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税務ニュース2003年03月03日 どうすべき?当局控訴後のストック・オプション申告(直前編) ポイントは、附帯税・期限・立証責任・賠償責任

どうすべき?当局控訴後のストック・オプション申告(直前編)
ポイントは、附帯税・期限・立証責任・賠償責任


 本誌創刊号【1月6日号】では、東京地裁民事3部が海外親会社から付与されたストック・オプションの権利行使時の利益に対する所得区分を「一時所得」と認定し、課税処分を取り消した判決を行った一方で、国側が控訴を行い、「給与所得」としての課税を継続していく方針であることから、今後の申告に細心の注意と説明責任が求められることをお伝えした。確定申告に直面する実務家からは、考えられる手続きについて具体的なメリット・デメリットの説明を求める声が多い。争訟には多様な対応が考えられるが、訴訟決着までを視野に入れた一般的な手続きのメリット・デメリット等を紹介する。なお、海外親会社から付与されたストック・オプションの権利行使時の利益を申告せずに刑事訴追された例もあるので、「所得区分の主張」と「脱税」とは明確に区分しておく必要がある。


①給与所得で申告・更正の請求はしない
手続き:給与所得で申告
メリット
・課税当局と争わない。
・附帯税等は生じない。
・法定申告期限から1年以内であれば②更正の請求を行うことができる(国税通則法23条①)し、法定申告期限から5年以内であれば③職権減額更正(国税通則法70条②)の嘆願を行うことができる。
デメリット
・不服申立て・訴訟による解決ができない。
・一定期間(法定申告期限から1年間・5年間)を経過することにより、国側敗訴が確定した場合においても裁判の結果を援用することが難しい。
・国側敗訴が確定した場合に、依頼者から債務不履行で責任追及される可能性がある。

②給与所得で申告・更正の請求
手続き:当初申告を給与所得で申告、法定申告期限から1年以内に一時所得での更正の請求書を提出
メリット
・附帯税等は生じない。
・更正をすべき理由がない旨の通知処分に対し、不服申立て・訴訟の道が開ける。
・係争中に国側が取扱いの変更をした場合に救済される可能性が高い。
デメリット
・更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消請求訴訟では、立証責任が納税者にあると判断される場合があり、立証が容易でない場合には不利となる。
・更正の請求について、調査が行われる。

③給与所得で申告・職権減額更正の嘆願
手続き:当初申告を給与所得で申告、法定申告期限から5年以内に一時所得での減額更正を税務署長に対して嘆願する。
メリット
・附帯税等は生じない。
・嘆願中に国側が取扱いの変更をした場合に救済される可能性がある。
デメリット
・嘆願が認められなくても、不服申立て・訴訟の道は開けない。
・更正の嘆願について、調査が行われることがある。
・国側が給与所得から一時所得に取扱いの変更をした場合でも救済されるか不明確。

④一時所得で申告・修正申告に応ずる
手続き:当初申告を一時所得で申告、指摘を受けて、給与所得での修正申告を行う。
メリット
 納税者の主張(一時所得)を一度は明らかにすることができる。
デメリット
・課税庁からの指摘による場合、原則として加算税・延滞税が生じる。
・不服申立て・訴訟による解決は期待できない。
・修正申告について更正の請求を行おうとする場合に、更正の請求に関する期間制限(法定申告期限から1年以内)で、更正の請求が行えない場合が生じてくる。
・税理士等専門家が関与して修正申告を行った場合には、錯誤を主張しにくいので、無効確認を行いにくい。
     
⑤一時所得で申告・更正処分を受ける
手続き:当初申告を一時所得で申告、給与所得での更正処分を受ける。
メリット
・納税者の主張(一時所得)が鮮明となる。
・更正処分に対し、不服申立て・訴訟ができる。
・国側が給与所得から一時所得に取扱いの変更をした場合には、当事者として、更正処分が取り消されることになる。
デメリット
・更正処分について、原則として加算税・延滞税が生じる。
・係争に心理的・時間的・金銭的コストが生じる。

⑥一時所得で申告・調査なし・申告是認
手続き:当初申告を一時所得で申告、更正の期間制限(法定申告期限から3年を経過した日)を経過する。
メリット
 納税者の主張(一時所得)が確定する(当局は更正することができない。)。
デメリット
・課税当局が海外親会社から付与されたストック・オプションの権利行使時の利益に関心を持っている現状では、このような経過は期待しにくい。
 結局①②⑤の3パタ-ンが選択肢として有力であり、法定申告期限から5年以内に一時所得としての取扱いを課税当局が認める場合に、職権減額更正の嘆願という手法が浮上することになる。

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