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解説記事2019年07月29日 【税制改正解説】 令和元年度における法人税関係の改正について(2019年7月29日号・№797)

税制改正解説
令和元年度における法人税関係の改正について
 池田憲成

はじめに

 令和元年度(平成31年度)税制改正においては、消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から、住宅に対する税制上の支援策を講ずるとともに、車体課税について、地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行うこと、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し等を行うこと、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税の創設等を行うこととされたほか、森林環境税及び森林環境譲与税の創設、国際的な租税回避により効果的に対応するための国際課税制度の見直し、経済取引の多様化等を踏まえた納税環境の整備等を行うこととされた。
 このうち法人税関係(国際課税関係を除く。)については、最近における企業行動の実態に合わせた制度とするための組織再編税制等における対価に関する要件の見直し及び業績連動役員給与の損金算入要件のうち適正な手続に関する要件の見直し、企業会計における取扱いの明確化を踏まえた仮想通貨に関する税制の整備等のほか、研究開発税制の見直し、特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の創設等が行われる一方で、新事業開拓事業者投資損失準備金制度の廃止等、既存の租税特別措置の整理合理化が行われた。
 また、法人税関係の東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の改正では、避難解除区域等における復興の状況を踏まえ、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期間の延長等が行われた。
 本稿は、これらの改正の内容についての解説をするものである。

法人税法等の改正

Ⅰ 組織再編税制

1 改正の内容
(1)合併、分割及び株式交換における対価に関する要件の見直し
① 合併、分割及び株式交換の適格要件のうち対価要件について、合併法人、分割承継法人又は株式交換完全親法人(以下「合併法人等」という。)との間にその合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある一の法人の株式のみが交付される場合にも対価要件に該当することとされた(法法2十二の八、2十二の十一、2十二の十七、法令4の3一)。
② 被合併法人等の株主等の被合併法人等株式の譲渡損益の計上を繰り延べる要件について、合併法人等との間にその合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある一の法人の株式のみが交付される場合にもこの要件に該当することとされた(法法61の2②④⑨、法令119の7の2①③④)。
(2)株式交換等に係る株式の保有関係に関する要件の見直し  株式交換等の適格要件のうち株式交換等完全親法人との完全支配関係又は支配関係の継続に係る要件について、株式交換等後に株式交換等完全親法人を被合併法人とし、株式交換等完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その株式交換等の時からその適格合併の直前の時まで完全支配関係又は支配関係が継続することが見込まれていればこの要件に該当することとされた(法令4の3⑱~⑳)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、平成31年4月1日以後に行われる合併等について適用し、同日前に行われた合併等については、従前どおりとされている(改正法附則13、20①、改正法令附則6)。
(2)上記1(2)の改正は、平成31年4月1日以後に行われる株式交換等について適用し、同日前に行われた株式交換等については、従前どおりとされている(改正法令附則2)。

Ⅱ 役員給与の損金不算入

1 改正の内容
 損金算入できる業績連動給与の要件のうち適正な手続に関する要件について、次の見直しが行われた。
(1)報酬委員会又は報酬諮問委員会における決定等の手続について、次の見直しが行われた。
① 業務執行役員が報酬委員会又は報酬諮問委員会の委員でないこととの要件が除外された(法法34①三イ(2)、旧法令69⑮一・三⑯一・二)。
② 報酬委員会又は報酬諮問委員会の委員の過半数が独立社外取締役又は独立社外監査役であること並びに報酬委員会又は報酬諮問委員会の委員である独立社外取締役及び独立社外監査役の全員が業績連動給与の決定等に係る決議に賛成していることとの要件が追加された(法法34①三イ(2)、法令69⑯一イハ・三イ⑰一イハ・二イハ)。
③ 報酬諮問委員会に対する諮問等を経た取締役会の決議による決定に係る給与の支給を受ける業務執行役員がその諮問に対する意見に係る決議に参加していないこととの要件が追加された(法令69⑯三ニ⑰二ニ)。
(2)監査役会設置会社における監査役の過半数が適正書面を提出した場合の取締役会の決議による決定及び監査等委員会設置会社における監査等委員の過半数が賛成している場合の取締役会の決議による決定が除外された(旧法令69⑮四・五⑯三・四)。
2 適用関係  上記1の改正は、平成31年4月1日以後に終了する手続に係る給与について適用することとされている(改正法附則17①)。ただし、令和2年3月31日以前に終了する手続に係る給与については、改正前の規定を従来どおり適用できることとされている(改正法附則17②、改正法令附則5)。すなわち、適正な手続に関する要件以外の要件を満たす業績連動給与については、その算定方法に係る手続が平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間に終了する場合には、上記1の改正後の適正な手続又は改正前の適正な手続のいずれかに該当すれば損金算入の対象となる。

Ⅲ 仮想通貨

1 改正の内容
(1)
内国法人が仮想通貨の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、原則としてその譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされた。なお、譲渡原価を計算する場合における1単位当たりの帳簿価額は、移動平均法又は総平均法により算出することとされた(法法61①、法令118の5、118の6、119の3①②、119の4①④、法規26の9)。
(2)内国法人が事業年度終了の時において有する市場仮想通貨の評価額は時価法により評価した金額とし、その評価益又は評価損は当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされた(法法61②~④、法令118の7、118の8)。
(3)内国法人が仮想通貨信用取引を行った場合において、事業年度終了の時において決済されていないものがあるときは、その時において決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額を当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされた(法法61⑦⑧⑨、法規26の10)。
2 適用関係及び経過措置
(1)
上記1の改正(下記(3)及び(5)において述べる部分を除く。)は、法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税及び連結法人の同日以後に終了する連結事業年度の連結所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税及び連結法人の同日前に終了した連結事業年度の連結所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則12、改正法令附則10①)。
(2)法人が改正事業年度(平成31年4月1日以後最初に終了する事業年度をいう。以下同じ。)前の事業年度において仮想通貨の譲渡に係る契約をし、かつ、改正事業年度以後の事業年度においてその仮想通貨の引渡しをする場合におけるその譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、上記1(1)にかかわらず、その引渡しの日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとされている(改正法附則19①)。ただし、改正事業年度前の事業年度においてその譲渡に係る契約をし、かつ、その契約をした日の属する事業年度においてその譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入したものについては、この限りでないこととされ、その契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入した金額の修正の必要はないこととされている(改正法附則19①ただし書)。
(3)上記1(2)のうち適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあっては、残余財産の全部の分配を除く。以下「適格分割等」という。)に係る部分は、法人が平成31年4月1日以後に行う適格分割等について適用することとされている(改正法附則19②)。
(4)法人が有する市場仮想通貨のうち、平成31年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度(以下「経過事業年度」という。)終了の時において有するもの又は経過事業年度の同日以後の期間内に行われた適格分割等により分割承継法人、被現物出資法人若しくは被現物分配法人に移転したものがある場合において、これらの仮想通貨のいずれについても、経過事業年度の確定した決算において評価益又は評価損を収益又は損失として経理していないとき(適格分割等により移転した仮想通貨にあっては、評価益又は評価損に相当する金額を収益の額又は損失の額としていないとき)は、その経過事業年度については、その法人が有する市場仮想通貨は市場仮想通貨に該当しないものとして、上記1(2)を適用することができることとされている(改正法附則19③)。
(5)上記1(3)のうち適格分割又は適格現物出資に係る部分は、法人が平成31年4月1日以後に行う適格分割又は適格現物出資について適用することとされている(改正法附則19④)。
(6)法人が行った仮想通貨信用取引のうち、経過事業年度終了の時において決済されていないもの又は経過事業年度の平成31年4月1日以後の期間内に行われた適格分割若しくは適格現物出資により分割承継法人若しくは被現物出資法人にその契約を移転したものがある場合において、これらの取引のいずれについても、経過事業年度の確定した決算においてみなし決済損益額を収益又は損失として経理していないとき(適格分割又は適格現物出資により移転した契約に係る仮想通貨信用取引にあっては、みなし決済損益額に相当する金額を収益の額又は損失の額としていないとき)は、その経過事業年度については、上記1(3)を適用しないことができることとされている(改正法附則19⑤)。

Ⅳ その他

一 社会医療法人に対する税制上の措置
 社会医療法人について、認定要件の見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等とすることとされた(医療法規30の35の3①二ロ)。

二 農業協同組合中央会に対する税制上の措置  存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち引き続きその名称中に農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、法人税法別表第2に掲げる法人とみなすこととされた(法法附則19の2、法令附則12の2)。

三 収益事業から除外される事業の範囲  収益事業から除外される事業について、理容師養成施設又は美容師養成施設において行う美容修得者課程又は理容修得者課程における技芸の教授でその修業期間が1年以上(通信課程にあっては、1年6月以上)であること等の要件に該当するものが追加された(法規8一)。

四 課税所得の範囲の変更等  特定普通法人等が公益法人等に移行する場合に解散及び設立があったものとする措置等について、対象となる法人が特定普通法人等から普通法人又は協同組合等全般とされた(法法10の3①②、52⑫、法令14の11③、121の5①、125③、133の2⑤、139の4⑩、平成30年改正法附則25①、28③、平成30年改正法令附則13①)。

五 公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算  特定公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算について、対象となる法人が特定公益法人等から公益法人等全般とされた上、公益法人等が協同組合等に移行する場合についても対象とされた(法法64の4①②)。

六 連結納税への加入時期の特例  連結子法人となる法人が連結納税への加入時期の特例の適用を受ける場合にその納税地の所轄税務署長に提出することとされている書類について、連結親法人等がその納税地の所轄税務署長に提出することとされた(法法14②、法規8の3の12)。

七 連結子法人の本店等所在地の異動届出書  連結子法人の本店等所在地に異動があった場合に提出することとされている届出書について、連結子法人が、その連結子法人の異動前の本店等所在地の所轄税務署長に提出することとされた(法法20)。

八 設立等の届出書の添付書類の簡素化  法人設立届出書等について、定款等の写し以外の書類の添付が不要とされ、収益事業開始届出書について、収益事業の概要等を記載した書類及び合併により設立した法人に係る書類の添付が不要とされた(法法148①、法規63、65①)。

九 特別法人事業税の創設に伴う措置  特別法人事業税の創設に伴う所要の改正が行われた(法法39①三、39②三、55③三、62の5⑤、法令78の2①一二、78の2②一、111の4一ニ、旧法令139の6①)。

租税特別措置法の改正

Ⅰ 税額控除等関係

一 中小企業者等の法人税率の特例(連結:中小企業者等である連結法人の法人税率の特例)
1 改正の内容
 本制度について、対象法人のうち適用除外事業者に該当する普通法人の事業年度におけるこの制度の適用が停止された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の3の2①②、措法68の8①②)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。

二 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度 ① 税額控除割合が、次のとおりとされた(措法42の4①)。
 イ 増減試験研究費割合が8%を超える場合……9.9%に、その増減試験研究費割合から8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(上限:10%)
 ロ 増減試験研究費割合が8%以下である場合……9.9%から、8%からその増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(下限:6%)
 ハ その事業年度が設立事業年度である場合又は比較試験研究費の額が零である場合……8.5%
② 上記①イ及び下記④の税額控除割合の上限を14%(原則:10%)とする措置の適用期限が、令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の4③一)。
③ この制度の適用を受けようとする法人が次の要件を満たす場合には、その適用を受けようとする事業年度の税額控除額の上限を、当期の調整前法人税額の40%(原則:25%)相当額とする措置が講じられた(措法42の4②)。
 イ その事業年度がその法人の設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度に該当すること。 
 ロ その事業年度終了の時において翌期繰越欠損金額があること。
④ 試験研究費割合が10%を超える場合の措置について、税額控除割合を、上記①イからハまでにより算出した割合とその割合に控除割増率(その試験研究費割合から10%を控除した割合に0.5を乗じて計算した割合(上限:10%))を乗じて計算した割合とを合計した割合(上限:10%)とする措置が追加された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の4①③二)。
(2)中小企業技術基盤強化税制 ① 増減試験研究費割合が5%を超える場合の措置について、増減試験研究費割合が8%を超える場合の措置に見直された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の4⑤)。
② 上記(1)④と同じ見直しが行われた(措法42の4④~⑥)。
(3)特別試験研究費の額に係る税額控除制度 ① 委託研究に、大企業への一定の委託研究(税額控除割合:20%)が追加された(措法42の4⑧十、措令27の4⑱⑲、措規20⑳~)。
② 産業競争力強化法の新事業開拓事業者等との共同研究及び新事業開拓事業者等への委託研究に係る税額控除割合が、25%とされた(措法42の4⑧十、措令27の4⑱⑲、措規20⑫)。
③ 税額控除額の上限が、当期の調整前法人税額の10%(改正前:5%)相当額に引き上げられた(措法42の4⑦)。
(4)平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の4⑦)。
(5)組織再編成があった場合の比較試験研究費の額等の調整計算の適正化等が行われた。
 連結納税制度の場合についても、上記(1)から(5)までとおおむね同様の改正が行われている(措法68の9①~⑧、旧措法68の9⑦、措令39の39①⑤~⑨⑪⑰⑱、措規22の23⑧五⑫⑬⑳~ 五)。
 なお、税額控除限度額、中小連結法人税額控除限度額及び特別研究税額控除限度額は連結グループ全体で計算することとされている(措令39の39一・二・四、旧措令39の39六)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)①及び③、(2)①、(3)並びに(5)の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48、改正措令16)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48、改正措令16)。なお、上記1(1)④及び(2)②の改正は、同様に、法人の同日以後に開始する事業年度又は連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度について適用される(措法42の4③二⑥、68の9③二⑥)。
(2)上記1(4)の改正は、法人の平成31年4月1日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。連結納税制度の場合は、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。

三 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度(中小企業投資促進税制)
1 改正の内容
 本制度について、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度におけるこの制度の適用が停止された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の6①、68の11①、措令39の41①)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。

四 地域経済牽(けん)引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された。
(1)平成31年4月1日以後に新たに地域経済牽引事業計画の承認を受けた法人がその地域の成長発展の基盤強化に著しく資する承認地域経済牽引事業の用に供した機械装置及び器具備品について、特別償却割合が50%(改正前:40%)に、税額控除割合が5%(改正前:4%)に、それぞれ引き上げられた(措法42の11の2①②③、措法68の14の3①②、措令39の44の3②、措令27の11の2②、平31.3経済産業告84、平29.8総務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境告1①五)。
(2)特定事業用機械等の基準取得価額の計算における適用投資額の上限が、80億円(改正前:100億円)に引き下げられた(措法42の11の2①、措法68の14の3①②、措令39の44の3②)。
2 適用関係 (1)上記1(1)の改正は、平成31年4月1日から施行されている(改正法附則1)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定事業用機械等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定事業用機械等については、従前どおりとされている(改正法附則50)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則67)。

五 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された。
(1)中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度におけるこの制度の適用が停止された(措法42の12の3①、68の15の4①、68の11①、措令39の41①、措規22の30②③)。
(2)対象設備が、認定経営革新等支援機関等が特定中小企業者等の経営の改善に特に資することにつき確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載されたものに限定された(措法42の12の3①、68の15の4①、68の11①、措令39の41①、措規20の8②、22の30②③)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得等(取得又は製作若しくは建設をいう。以下同じ。)をする経営改善設備について適用し、法人が同日前に取得等をした経営改善設備については、従前どおりとされている(改正法附則51①)。ただし、法人が、同日前に経営改善指導助言書類の交付を受け、同日から令和元年9月30日までの間にその経営改善指導助言書類に係る経営改善設備の取得等をする場合には、その経営改善設備を上記1(2)の確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載された経営改善設備とみなすこととされている(改正法附則51②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則68)。

六 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度
1 改正の内容
 本制度について、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度におけるこの制度の適用が停止された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の12の4①、42の6①、68の15の5①、68の11①、措令39の41①)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。

七 法人税の額から控除される特別控除額の特例
1 改正の内容
 本制度における特定税額控除制度の不適用措置について、適用除外判定において基準所得等金額を計算することとなる前事業年度から最初課税事業年度開始の日前に終了する各事業年度が除かれることとなる特定普通法人等に該当していた公益法人等が、普通法人又は協同組合等に該当していた公益法人等とされた(措法42の13⑥、措令27の13⑤二ハ)。
2 適用関係  上記1の改正は、平成31年4月1日後に公益法人等に該当することとなる普通法人及び協同組合等について適用し、同日以前に公益法人等に該当することとなった特定普通法人等については、従前どおりとされている(改正措令附則19)。

八 その他の税額控除等制度  沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度の適用期限が、令和3年3月31日まで2年延長された(措法42の9①、68の13①、措令27の9①)。

Ⅱ 特別償却関係

一 特定設備等の特別償却制度
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)公害防止用設備の特別償却は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法43①表一、68の16①表一、旧措令28①⑧、39の49①⑧一、旧昭48.5大蔵告69別表1)。
(2)船舶の特別償却について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法43①表二、68の16①表二、措令28⑥、39の49③~⑤⑥二、平31.3財務告96二)。
① 外航船舶について、次の見直しが行われた。
 イ 特別償却割合が、次の外航船舶の区分に応じそれぞれ次のとおりとされた。
 (イ)特定先進船舶に該当する外航船舶
  A 日本船舶に該当するもの……20%(改正前:18%)
  B 日本船舶に該当しないもの……18%(改正前:16%)
(ロ)特定先進船舶に該当しない外航船舶
  A 日本船舶に該当するもの……17%(改正前:18%)
  B 日本船舶に該当しないもの……15%(改正前:16%)
 ロ 環境負荷低減に係る要件の見直しが行われた。
② 内航船舶について、環境負荷低減に係る要件の見直しが行われた(平27.3国土交通告473別表2①四②二)。
(3)自動車教習用貨物自動車の特別償却は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法43①表三、68の16①表三、旧措令28⑤⑧、39の49⑤⑧三、旧昭48.5大蔵告69別表3)。
2 適用関係 (1)上記1(1)及び(3)の改正は、法人が平成31年4月1日前に取得等(取得又は製作若しくは建設をいう。以下同じ。)をした公害防止用設備及び自動車教習用貨物自動車については、従前どおりとされている(改正法附則52①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則69①)。
(2)上記1(2)①イの改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得等をする船舶について適用し、法人が同日前に取得等をした船舶については、従前どおりとされている(改正法附則52①②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則69①②)。
(3)上記1(2)①ロ及び②の改正は、平成31年4月1日から施行されている(平31.3国土交通告494附則)。

二 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度
1 改正の内容
 本制度について、研究施設のうち機械装置の取得価額要件が400万円以上(改正前:240万円以上)に引き上げられた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法44①、68の19①、措令28の4②、39の51)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする研究施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした研究施設については、従前どおりとされている(改正措令附則20①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則31①)。

三 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(創設)
1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人で中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)等であるもののうち中小企業等経営強化法の認定を受けた同法の中小企業者に該当するものが、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日から令和3年3月31日までの間に、特定事業継続力強化設備等の取得等をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定事業継続力強化設備等の取得価額の20%相当額の特別償却ができる制度が創設された(措法44の2①、68の20①)。
2 適用関係  上記1の制度は、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(令和元年法律第21号)の施行の日から施行される(改正法附則1十六)。
 なお、法人の平成31年4月1日前に開始した事業年度においては、上記2(1)の中小企業者から適用除外事業者に該当するものを除外しないこととする読替え規定が設けられている(改正法附則52③)。連結納税制度の場合についても、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度において同様の読替え規定が設けられている(改正法附則69③)。
 この読替えによって、上記2(1)の中小企業者から適用除外事業者に該当するものが除外されるのは、平成31年4月1日以後に開始する事業年度となる。

四 特定地域における工業用機械等の特別償却制度
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法45②、措令28の9①一~五⑫一~四)。
(1)特定地域における産業振興機械等の割増償却のうち、半島振興対策実施地域に係る措置、離島振興対策実施地域に係る措置及び奄美群島に係る措置について、次の見直しが行われた(措法45②、68の27②、68の9⑧六、措令28の9⑯一⑱一⑳一、39の56⑤一⑥一⑦一、39の39⑪)。
① 適用要件について、中小規模法人のうち適用除外事業者に該当するものは、新設又は増設に係る対象設備の取得等をする場合に限定された。
② 製造業又は旅館業の用に供される設備の投資規模に係る要件について、中小規模法人のうち適用除外事業者に該当するものは、次の措置の区分に応じそれぞれ次の投資規模とされた。
 イ 半島振興対策実施地域に係る措置……2,000万円以上(改正前:資本金の額等に応じて、500万円、1,000万円又は2,000万円以上)
 ロ 離島振興対策実施地域に係る措置及び奄美群島に係る措置……2,000万円以上(改正前:資本金の額等に応じて、500万円又は1,000万円以上)
(2)特定地域における産業振興機械等の割増償却のうち振興山村に係る措置について、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度におけるこの措置の適用が停止された(措法45②)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48、改正措令附則16)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48、改正措令附則16)。

五 医療用機器の特別償却制度(改正後:医療用機器等の特別償却制度)
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)高度な医療の提供に資する機器について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(措法45の2①、68の29①措令28の10②一、平31.3厚生労働告151)。
① 対象機器のうち構想区域等内の病院におけるCT及びMRIについて、配置効率化要件が付された。
② 対象機器の追加及び除外がされた。
(2)次の措置が追加された。
① 青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、勤務時間短縮用設備等の取得等をして、これをその法人の営む医療保健業の用に供した場合には、その医療保健業の用に供した日を含む事業年度において、その勤務時間短縮用設備等の取得価額の15%相当額の特別償却ができる措置(措法45の2②④、68の29②)
② 青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、構想区域等内において、構想適合病院用建物等の取得等をして、これをその法人の営む医療保健業の用に供した場合には、その医療保健業の用に供した日を含む事業年度において、その構想適合病院用建物等の取得価額の8%相当額の特別償却ができる措置(措法45の2③、68の29③)
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作をする医療用機器について適用し、法人が同日前に取得又は製作をした医療用機器については、従前どおりとされている(改正措令附則20②)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)上記1(2)の措置は、平成31年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

六 特定都市再生建築物等の割増償却制度(改正後:特定都市再生建築物の割増償却制度)
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された。
(1)特定都市再生建築物等から下水道法の浸水被害対策区域内に建築し、又は設置される雨水貯留利用施設が除外された(旧措法47の2③二、68の35③二、旧措令29の5③、旧措規20の21②二、22の42②二)。
(2)都市再生特別措置法の認定計画(国家戦略特別区域法の認定を受けた区域計画を含む。)に基づく都市再生事業により特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において整備される建築物に係る割増償却割合が、25%(改正前:30%)に引き下げられた(措法47の2①、68の35①)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成31年4月1日前に取得又は新築をした雨水貯留利用施設については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則52⑤、改正措令附則20③、改正措規附則10)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則69⑤、改正措令附則31②、改正措規附則14)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした特定都市再生建築物については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則52④⑤、改正措令附則20③、改正措規附則10)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則69④⑤、改正措令附則31②、改正措規附則14)。

七 その他の特別償却制度  共同利用施設の特別償却制度及び事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度の適用期限が、令和3年3月31日まで2年延長された(措法44の3①、46の2①、68の24①、68の33①)。

Ⅲ 準備金等関係

一 新事業開拓事業者投資損失準備金制度
1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法55の
2、68の43の2、旧措令32の3、39の72の2、旧措規21の2、22の46)。
2 適用関係  上記1の改正は、平成31年4月1日前に受けた計画の認定に係る投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結している法人が同日以後に終了する各事業年度において有しているその投資事業有限責任組合の組合財産である新事業開拓事業者の株式については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則53、改正措令附則21、改正措規附則11)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則70、改正措令附則32①、改正措規附則15)。

二 保険会社等の異常危険準備金制度
1 改正の内容
 本制度について、火災保険等に係る特例積立率が6%(改正前:5%)に引き上げられた上、火災保険等に係る積立率の特例及び火災等共済組合等の共済に係る積立率の特例の適用期限が令和4年3月31日まで3年延長された(措令33の2⑲⑳、39の83⑲⑳)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正措令附則16)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則32②)。

三 中小企業等の貸倒引当金の特例(改正後:中小企業者等の貸倒引当金の特例)(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)
1 改正の内容
 本制度のうち公益法人等又は協同組合等の繰入限度額の割増率の適用に関する特例は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法57の9③、68の59③)。
2 適用関係  上記1の改正は、公益法人等又は協同組合等の令和5年3月31日以前に開始する各事業年度の所得の金額の計算については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則54)。ただし、その適用における割増率(改正前:110%)は、次の事業年度の区分に応じそれぞれ次のとおり逓減することとされている。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則71)。
(1)平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間に開始する事業年度……108%
(2)令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する事業年度……106%
(3)令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間に開始する事業年度……104%
(4)令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度……102%

四 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度
1 改正の内容
 本制度について、海外探鉱準備金に係る措置につき次の見直しが行われた上、制度の適用期限が令和4年3月31日まで3年延長された。
(1)海外探鉱準備金に係る措置について、次の見直しが行われた。
 ① 国内鉱業者に準ずる法人の認定に係る要件における国外子会社及び他の会社の持分割合の判定方法等が、株数割合から議決権割合とされた(措令34⑧⑨⑩四)。
 ② 海外自主開発法人の認定に係る要件における内国法人により引き取られていることとされる国外にある鉱山から採取される鉱物の数量が、その鉱物の数量の40%以上(改正前:30%以上)に引き上げられた(措令34⑩三)。
(2)適格合併に係る合併法人がその合併事業年度においてこの制度の適用を受けなかった場合には、その合併事業年度開始の日からその適用を受ける最初の事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度を不適用事業年度等とみなすこととする等の所要の改正が行われた。
2 適用関係  上記1の改正は、平成31年4月1日以後に国内鉱業者又は国内鉱業者に準ずる法人の認定を受ける法人及び同日以後に海外自主開発法人の認定を受ける外国法人について適用し、同日前に国内鉱業者又は国内鉱業者に準ずる法人の認定を受けた法人及び同日前に海外自主開発法人の認定を受けた外国法人については、従前どおりとされている(改正措令附則22)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則33)。

五 その他の準備金制度  海外投資等損失準備金制度について、準備金に係る特定法人を被合併法人等とする適格合併等が行われた場合にその適格合併等の対価として交付される株式等の発行法人を特定法人とみなす措置につき、その特定法人とみなされる法人が、その適格合併等に係る合併法人等又はその合併法人等の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係がある法人とされた。

Ⅳ 土地税制関係

一 土地の譲渡等がある場合の特別税率
1 改正の内容
 本制度における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置について、対象となる土地等の譲渡に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の裁定に係る裁定申請書に記載された事業を行うその裁定申請書に記載された事業者に対する次の土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが追加された(措法62の3④八の三)。
(1)その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地等
(2)その裁定申請書に添付された事業計画書の計画にその事業者が取得するものとして記載がされた特定所有者不明土地以外の土地等
2 適用関係  上記1の改正は、令和元年6月1日から施行されている(改正法附則1二)。
 なお、この制度は、適用停止中であることから、経過措置は設けられていない。連結納税制度の場合についても同様である。

二 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)適用対象となる場合に、土地等が所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合が追加された(措法64①一、33①一)。
(2)上記(1)の見直しに伴い、適用対象となる補償金に、その土地の上にある資産の損失につき所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定により受けた補償金が追加された(措令39⑰二)。
(3)簡易証明制度における証明書について、次の見直しが行われた。
 ① 特定被災区域内において都市計画事業に準ずる事業として行う一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業のために買い取られる土地等であることにつき、国土交通大臣等のその事業が基準に該当する事業である旨を証する書類は、その証明期限(平成31年3月31日)の到来をもって除外された。
 ② 上記(1)及び(2)の見直しに伴い、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定に基づいて収用又は使用することができる資産であることにつき、その資産の所在する地域を管轄する都道府県知事のその資産の収用又は使用についての裁定をした旨を証する書類が追加された。
2 適用関係 (1)上記1(1)の改正は、令和元年6月1日以後に資産が収用され、補償金を取得する場合について適用し、同日前に資産が収用され、補償金を取得した場合については、従前どおりとされている(改正法附則34②)。連結納税制度の場合についても同様である。
(2)上記1(2)の改正は、法人が令和元年6月1日以後に資産の損失に対する補償金を取得する場合について適用し、法人が同日前に資産の損失に対する補償金を取得した場合については、従前どおりとされている(改正措令附則23①)。連結納税制度の場合についても同様である。

三 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)
1 改正の内容
 本制度について、適用対象となる場合に、次の場合が追加された。
(1)文化財保護法の重要文化財として指定された土地又は同法の史跡、名勝若しくは天然記念物として指定された土地が、文化財保存活用支援団体に買い取られる場合(措法65の3①四、措令39の4④)
(2)農業経営基盤強化促進法の農用地で農用地利用規程の特例に係る事項が定められた農用地利用規程に基づいて行われる農用地利用改善事業の実施区域内にあるものが、申出に基づき、農地中間管理機構に買い取られる場合(措法65の3①七、措令39の4⑤)
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成31年4月1日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされている(改正法附則55①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされている(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72②)。

四 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
1 改正の内容
 本制度について、農業経営基盤強化促進法の農用地で農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域として定められている区域内にあるものが、協議に基づき、農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合につき、次の見直しが行われた。
(1)買取りをする者である農地利用集積円滑化団体等について、農地利用集積円滑化団体が除外され、農地中間管理機構に限定された(措法65の4①二十五、措令39の5、措規22の5①三十)。
(2)買い取られる場合から上記三1(2)の場合に該当する場合が除外された(措法65の4①二十五)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされている(改正法附則55③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72③)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされている(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72②)。

五 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)
1 改正の内容
 本制度について、適用対象となる場合から次の場合が除外された。
(1)
上記三1(2)の場合に該当する場合(措法65の5①一~三、68の76①)
(2)農地利用集積円滑化団体に対しその農地利用集積円滑化事業のために農地又は採草放牧地で農用地区域として定められている区域内にあるもの等を譲渡した場合(措令39の6②、措規22の6④四)
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされている(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則72②)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされている(改正措令附則23③)。連結納税制度の場合についても同様である。

Ⅴ その他の特別措置関係

一 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)
1 改正の内容
 本制度について、国税庁長官の承認及び承認の取消しに係る要件における厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準のうち、「その医療法人の事業について、社会保険診療に係る収入金額等の合計額が全収入金額の80%を超えること」とする基準におけるその収入金額等の合計額に、障害福祉サービス等に係る収入金額が追加された(平15.3厚生労働告147一イ)。
2 適用関係  上記1の改正は、医療法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度について適用し、医療法人の同日前に開始した事業年度については、従前どおりとされている(平31.3厚生労働告152前文)。連結納税制度の場合についても同様である。

二 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例(連結:中小連結法人の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例)
1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成31年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法67の5の2、68の102の3、旧措令39の28の2、39の124の2、旧措規22の17の2、22の80)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人について平成31年4月1日前に再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生じた場合におけるその法人のその事実が生じた日を含む事業年度以後の各事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則59)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則76)。

三 投資法人に係る課税の特例
1 改正の内容
 本制度について、「他の法人の発行済株式等の総数等の50%以上の数等の株式等を有していないこと」との要件が、「投資法人が他の法人の株式等を有している場合又は匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次の割合のいずれもが50%以上でないこと」との要件とされた(措法67の15①二ヘ、措令39の32の3⑧⑨)。
(1)その投資法人が有している他の法人の株式の数等がその他の法人の発行済株式の総数等のうちに占める割合
(2)その投資法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合
2 適用関係  上記1の改正は、投資法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、投資法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則48)。

四 農業協同組合等の合併に係る課税の特例
1 改正の内容
 本制度について、対象となる合併から全国の区域を地区とする農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併が除外された上、その適用期限が令和4年3月31日まで3年延長された(措法68の2、旧措法68の2一)。
2 適用関係  上記1の改正は、全国の区域を地区とする農業協同組合連合会が平成31年4月1日前に行ったその農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併については、従前どおりとされている(改正法附則62)。

五 特定投資信託に係る受託法人の課税の特例
1 改正の内容
 本制度について、「特定投資信託の信託財産に同一の法人の発行済株式の総数の50%以上の数等の株式等が含まれているものでないこと」との要件が、「特定投資信託の信託財産に法人の株式等が含まれている場合又は特定投資信託に係る受託法人が匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次の割合のいずれもが50%以上でないこと」との要件とされた(措令39の35の3⑦一、措規22の20の3⑤)。
(1)その特定投資信託の信託財産に含まれている法人の株式の数等がその法人の発行済株式の総数等のうちに占める割合
(2)その特定投資信託に係る受託法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合
2 適用関係  上記1の改正は、特定投資信託に係る受託法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、特定投資信託に係る受託法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正措令附則16)。

六 課税所得の範囲の変更等の場合の特例
1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた。
(1)特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合等における調整措置の対象となる法人が、特定普通法人等から普通法人又は協同組合等全般とされた(措法68の3の4①②)。
(2)特定普通法人等がその特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併を行った場合における調整措置の対象となる被合併法人が、特定普通法人等から普通法人又は協同組合等全般とされた(措法68の3の4⑤、措令39の35の4③)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、平成31年4月1日後に公益法人等に該当することとなる普通法人及び協同組合等について適用し、同日以前に公益法人等に該当することとなった特定普通法人等については、従前どおりとされている(改正法附則65)。
(2)上記1(2)の改正は、平成31年4月1日後に行われる普通法人又は協同組合等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併について適用し、同日以前に行われた特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併については、従前どおりとされている(改正措令附則28)。

七 その他の特別措置  沖縄の認定法人の課税の特例の適用期限が、令和3年3月31日まで2年延長された(措法60①表一・二②、68の63①表一・二②)。

Ⅵ その他

中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し

1 改正の内容
 次の表の各制度における中小企業者から除外されるみなし大企業について、次の見直しが行われた。


 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の9③~⑤⑧五、68の10①②、68の11①②、68の15①②、68の15の4①②、68の15の5①②、68の15の6②③十一、68の15の8⑥、68の18①②、68の27②表四、68の102の2①、震災税特法26①、26の3①、措令39の39⑪、39の45①、震災税特令23の3①)。
(1)みなし大企業の判定における大規模法人に、次の法人が追加された(措法42の4⑧七、42の6①、措令27の4⑫、27の6①)。
① 次の法人(大法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
 イ 資本金の額等が5億円以上である法人
 ロ 相互会社及び外国相互会社のうち、常時使用従業員数が1,000人を超えるもの
 ハ 受託法人
② 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式等の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人
(2)みなし大企業の判定における大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(その判定の対象法人の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法の認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限る。)が除外された(措法42の6①、措令27の6①)。
  なお、この見直しの対象となる制度は、次の6制度とされている。
① 中小企業投資促進税制(上記表(3))
② 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(上記表(5))
③ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(上記表(6))
④ 被災代替資産等の特別償却制度(上記表(9))
⑤ 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(措法44の2①)
⑥ 被災代替資産等の特別償却制度(上記表(12))
(3)みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式等からその対象法人の有する自己の株式等が除外された(措法42の4⑧七、42の6①、措令27の4⑫、27の6①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)(3)と同様の改正が行われている(措法68の9⑧六、68の11①、措令39の39⑪、39の41①)。
2 適用関係
(1)
上記1(1)及び(3)の改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則49、改正措令附則16、18①)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則66、改正措令附則16、30①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、従前どおりとされている(改正法附則49)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則66)。

Ⅶ 震災税特法関係

一 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度
1 改正の内容
 本制度のうち復興産業集積区域内において産業集積事業等の用に供される機械等に係る措置
について、認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除く。)の指定を受けた法人が、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、その認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限る。)内において、取得等をして産業集積事業等の用に供した機械装置並びに建物等及び構築物に係る特別償却割合及び税額控除割合がそれぞれ次のとおり引き上げられ、平成31年3月31日以前の特別償却割合及び税額控除割合が維持された(震災税特法17の2④一ロホ・二イハ、25の2④一ロホ・二イハ、旧震災税特法17の2④一ロニ・二ロニ、25の2④一ロニ・二ロニ)。
(1)機械装置
 ① 特別償却割合……50%(改正前:34%)
 ② 税額控除割合……15%(改正前:10%)
(2)建物等及び構築物
 ③ 特別償却割合……25%(改正前:17%)
 ④ 税額控除割合……8%(改正前:6%)
2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物については、従前どおりとされている(改正法附則93)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則96)。

二 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度
改正の内容
 本制度について、提出企業立地促進計画の提出日又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等については、その適用期間の末日を、そのいずれか遅い日以後7年(改正前:5年)を経過する日とする等の見直しが行われた(震災税特法17の2の2①②、25の2の2①②、旧震災税特法26の8⑱二・三、震災税特令17の2の2一、22の2の2①一、旧震災税特令23の7②)。

三 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度
改正の内容
 本制度について、避難解除区域等に係る居住等の制限指示を除く避難指示が解除された日又は居住等の制限指示が解除された日のいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等については、その適用期間の末日を、そのいずれか遅い日以後7年(改正前:5年)を経過する日とする等の見直しが行われた(震災税特法17の2の3①②、25の2の3①②、震災税特令17の2の3一・二ロ、22の2の3①一・二ロ)。

四 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度
1 改正の内容
 本制度について、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除く。)の指定を受けた法人が、その指定をした認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限る。)内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額に係る税額控除割合が10%(改正前:7%)に引き上げられ、平成31年3月31日以前の税額控除割合が維持された(震災税特法17の3①、25の3①)。
2 適用関係  上記1の改正は、平成31年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

五 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度
改正の内容
 本制度について、提出企業立地促進計画の提出日又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等については、その適用を受けようとする法人の福島県知事の認定を受ける期間の末日を、そのいずれか遅い日以後7年(改正前:3年)を経過する日とする等の見直しが行われた(震災税特法17の3の2①、25の3の2①、震災税特令17の3の2①、22の3の2①)。

六 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度
改正の内容
 本制度について、避難解除区域等に係る居住等の制限指示を除く避難指示が解除された日又は居住等の制限指示が解除された日のいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等については、その適用を受けようとする法人の福島県知事の確認を受ける期間の末日を、そのいずれか遅い日以後7年(改正前:3年)を経過する日とする等の見直しが行われた(震災税特法17の3の3①、25の3の3①、震災税特令17の3の3①、22の3の3①)。

七 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等制度
1 改正の内容
 本制度について、認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除く。)の指定を受けた中小企業者等が、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、その認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限る。)内において、取得等をして開発研究の用に供した開発研究用資産に係る特別償却割合が50%(改正前:34%)に引き上げられ、平成31年3月31日以前の特別償却割合が維持された(震災税特法17の5①二、25の5①二、旧震災税特法17の5①二、25の5①二、措法68の9⑧六、措令39の39⑪)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする開発研究用資産について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした開発研究用資産については、従前どおりとされている(改正法附則94)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則97)。

八 被災代替資産等の特別償却制度
1 改正の内容
 本制度について、被災代替資産のうち船舶から漁船以外の船舶が除外された上、その適用期限が令和3年3月31日まで2年延長された(震災税特法18①、26①、震災税特令18四)。
2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成31年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする被災代替資産等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした被災代替資産等については、従前どおりとされている(改正震災税特令附則5)。連結納税制度の場合についても同様である。

九 帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等(連結:連結法人が帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除の特例等)(創設)
1 制度の概要
 この制度は、次の(1)及び(2)の措置によって構成されている(震災税特法18の10①②)。
(1)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(1,500万円特別控除制度)の特例  この措置は、法人の有する土地等で避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業(特定公益的施設又は特定公共施設の整備に関する事業であって、地方公共団体の管理の下に行われるものに限る。)の実施区域内にあるものが、その記載された事業の用に供するために買い取られる場合には、その買い取られる場合を特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(以下「1,500万円特別控除制度」という。)の対象となる買い取られる場合とみなして、1,500万円特別控除制度を適用できるというものである(震災税特法18の10①)。
(2)土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の特例  この措置は、法人が帰還環境整備推進法人に対しその有する土地等で避難解除区域等のうちその帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業(適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための事業に限る。)の実施区域内にあるものの譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその記載された事業の用に供されるものであるときは、その土地等の譲渡を土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の対象となる土地等の譲渡とみなして、その措置を適用できるというものである(震災税特法18の10②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記(1)及び(2)と同様の措置が講じられている(震災税特法26の10)。
2 適用関係 (1)上記1(1)の措置は、法人が平成31年4月1日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされている(改正法附則95)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則98)。
(2)上記1(2)の措置は、みなすこととされている土地の譲渡等がある場合の特別税率における令和2年3月31日までにされた土地の譲渡等についてはその適用が停止されていることから(措法62の3⑮)、経過措置は設けられていない。連結納税制度の場合についても同様である。

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