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税務ニュース2006年01月30日 最高裁、旺文社事件で法人税法22条2項の取引該当性を判示(2006年1月30日号・№148) 株式評価・資産価値の移転額等を算定するため、東京高裁に差し戻し

最高裁、旺文社事件で法人税法22条2項の取引該当性を判示
株式評価・資産価値の移転額等を算定するため、東京高裁に差し戻し


最高裁判所第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、1月24日、関連会社への資産価値の移転が、法人税法22条2項に規定する「無償による資産の譲渡」に該当するかが主たる争点となった旺文社事件について、「この資産価値の移転は、上告人において意図し、アスカファンド社において了解したところが実現したものということができるから、法人税法22条2項にいう取引に当たるというべきである。」・「企業の継続を前提とした株式の評価を行う場合であっても、平成7年2月当時において、法人税額等相当額を控除して評価すべきもの」などと判示して、原判決を破棄し、資産価値の移転額などを算定させるため、本件を東京高裁に差し戻した。

事案の概要
 本件は、旺文社(現オーブンシャホールディング(株)、以下「上告人」)がオランダにおいて設立した100%出資の子会社であるアトランティック社が、その発行済株式総数の15倍の新株を上告人の関連会社であるアスカファンド社に著しく有利な価額で発行したことに関して、被上告人が、上告人の有するアトランティック社株式の資産価値のうち上記新株発行によってアスカファンド社に移転したものを、上告人のアスカファンド社に対する寄付金と認定して、上告人の当該事業年度の更正等をしたことから、上告人がその取消しを求める事案である。
 第一審(東京地裁)は、上告人はアスカファンド社に対して何らの行為もしておらず、法人税法22条2項(無償による資産の譲渡又はその他の取引)及び132条1項1号(同族会社の行為計算否認)のいずれにも該当しないとして、処分を取消した。
 控訴審(東京高裁)は、増資により法22条2項に規定する事実が生じたと認め、第一審判決を取消し、請求を棄却した。
 上告審においては、①原審の法人税法22条2項の解釈適用の誤り、②各株式の評価方法の誤り(時価純資産価額方式により評価する場合において法人税額等相当額を控除すべきであることなど)が争点となった。


争点①法人税法22条2項の解釈
 上告人の①原審の法人税法22条2項の解釈適用の誤りの主張に対して、藤田裁判長は、「上告人の保有するアトランティック社株式に表章された同社の資産価値については、上告人が支配し、処分することができる利益として明確に認めることができるところ、上告人はこのような利益を,アスカファンド社との合意に基づいて同社に移転したというべきである。したがって、この資産価値の移転は、上告人の支配の及ばない外的要因によって生じたものではなく、上告人において意図し、かつ、アスカファンド社において了解したところが実現したものということができるから、法人税法22条2項にいう取引に当たるというべきである。」と判示して、上告人の主張を斥けた。

争点②各株式の評価方法
 また、②の争点に対しては、(イ)アトランティック社の保有する文化放送株式の評価方法について、「平成7年2月当時における当該株式の1株あたりの純資産価額の評価において、法人税額等相当額を控除して評価すべきである。」、(ロ)文化放送等が保有するフジテレビ株式の評価方法について、原審が持株比率や課税上の弊害について何ら審理判断していないことを指摘し、「課税上の弊害があるとして、時価純資産価額方式によって評価すべき場合には、重ねて法人税額等相当額を控除することなく算定すべきである。」、(ハ)アトランティック社が保有するテレビ朝日株式の評価方法について、原審が持株比率や課税上の弊害について何ら審理判断していないことを指摘し、「仮にテレビ朝日株式を配当還元方式により評価することに課税上の弊害があるとすれば、法人税基本通達9-1-14(4)に基づき時価純資産価額方式によって評価すべきことになる。この場合には、法人税額等相当額を控除することが通常の取引における当事者の合理的意思に合致しないものであるかどうか、ひいては、前記の課税上の弊害があるかどうかを判断するために、前記の上告人又はその主要株主と上告人の子会社との間におけるテレビ朝日株式の各売買からうかがわれる関係者の同株式の価額についての認識等を審理すべきである。」と判示し、原判決を破棄し、各株式の評価方法に関して各点を審理するとともに、文化放送株式を法人税額等相当額を控除する純資産価額方式により評価し、これらに基づいてアトランティック社の純資産価額、価値移転額及びこれを前提とした上告人の納付すべき金額を算定させるため、審理を原審(東京高裁)に差し戻す判決を言渡した。
 

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