 具体的には、国税庁等又は税関の当該職員は、国税に関する調査について必要があるときは、事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)に、その調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることとされ、事業者への協力要請について法令上明確化された(通法74の12①)。
(注1)上記の「事業者」は、商業、工業、金融業、鉱業、農業、林業、水産業等の事業を行う者を指すが、「事業者の組織する団体(旧通法74の12①~⑤)」についても、事業を行う場合にはこれに該当する。なお、「事業」については、営利事業であるかどうかは問わない。
(注2)上記の「特別の法律により設立された法人」は、会社法上の会社など一般的な根拠法に基づく法人ではなく、特別の単独法によって法人格が与えられた法人を指し、具体的には、農林中央金庫(農林中央金庫法2)や、日本政策金融公庫(株式会社日本政策金融公庫法1)などの政府関係機関(旧通法74の12⑥)等が、これに該当する。
(注3)上記の「協力を求める措置」については、従前から調査の対象者(納税義務者等)が特定されていることを前提としているものではなく、改正後においても同様である。 

3 適用関係  上記2の改正は、令和2年1月1日から施行され(改正法附則1六ロ)、同日以後にする協力要請について適用されることとなる。

Ⅱ 特定事業者等へ報告を求める措置の創設

1 改正前の制度(現行の税務職員の質問検査権等)の概要
 国税庁等又は税関の当該職員は、国税に関する調査について必要があるときは、納税義務者等に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。以下同じ。)の提示若しくは提出を求めることができることとされている(通法74の2~74の6)。この場合において、調査の相手方が、当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又は検査等を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合及び物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すこととされている(旧通法128二・三)。
 また、Ⅰ1で述べたとおり、財務省設置法に基づく情報の収集も実施しているところである。

2 改正の内容  現行の税務職員の質問検査権については、調査の相手方となる者(納税義務者等)が特定されていることを前提としていることから、仮想通貨取引やインターネットを利用した在宅事業等による匿名性の高い所得を有する者を把握し、特定する手段としては活用することが困難な状況となっており、このような所得の適切な把握をするための仕組みの整備が課題とされていた。また、財務省設置法に基づく情報収集及び上記で述べた事業者等への協力要請については、あくまでも任意の協力要請であり、実行性の観点からの対応も課題とされていた。
 今回の改正においては、こうした課題に対応し、適正公平な課税を実現するため、相手方となる事業者等の事務負担への配慮や制度の慎重な運用を図る観点をも踏まえ、高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限り、担保措置を伴ったより実効的な手続として、事業者等へ報告を求める措置を創設することとされた。
 以下では、事業者等へ報告を求める措置の内容について説明することとする。
(1)特定事業者等への報告の求め  所轄国税局長は、特定取引の相手方となり、又は特定取引の場を提供する事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)又は官公署(以下「特定事業者等」という。)に、特定取引者に係る特定事項について、特定取引者の範囲を定め、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日までに、報告することを求めることができることとされた(通法74の7の2①)。
(注1)上記の「所轄国税局長」とは、特定事業者等の住所又は居所の所在地を所轄する国税局長をいう(通法74の7の2③一)。
(注2)上記の「特定取引」とは、電子情報処理組織を使用して行われる事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)又は官公署(以下「事業者等」という。)との取引、事業者等が電子情報処理組織を使用して提供する場を利用して行われる取引その他の取引のうち、この報告の求めによらなければこれらの取引を行う者を特定することが困難である取引をいう(通法74の7の2③二)。なお、これらの「取引」については、相手方との間の契約に基づく金品や役務等のやり取り全般を指し、有償の取引であるかどうかは問わず、また、補助金や給付金等の交付のほか、事業者等を介して行われる取引も含まれる。
(注3)上記の「事業者」の意義については、上記Ⅰ2の(注1)を参照。
(注4)上記の「特別の法律により設立された法人」の意義については、上記Ⅰ2の(注2)を参照。
(注5)上記の「特定取引者」とは、特定取引を行う者(特定事業者等を除き、下記①の要件に該当する場合にあっては、1,000万円の課税標準を生じ得る取引金額を超える特定取引を行う者に限る。)をいい(通法74の7の2③三)、具体的には、特定事業者等と直接特定取引を行い、又は特定事業者等が提供(仲介)する場(プラットフォーム等)において他の者と特定取引を行う者が、これに該当する。
(注6)上記の特定取引者に係る「特定事項」とは、氏名(法人については、名称)、住所又は居所及び個人番号又は法人番号をいう(通法74の7の2③四)。
 また、今般の「事業者等へ報告を求める措置」については、制度の慎重な運用を図る観点から、報告を求める事項を対象者の氏名等の必要最小限の情報に限定するとともに、事業者等に対して報告を求めることができる場面について、高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限定することとされている。具体的には、国税に関する調査について必要がある場合において、次のいずれかに該当するときに限り、報告の求めをすることができることとされている(通法74の7の2②)。
① 特定取引者が行う特定取引と同種の取引を行う者に対する国税に関する過去の調査において、その課税標準が1,000万円を超える者のうち過半数の者について、その取引に係るその税目の課税標準等又は税額等につき更正決定等(更正若しくは決定又は賦課決定をいい、納税の告知を含む。)をすべきと認められている場合
(注1)上記の「国税に関する過去の調査」は、過去の一定期間において全国の税務当局により行われた調査で、更正決定等をすべきと認められない旨の通知(通法74の11①)又は修正申告書の提出等若しくは更正決定等があったものを指す。
(注2)上記の「過去の調査」の対象者について、「課税標準1,000万円超」という水準は、所得税の申告(税額あり)における平均的な所得金額(国税庁「申告所得税標本調査(平成28年分)」において概ね平均600万円程度)や、消費税の課税対象となる基準期間の課税売上額(1,000万円超)等を踏まえ、特定取引から生じる課税標準が1,000万円を超える納税者層については、一般的に税務調査を行う優先度が高いとの考えに基づくものである。
② 特定取引者が特定取引に係る物品又は役務を用いることにより課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実を生じさせることが推測される場合
(注)上記②については、例えば、ある事業者が架空の領収書を複数の納税者に販売している場合において、その納税者がその架空の領収書を用いて所得を圧縮し、本来の税額より少ない税額の申告をしていることが推測されるようなときが、これに該当するものと考えられる。
③ 特定取引者が行う特定取引の態様が経済的必要性の観点から通常の場合にはとられない不合理なものであることから、特定取引に係る課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実を生じさせることが推測される場合
(注)上記③については、例えば、納税者がある事業者に金地金を譲渡する場合において、その納税者が法定調書の提出対象となることを逃れるため、その金地金の譲渡を小口に分割して行った上で、その譲渡所得を申告せず、又は本来の税額より少ない税額の申告をしていることが推測されるようなときが、これに該当するものと考えられる。
 なお、この所轄国税局長の報告を求める権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないこととされている(通法74の8)。
(2)報告の求めに係る諸手続  所轄国税局長は、この報告の求めをしようとする場合には、あらかじめ、国税庁長官の承認を受けなければならないこととされた(通法74の7の2④)。これは、適正かつ慎重な運用を求める観点から、この報告の求めをするに当たっては、所轄国税局長において、その上級行政庁である国税庁長官の承認を得ることが要件とされたものである。
 また、この報告の求めについては、特定事業者等に対する手続として、特定取引者の範囲その他報告を求める事項及び報告を求める期日を書面で通知することにより行うこととされた(通法74の7の2⑤)。
 なお、所轄国税局長が報告の求めをするに当たっては、特定事業者等の事務負担に配慮しなければならないことは当然のことだが、この点についても法令上明確化されている(通法74の7の2⑥)。
(3)報告の求めに対する不服申立て及び訴訟  国税に関する法律に基づく処分に不服がある者においては、不服申立てをすることができることとされている(通法75①)。この報告の求めについても「国税に関する法律に基づく処分」に該当し(国税通則法第74条の7の2第2項において「処分」と規定されている。)、報告を求められた特定事業者等においてその報告の求めに不服がある場合には、その所轄国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求といった不服申立てをすることができる。また、これらの不服申立てを経た後、行政事件訴訟法等の定めるところにより訴訟を行うことができることとされている(通法114、115①)。
(4)報告義務違反に対する罰則規定  この報告の求めについては、実効性確保の観点から担保措置として、検査拒否等の場合と同様の罰則規定の対象とされた。具体的には、所轄国税局長の報告の求めに対して、正当な理由なくこれに応じず、又は偽りの報告をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされている(通法128三)。

3 適用関係  上記2の改正は、令和2年1月1日以後に国税庁長官の承認を受けてする報告の求めについて適用される(改正法附則27②)。

二 番号が付された証券口座情報の効率的な利用の促進(加入者情報の管理制度等の創設)

Ⅰ 改正の内容

1 口座管理機関における加入者情報の管理制度の創設
 口座管理機関は、加入者情報をその口座管理機関が保有する加入者の番号(個人番号又は法人番号をいう。以下同じ。)により検索することができる状態で管理しなければならないこととされた(通法74の13の3)。
(1)対象となる口座管理機関の範囲  この制度の対象となる口座管理機関は、社債、株式等の振替に関する法律(以下「社債、株式等振替法」という。)第2条第4項に規定する口座管理機関とされている(通法74の13の3)。
(2)対象となる加入者情報の内容  口座管理機関が番号と紐付けて管理すべき加入者情報は、その口座管理機関の加入者の氏名(法人については、名称)及び住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)その他社債等の内容に関する事項とされている(通法74の13の3)。
 具体的には、口座管理機関の加入者の氏名(名称)及び住所(居所)、顧客番号又は口座番号並びに社債等の種類、銘柄及びその銘柄ごとの数又は金額とされている(通規11の5)。
(注1)上記の「加入者」とは、振替機関等(振替機関及び口座管理機関をいう。以下同じ。)が社債等の振替を行うための口座を開設した者をいう(社債、株式等振替法2③)。したがって、上記の「口座管理機関の加入者」は、具体的には、①口座管理機関の顧客(社債等についての権利を有する者(社債権者、株主等))、②他の口座管理機関に社債等の振替を行うための口座の開設を受けた口座管理機関が該当する。
(注2)上記の「社債等」とは、社債、株式等振替法第2条第1項に規定する「社債等」とされている。具体的には、社債、国債、地方債、株式、新株予約権、新株予約権付社債などが該当する(社債、株式等振替法2①)。
(3)口座管理機関が行う管理の内容  税務当局からの証券口座情報の照会に対して迅速・的確な回答ができるようにする観点から、口座管理機関においては、上記(2)の加入者情報を番号と紐付け、これにより検索できる状態で管理しなければならないこととされている(通法74の13の3)。具体的には、その加入者情報に関するデータベースにおいて各社債等に係る電磁的記録にその口座管理機関が保有するその口座管理機関の加入者の番号を記録することとされている(通令30の7)。

2 振替機関における加入者情報の管理制度の創設  振替機関は、加入者情報をその振替機関が保有する加入者の番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととされた(通法74の13の4①)。
(1)対象となる振替機関の範囲  この制度の対象となる振替機関は、社債、株式等振替法第2条第2項に規定する振替機関とされている(通法74の13の4①)。
(注)上記の「振替機関」とは、その申請により、社債等の振替に関する業務を営む者として、主務大臣の指定を受けた株式会社をいう(社債、株式等振替法2②、3①)。具体的には、株式会社証券保管振替機構がこれに該当する。
(2)対象となる加入者情報の内容  振替機関が番号と紐付けて管理すべき加入者情報は、その振替機関又はその下位機関の加入者の氏名(法人については、名称)及び住所又は居所その他株式等の内容に関する事項とされている(通法74の13の4①)。
 具体的には、振替機関又はその下位機関の加入者の氏名(名称)及び住所(居所)並びに株式等の種類、銘柄及びその銘柄ごとの数又は金額を特定するためにその振替機関が定めるその加入者の記号・番号(いわゆる加入者口座コード)とされている(通規11の6②)。
(注1)上記の「下位機関」とは、次のいずれかに該当するものをいう(社債、株式等振替法2⑨)。
① 直近下位機関
② 直近下位機関の直近下位機関
③ 上記②により下位機関に該当するものの直近下位機関のほか、傘下の全ての直近下位機関
  この「直近下位機関」とは、振替機関等が、他の者のために、その申出により社債等の振替を行うための口座を開設した口座管理機関をいう(社債、株式等振替法2⑧)。
(注2)上記の「振替機関又はその下位機関の加入者」は、上記(注1)により、株式等振替制度の対象となる全ての加入者(株主等、口座管理機関)がこれに該当する。
(注3)上記の「株式等」とは、上記1(2)(注2)の社債等のうち、株式、新株予約権、新株予約権付社債など一定のものであって、振替機関が業務規程で定めるものをいう(通規11の6①)。具体的には、これらの社債等のうち金融商品取引所に上場されているものその他これに類するものであって、株式会社証券保管振替機構が発行者の同意を得て株式等振替制度において取り扱うこととされているものがこれに該当する。
(3)振替機関が行う管理の内容  税務当局からの証券口座情報の照会に対して迅速・的確な回答ができるようにする観点から、振替機関においては、上記(2)の加入者情報を番号と紐付け、これにより検索できる状態で管理しなければならないこととされている(通法74の13の4①)。具体的には、その加入者情報に関するデータベースにおいて各株式等に係る電磁的記録にその振替機関が保有するその振替機関又はその下位機関の加入者の番号を記録することとされている(通令30の8①)。

3 振替機関から支払調書の提出義務者への加入者の番号等の提供制度の創設  振替機関は、支払調書の提出義務者からその振替機関又はその下位機関の加入者の番号等の提供を求められたときは、その支払調書の提出義務者に対し、その振替機関が保有するその加入者の番号等を提供することとされた(通法74の13の4②)。
(1)番号等の提供を求めることができる者(支払調書の提出義務者)の範囲  振替機関に対して、その振替機関又はその下位機関の加入者の番号等の提供を求めることができる者は、国税に関する法律に基づき税務署長に調書を提出すべき者(支払調書の提出義務者)のうち次に掲げる者とされている(通法74の13の4②)。
① 株式等の発行者
② 口座管理機関
(注)上記①の株式等の発行者には、株式等の発行者から委託を受けて支払調書の提出に関する事務を行う者が含まれる。
(2)提供を求めることができる番号等の範囲  上記(1)の支払調書の提出義務者が振替機関に対して提供を求めることができる番号等は、その振替機関又はその下位機関の加入者(株式等の発行者(上記(1)①)が発行する株式等についての権利を有する者(株主等)又は口座管理機関(上記(1)②)の加入者に限る。以下同じ。)の番号等とされている(通法74の13の4②)。
(注)支払調書の提出義務者である口座管理機関が、振替機関に対し、その加入者の番号等の提供を求めることができるのは、その口座管理機関の加入者がその口座管理機関に開設している証券口座において「株式等」を有している場合に限られる。
(3)番号等の提供方法  上記(1)の支払調書の提出義務者から番号等の提供を求められた振替機関は、その支払調書の提出義務者から提供を受けた電磁的記録でその振替機関又はその下位機関の加入者の氏名(法人については、名称)及び住所又は居所が記録されたものにその振替機関が保有するその加入者の番号等を記録して、その支払調書の提出義務者に対し、これを電磁的方法により提供することとされている(通令30の8②)。
 上記の「電磁的方法」とは、次に掲げる方法をいう(通規11の6④)。
① 電子情報処理組織を使用して送信する方法
② その提供すべき事項(番号等)を記録した電磁的記録に係る記録媒体(光ディスク等)を交付する方法
(4)提供すべき事項(番号等)の内容  振替機関から支払調書の提出義務者に対して提供すべきその振替機関又はその下位機関の加入者の番号等は、その振替機関が保有するその加入者の氏名(法人については、名称)、住所又は居所及び番号とされている(通法74の13の4②、通規11の6③)。

Ⅱ 適用関係
 上記の改正は、令和2年4月1日から施行される(改正法附則1七ニ、改正通令附則①、改正通規附則)。

三 電子帳簿保存及びスキャナ保存制度の見直し

Ⅰ 改正前の制度の概要

1 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の概要
(1)国税関係帳簿の電磁的記録による保存等
 国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者(以下「保存義務者」という。)は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、納税地等の所轄税務署長等(以下「税務署長等」という。)の承認を受けたときは、一定の要件の下、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができることとされている(電子帳簿保存法4①)。
(注)上記の「国税関係帳簿書類」とは、国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿(国税関係帳簿)又は国税に関する法律の規定により保存をしなければならないこととされている書類(国税関係書類)をいう(電子帳簿保存法2二)。
(2)国税関係書類の電磁的記録による保存  保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、税務署長等の承認を受けたときは、一定の要件の下、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされている(電子帳簿保存法4②)。
(3)国税関係書類のスキャナ保存  保存義務者は、国税関係書類(決算関係書類を除く。)の全部又は一部について、その記載事項をスキャナにより電磁的記録に記録する場合であって、税務署長等の承認を受けたときは、下記3で述べる要件の下、その電磁的記録の保存をもってその書類の保存に代えることができることとされている(電子帳簿保存法4③)。
(注)上記の「決算関係書類」とは、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類をいう(電子帳簿保存法規則3③)。

2 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の承認申請手続  保存義務者は、国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等又はスキャナ保存の承認を受けようとする場合には、その承認を受けようとする国税関係帳簿の備付けを開始する日又は国税関係書類の電磁的記録の保存をもってその国税関係書類の保存に代える日(以下「保存等開始日」という。)の3月前までに、所定の事項を記載した承認申請書に必要書類を添付して税務署長等に提出することとされている(旧電子帳簿保存法6①②)。
 ただし、新設法人が承認を受けようとする場合において、その承認を受けようとする国税関係帳簿書類の全部又は一部が、設立の日から同日以後6月を経過する日までに保存等開始日が到来するものであるときは、その設立の日以後3月を経過する日までに承認申請書を提出することができることとされている(旧電子帳簿保存法6①ただし書、②ただし書)。

3 スキャナ保存制度の保存要件
(1)スキャナによる入力要件
 国税関係書類のスキャナ保存に当たっては、次の①又は②の方法により入力することとされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤一)。
① 国税関係書類のスキャナでの読み取りを、国税関係書類の作成・受領後、速やかに行うこと
② 国税関係書類のスキャナでの読み取りを、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと
(2)電子計算機処理システムの要件  上記(1)の入力に当たっては、次の①から④までの要件を満たす電子計算機処理システムを使用することとされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤二)。
① 解像度・階調
  解像度が25.4mm当たり200ドット(200dpi)以上、かつ、赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調(約1,677万色)以上で読み取りを行うものであること(旧電子帳簿保存法規則3⑤二イ)
② タイムスタンプ 
  国税関係書類をスキャナで読み取る際に、一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプを付すこと(旧電子帳簿保存法規則3⑤二ロ)
(注)国税関係書類を作成・受領する者(以下「受領者等」という。)が読み取りを行う場合には、その国税関係書類に受領者等が署名を行った上で、その作成・受領後、特に速やかに上記のタイムスタンプを付さなければならないこととされている。
③ 読み取った際の解像度等の情報の保存
  国税関係書類のスキャナでの読み取りを行った際の解像度、階調及びその国税関係書類の大きさに関する情報を保存すること(旧電子帳簿保存法規則3⑤二ハ)
(注)受領者等が国税関係書類の読み取りを行う場合において、その書類の大きさがA4サイズ以下であるときは、大きさに関する情報の保存を要しないこととされている。
④ ヴァージョン管理
  国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること(旧電子帳簿保存法規則3⑤二ニ)
(3)入力者等の特定に係る要件  国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこととされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤三)。
(4)適正事務処理要件  国税関係書類の作成・受領から入力までの各事務について、その適正な実施を確保するために必要なものとして次の①から③までの事項に関する規程を定めるとともに、これに基づき処理することとされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤四)。
① 国税関係書類の作成・受領から入力までの相互に関連する各事務について、それぞれ別の者が行う体制(相互けん制要件)
(注)受領者等が国税関係書類の読み取りを行う場合には、作成・受領事務と読み取り事務をそれぞれ別の者が行うこととする要件が不要とされ、これに代え、受領者等以外の別の者が国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の確認を行うことが要件とされている。
② 各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続(定期検査要件)
③ 各事務に係る処理に不備があると認められた場合において、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制(再発防止要件)
(5)スキャナで読み取りを行った国税関係書類と帳簿との関連性の確保 
 国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項とその国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこととされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤五)。
(6)スキャナで読み取りを行った国税関係書類に係る電磁的記録の可視性の確保 
 国税関係書類に係る電磁的記録の保存場所に、電子計算機、プログラム、カラーディスプレイ及びカラープリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録を出力することができるようにしておくこととされている(旧電子帳簿保存法規則3⑤六)。
(7)電子計算機処理システムの概要書等の備付け  電子計算機処理システムの概要を記載した書類その他そのシステムの開発に際して作成した書類等を備え付けることとされている(旧電子帳簿保存法規則3①三、⑤七)。
(8)検索機能の確保  国税関係書類の種類に応じた記録項目を検索の条件として設定することができる等の検索機能を確保しておくこととされている(旧電子帳簿保存法規則3①五、⑤七)。
(9)スキャナ保存の適時入力方式  保存義務者は、国税関係書類のうち国税庁長官が定める資金や物の流れに直結・連動しない書類(以下「一般書類」という。)のスキャナでの読み取りを行う場合には、入力要件(上記(1))、大きさ情報の保存要件(上記(2)③)及び適正事務処理要件(上記(4))以外の要件(カラー階調要件(上記(2)①)にあっては、グレースケール(いわゆる「白黒」)による読み取りで代替することもできる。)を満たし、電磁的記録の保存に併せて、その電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続を明らかにした書類(これらの事務の責任者が定められているものに限る。)の備付けを行うことにより、適時の入力によるスキャナ保存をすることができることとされている(旧電子帳簿保存法規則3⑥、平成17年国税庁告示第4号)。

Ⅱ 改正の内容
 電子帳簿保存及びスキャナ保存制度について、適正性を担保しつつ、保存義務者の利便性向上を図る観点から、以下に述べるとおり、制度の更なる促進に向けた各種の措置を講じることとされた。

1 新たに業務を開始した個人の承認申請期限の特例の整備  国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の承認申請手続については、新設法人が承認を受けようとする場合には、設立の日以後3月を経過する日までに承認申請書を提出することができる特例が設けられていた一方で(上記Ⅰ2参照)、新たに業務を開始した個人については、こうした規定を欠いていたことから、開業の諸手続等により、業務の開始の日の3月前までに承認申請書を提出することが一般的に困難であり、開業当初からの電磁的記録等による保存等の適用の妨げになっていた。
 今回の改正においては、こうした状況を踏まえ、個人の業務開始時からの電子帳簿保存及びスキャナ保存制度等の円滑な適用に資する観点から、新たに業務を開始した個人について、その業務の開始の日以後2月を経過する日までに承認申請書を提出することができる特例を設けることとされた。
 具体的には、新たに業務を開始した個人が国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の承認を受けようとする場合において、その承認を受けようとする国税関係帳簿書類の全部又は一部が、業務の開始の日から同日以後5月を経過する日までに保存等開始日が到来するものであるときは、その業務の開始の日以後2月を経過する日までに承認申請書を提出することができることとされた(電子帳簿保存法6①ただし書、②ただし書)。

2 過去分重要書類のスキャナ保存の整備  一般書類を除く国税関係書類(以下「重要書類」という。)のスキャナ保存については、重要書類の作成・受領後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにスキャナで読み取りを行うこととされていたことから(上記Ⅰ3(1)及び(9)参照)、承認を受ける前の過去分の重要書類については、通常、作成・受領から一定期間が経過しており、スキャナでの読み取りを「速やか」に行うことができず、スキャナ保存の対象外となるため、スキャナ保存による保存コストの削減効果は限定的であり、その対応が課題とされていた。
 今回の改正においては、こうした状況を踏まえ、文書保存に係る負担軽減を図り、保存義務者の利便性向上に資する観点から、過去分の重要書類について、一定の要件の下、書類の種類ごと一回に限り、スキャナ保存を可能とすることとされた。
 具体的には、スキャナ保存の承認を受けている保存義務者は、国税関係書類の電磁的記録の保存をもってその国税関係書類の保存に代える日(基準日)前に作成・受領をした重要書類(以下「過去分重要書類」という。)について、あらかじめ、その過去分重要書類の種類等を記載した適用届出書を税務署長等に提出した場合には、電磁的記録の保存に併せて、その電磁的記録の作成・保存に関する事務の手続を明らかにした書類(これらの事務の責任者が定められているものに限る。)の備付けを行った上で、スキャナ保存を行うことができることとされた(電子帳簿保存法規則3⑦)。
 この過去分重要書類のスキャナ保存を行う場合の保存要件については、過去分重要書類がその性質上、作成・受領から一定期間経過しているものであることや、その受領者等の特定が容易でないこと等を踏まえ、スキャナによる入力要件(上記Ⅰ3(1)参照)並びに適正事務処理要件のうち相互けん制要件(上記Ⅰ3(4)①参照)及び再発防止要件(上記Ⅰ3(4)③参照)が不要とされるほか、次の事項について要件が緩和されている(電子帳簿保存法規則3⑦後段)。
(1)タイムスタンプ及び解像度等の情報の保存の要件  過去分重要書類のスキャナ保存を行う場合には、タイムスタンプ(上記Ⅰ3(2)②参照)及び解像度等の情報の保存(上記Ⅰ3(2)③参照)の要件について、受領者等が読み取りを行う場合の措置(上記Ⅰ3(2)②(注)及び③(注)参照)は適用されない。
(2)適正事務処理要件  過去分重要書類のスキャナ保存を行う場合には、適正事務処理要件のうち定期検査要件(上記Ⅰ3(4)②参照)について、入力事務に関するものに限定するとともに、検査を定期的に行うことは不要とされている。

Ⅲ 適用関係

1
 上記Ⅱ1の改正は、令和元年9月30日以後に提出する承認申請書について適用される(改正法附則86)。

2 上記Ⅱ2の改正は、令和元年9月30日以後に提出する適用届出書に係る過去分重要書類について適用される(改正電子帳簿保存法規則附則②)。

四 行政手続オンライン化法の改正に伴う国税徴収法等の整備

Ⅰ 行政手続オンライン化法の改正の概要

 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成14年法律第151号。以下「行政手続オンライン化法」という。)については、以下で述べるような行政手続等におけるオンライン化の徹底及び添付書類の省略等を実施するための措置が講じられることに伴い、その題名が「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下「デジタル行政推進法」という。)」に改正された。

1 行政機関等による情報システムの整備(オンライン化の徹底等)
(1)政府による情報システム整備計画の作成
 政府は、申請等及び申請等に基づく処分通知等をオンラインの方法により行うため(オンライン実施の原則化)、また、申請等に係る書面等の添付を省略するために必要な情報システムの整備に関する計画(以下「情報システム整備計画」という。)を作成・公表することとされた(デジタル行政推進法4)。
 情報システム整備計画においては、情報システム整備に関する基本的な方針、情報システムの整備によりオンラインで行う申請等及び処分通知等の範囲等について定めることとされた(デジタル行政推進法4②)。
(注1)上記の「申請等」とは、申請、届出その他の法令の規定に基づき行政機関等に対して行われる通知(裁判手続等において行われるものを除く。)をいう(デジタル行政推進法3八)。
(注2)上記の「処分通知等」とは、処分の通知その他の法令の規定に基づき行政機関等が行う通知(不特定の者に対して行うもの及び裁判手続等において行うものを除く。)をいう(デジタル行政推進法3九)。
(2)国の行政機関等による情報システムの整備  国の行政機関等は、上記(1)の情報システム整備計画に従い、情報システムの整備を行うこととされた(デジタル行政推進法5①~③)。
(注)国の行政機関等以外の行政機関等(地方公共団体等)は、情報システム整備計画に従い、情報システムを整備する義務はないが、情報システムの整備その他の必要な施策を講ずるように努めることとされている(デジタル行政推進法5④)。

2 添付書面等の省略  行政手続オンライン化法では、申請等についてオンラインにより行うことができる旨が規定されていたことから、例えば、添付書面等をオンラインで提出することはできるものの、その入手・提出そのものを不要とすることはできず、必ずしも国民の利便性向上につながっていなかった。また、添付書面等の中には、住民票の写しや登記事項証明書のように、提出先以外の行政機関等が既に情報として保有しているものがあり、行政機関間の情報連携など他の手段によって必要な情報を入手することが可能となっているものも存在する状況となっていた。
 こうした状況を踏まえ、デジタル行政推進法においては、住民票の写しや登記事項証明書など一定の添付書面等について、行政機関間の情報連携など一定の代替措置により、確認すべき情報を入手し、又は参照することができる場合には、その添付を要しないこととされた(デジタル行政推進法11)。
(注)上記の「一定の添付書面等」及び「一定の代替措置」の具体的内容については、今後、デジタル行政推進法の政令において示される予定である。

3 手数料納付のオンライン化  申請等に係る手数料の納付については、行政手続オンライン化法ではなく、個別法において、収入印紙による納付が義務付けられている手続につきオンラインで行うことができることとされていた。
 デジタル行政推進法において、手数料のオンライン納付の更なる推進の観点から、申請等をオンラインで行う場合の手数料の納付については、オンラインで行うことができることとされた(デジタル行政推進法6⑤)。
(注)国税の納付については、上記の「手数料の納付」には含まれないが、従前から電子納税の手続が整備されており、オンラインで行うことが可能とされている(通法34)。

4 オンライン規定の適用除外  個別法においてオンライン等で行うことが規定されている申請等については、行政手続オンライン化法との重複適用を排除するため、その個別法において適用除外規定が設けられていた(旧法法75の3⑥等)。
 デジタル行政推進法においては、個別法との間の適用関係の明確化の観点から、個別法においてオンライン等で行うことが規定されている手続等について、デジタル行政推進法のオンライン規定(デジタル行政推進法第2章第2節の規定)は適用しないこととされた(デジタル行政推進法10二)。

Ⅱ 国税徴収法等の整備

1 国税徴収法の改正(行政手続オンライン化法改正法附則40)
(1)改正前の制度の概要
 差押財産の公売において、入札をしようとする者は、入札価額その他必要な事項を記載した入札書に封をして、これを税務当局の職員(徴収職員)に提出しなければならないこととされている(徴法101①前段)。この入札については、行政手続オンライン化法の規定に基づきオンラインで行う場合(電子入札)には、入札書への封に相当する措置を講ずることとされていた(旧徴法101①後段)。
(2)改正の内容  上記(1)の電子入札の規定について、行政手続オンライン化法の題名がデジタル行政推進法に改正されること等に伴い(上記参照)、引用法律名の改正等の整備が行われた(徴法101①後段)。

2 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の改正(行政手続オンライン化法改正法附則54)
(1)改正前の制度の概要
 国税関係帳簿書類については、税務署長等の承認を受けるなど一定の要件の下で、電磁的記録による保存等が可能とされている(電子帳簿保存法4)。
 他方、行政手続オンライン化法においては、行政機関等が法令の規定に基づき作成・保存することとされている書面等について、電磁的記録により作成・保存することが可能とされていることから(旧行政手続オンライン化法6)、行政機関等が国税関係帳簿書類の保存をする場合の適用関係を明確化するため、電子帳簿保存法において、行政手続オンライン化法の規定は適用しないこととされていた(旧電子帳簿保存法9の2)。
(2)改正の内容  上記Ⅰ4で述べたとおり、行政手続オンライン化法(改正後のデジタル行政推進法)において、個別法においてオンライン等で行うことが規定されている手続等について、デジタル行政推進法のオンライン規定(上記(1)の行政手続オンライン化法(改正後のデジタル行政推進法)による電磁的記録による作成・保存の規定を含む。)は適用しないこととされたことにより(デジタル行政推進法10二)、電子帳簿保存法との間の適用関係が明確化されたことに伴い、電子帳簿保存法における行政手続オンライン化法の適用除外規定が削除された(電子帳簿保存法9の2)。

Ⅲ 適用関係
 上記及びの改正は、行政手続オンライン化法改正法の公布の日(令和元年5月31日)から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている(行政手続オンライン化法改正法附則1)。

五 その他の納税環境整備関係の改正

1 地方揮発油税に係る電子申告等の整備
(1)地方揮発油税に係る電子申告の整備
 電子情報処理組織(e-Tax)を使用した揮発油税の申告については、従前から法令上は行うことができることとされていたが(旧国税オンライン化省令別表十九)、揮発油税の申告とあわせて行うこととされている地方揮発油税の申告については、e-Taxを使用して行うための根拠となる明文の規定を欠いている状況となっていた。
 今回の改正においては、こうした状況を踏まえ、地方揮発油税の申告について、e-Taxを使用して行うことができるよう、規定の整備が行われた。
 具体的には、e-Taxを使用して行うことができる申請等の範囲に、地方揮発油税法の規定に基づき税務署長等に対して行われる申請等が追加された(国税オンライン化省令3、別表二十一)。
(2)電子署名等が付された電磁的記録の送信による添付書類の提出方法の明確化  e-Taxを使用して申請等を行う場合には、その申請等の手続に際し、その申請等につき添付すべきこととされている一定の書面等(以下「添付書面等」という。)に記載されている事項又は記載すべき事項(以下「添付書面等記載事項」という。)を次の方法で送信又は提出することをもって、その添付書面等の提出に代えることができることとされている(旧国税オンライン化省令5②)。
① 添付書面等記載事項をその申請等に併せて入力して送信する方法
② 添付書面等記載事項をスキャナにより読み取る方法等により作成した電磁的記録(イメージデータ)をその申請等と併せて送信する方法
③ 添付書面等記載事項の電磁的記録を記録した光ディスク等を提出する方法(令和2年4月1日以後)
 また、添付書面等が各医療保険者の医療費の額を通知する一定の書類で控除適用医療費の額等の記載があるもの(所法120④二、所規47の2⑨)である場合には、添付書面等記載事項が記録された電磁的記録であって、各医療保険者から提供を受けた医療費通知情報(各医療保険者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものに限る。)を送信することにより、その書類の提出に代えることができることとされていた(旧国税オンライン化省令5②⑦)。
 他方、生命保険料控除証明書等の第三者作成書類については、添付書面等記載事項の電磁的記録であって、その書類の交付をする者の電子署名等が付されたものをe-Taxにより送信することが運用上は可能とされているものがあったが、上記の医療費通知情報を除き、明確な根拠規定を欠いている状況となっていた。
 今回の改正においては、こうした状況を踏まえ、生命保険料控除証明書等の一定の書類について、電子署名等が付された電磁的記録の送信による提出方法が法令上明確化された。
 具体的には、次の添付書面等については、その添付書面等記載事項が記録された電磁的記録であって、その添付書面等を交付すべき者から提供を受けたもの(その添付書面等を交付すべき者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものその他これに類する一定の電磁的記録に限る。)をe-Taxで送信することにより、その添付書面等の提出に代えることができることとされた(国税オンライン化省令5②三、平成31年国税庁告示第7号)。
① 生命保険料控除証明書(所令262①四)
② 地震保険料控除証明書(所令262①五)
③ 旧長期損害保険料控除証明書(平成18年改正所令附則14③)
④ 特定寄附金の明細書その他の書類(所令262①六、震災税特規2①)
⑤ 政党等に対する寄附金の額その他の事項を証する書類(措規19の10の3)
⑥ 特定非営利活動に関する寄附金の額その他の事項を証する書類(措規19の10の4)
⑦ 税額控除対象寄附金となる公益社団法人等に対する寄附金の額その他の事項を証する書類(措規19の10の5⑪)
⑧ 医療保険者等の医療費通知書(所規47の2⑨)
⑨ 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(令和2年10月1日以後)(措規18の22②、18の23の2⑮)
(3)適用関係 ① 上記(1)の改正は、平成31年4月1日から施行され(改正国税オンライン化省令附則①)、同日以後に行う申請等について適用されることとなる。
② 上記(2)の改正は、平成31年4月1日以後に行う申請等について適用される(改正国税オンライン化省令附則②)。

2 マイナポータルを利用した法人設立届出書等の提出に係る電子署名等の省略
(1)改正前の制度の概要
 e-Taxを使用して申請等を行う者は、その申請等に係る法令の規定において書面等に記載すべきこととされている事項並びに税務署長より通知された識別符号(ID)及び暗証符号(パスワード)を入力して、その申請等の情報に電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書と併せてこれらを送信することにより、その申請等を行わなければならないこととされている(国税オンライン化省令5①本文)。
 ただし、国税庁長官が定める次に掲げる者については、電子署名及びその電子署名に係る電子証明書(以下「電子署名等」という。)の送信を要しないこととされていた(国税オンライン化省令5①二、旧平成18年国税庁告示第32号)。
① e-Taxを使用して源泉所得税の徴収高計算書に係る申請等を行う者
② 税理士等が委嘱を受けて税務書類を作成し、委嘱者に代わってe-Taxを使用して申請等を行う場合のその委嘱者
③ 税務署長が提供する電子計算機等を使用してe-Taxにより申請等を行う者
④ 市町村長(特別区の区長を含む。)が提供する電子計算機等を使用してe-Taxにより申請等を行う者
⑤ e-Taxを使用して電子申請等証明書の請求を行う者
⑥ e-Taxを使用して納税証明書の請求を行い、その納税証明書を税務署窓口で書面により交付を受けようとする者
⑦ e-Taxによる申請等に係る開始届出等の際に行われた一定の本人確認に基づき通知された識別符号(ID)及び暗証符号(パスワード)を入力して申請等を行う者
⑧ 申請等を行おうとする法人の代表者から電子署名等の送信の委任を受けた者(その法人の役員又は職員に限る。)がその申請等を行う場合におけるその法人の代表者
(2)改正の内容  国税に関する法人設立届出書等の一定の設立関係書類について、法人がマイナポータルを利用して電子情報処理組織により申請等を行う場合において、その記載事項等をマイナポータルに入力して送信する際に、電子署名等の送信を行うときは、その設立関係書類の情報について電子署名等の送信を要しないこととされた。
 具体的には、e-Taxを使用して申請等を行う際に電子署名等の送信を要しない者の範囲に、マイナポータルを利用して申請等を行う場合において、その申請等につき規定した法令の規定において書面等に記載すべきこととされている事項をマイナポータルに入力して送信する際にその入力した情報に電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書と併せてこれらを送信するときにおけるその申請等を行う者が追加された(平成31年国税庁告示第6号)。
(注)上記の「一定の設立関係書類」については、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書等の書類とされる予定だが、その具体的な範囲については、今後、国税庁ホームページ等で示される予定である。
(3)適用関係  上記(2)の改正は、平成31年4月1日以後に行われる申請等について適用される(平成31年国税庁告示第6号前文)。なお、運用開始時期については、システムの準備等が整い次第となる予定だが、今後、国税庁ホームページ等で示される予定である。

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