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解説記事2019年07月15日 【SCOPE】 OEM(製造委託契約)による飲食料品の軽減税率適用の可否(2019年7月15日号・№795)

飲食料品の所有権が1つの判断ポイント
OEM(製造委託契約)による飲食料品の軽減税率適用の可否

 令和元年10月1日より消費税率が10%に引き上げられるとともに、飲食料品等を対象とした軽減税率制度が導入される予定となっている。各事業者や実務家においては、軽減税率制度の導入を踏まえた準備を急ピッチで行っていることだろう。ところで、この軽減税率制度だが、取扱いの整理が難しい取引の1つにいわゆるOEM(製造委託契約)がある。例えば、弁当などの食料品をOEMにより製造する場合、「製造販売」あるいは「賃加工」かによって適用税率が異なることになるからだ。実際のところ、「製造販売」あるいは「賃加工」のどちらに該当するかは、契約内容等により個別に判断することになるが、完成した食料品の所有権が製造元あるいは製造者のどちらにあるのかが1つの判断ポイントになるという。また、製造元からの食材等の無償支給か有償支給、あるいは自社調達かどうかなども判断材料となる。今回のスコープではケース別にOEMにおける基本的な適用税率の考え方を整理する。

OEMによる食料品の適用税率は契約内容で個別判断も
 軽減税率(8%)になるのか、あるいは標準税率(10%)になるのか、判断に迷う取引の1つがいわゆるOEM(original equipment manufacturer)だ。製造委託契約のことだが、これにより食料品を製造する場合、「製造販売」か「賃加工」かによって適用税率が異なることになる。「製造販売」であれば飲食料品の譲渡として軽減税率が適用されるが、「賃加工」に該当すれば、役務の提供として標準税率が適用されることになる。
 実際、「製造販売」になるのか、あるいは「賃加工」になるのかは、画一的に整理できるものではなく、その製造委託契約の内容等により個別に判断されることになる。
 ただし、「製造販売」又は「賃加工」を判断する際のポイントはある。その1つは完成品の所有権が製造元なのか、あるいは製造者なのかという点だ。例えば、完成した弁当の所有権が「製造者」にあれば、「製造販売」に該当し、軽減税率となる。
 また、完成品の所有権がどちらにあるのかということを考える上でポイントとなるのは、食材をどのように調達しているかだ。自社で調達したものか、あるいは製造元からの無償支給又は有償支給でも考え方が異なってくる。
食材を自社調達なら軽減税率  ではケース別にみてみることにしよう(参照)。まずケース1は自社調達の場合だ。食材を自社で調達したのであれば、完成した弁当の所有権は自ずと製造者側にあることが想定され、多くの場合で軽減税率が適用されることになろう。

製造元からの無償支給なら標準税率  ケース2は製造元から食材が無償で提供され、これをもとに弁当を作って納品する場合だ。無償支給の場合は、製造元に対して食料品を製造するという役務提供を行っていると考えられ、自社調達とは異なり、「賃加工」に該当し標準税率を適用することになろう。
有償支給の多くは「賃加工」で処理  判断に迷うのがケース3の有償支給の場合だ。製造元から有償で食材を調達する有償支給の場合は、「製造販売」にも「賃加工」にも該当し得ることが考えられる。ただ、実務上は製造元からの観点から「賃加工」と判断し、標準税率を適用しているケースが多いようだ。とはいっても各事業者、あるいは同じ事業者が製造する食料品によっても適用税率が異なることが多々あるという。
 なお、たまたま自社の調達先が製造元ということもあろう。このようなケースで軽減税率を適用する場合には、どのような理由で軽減税率を適用しているのか、税務調査の場面では税務署に説明できるようにしておくことが大切だ。
 しかし、前述のこれらの取扱いはあくまでも税率を適用する際の基本的な考え方だ。最終的には契約内容等を踏まえ個別に判断することになるが、いずれにせよ、製造元及び製造者の両者において適用税率の認識を合わせておくことが必要になる。

軽減税率の対象となる飲食料品とは?
 軽減税率の対象品目である「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)とされている。同法の「食品」とはすべての飲食物をいい、食品衛生法に規定する「添加物」も含まれる。ただし、ここでいう「飲食物」とは人の飲用又は食用に供されるものとなる。
 また、軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引時点)で行うため、販売事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となる。

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