カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

会計ニュース2003年05月18日 どうなる?時価会計の選択制 現行会計基準をやさしく図解(2003年5月5号・№018) ニュース特集 企業会計基準委員会にて議論開始!!

ニュース特集

企業会計基準委員会にて議論開始!!

どうなる?時価会計の選択制
現行会計基準をやさしく図解


 3月24日に与党金融政策プロジェクト・チームは緊急金融対応策を発表、その中で①減損会計適用時期の見直し、②長期保有の有価証券の時価評価及び強制評価減の見直し-を企業会計基準委員会に要請しました。この問題は、その結論によってはさまざまな影響が予想されるため、社会的な注目がとても高いといえます。そこで、今回の特集では、見直し論議の経緯を振り返るとともに、現行会計基準をやさしく図解してみました。

見直し論議の経緯

緊急金融対応策(抜粋)
固定資産の減損会計、有価証券の強制評価減の見直し
 現下の経済情勢、企業活動に与える影響に鑑み、①固定資産の減損会計に係る強制適用開始時期の延期(2年)、②長期保有の有価証券の時価評価及び強制評価減の見直し(選択制)を、金融庁・財務会計基準機構(企業会計基準委員会)に強く要請する。


4月17日に企業会計基準委員会(ASB)にて「第1回 減損会計及び時価評価の適用に関する緊急検討」が開催され、そこでテーマとして取り上げること、並びに①可及的速やかな検討、②現行の会計基準の基本的枠組みを所与、③平成15年3月期を対象に含めることは難しい―の3点の方針が決定されました。



ASBは本テーマにつき4月22日に第2回、5月1日に第3回の委員会を開催し、参考人聴取などを行い市場関係者の意見の集約を図っています。


固定資産の減損会計に係る強制適用開始時期の延期について
 固定資産の減損会計に係る会計基準は平成17年4月1日以後開始する事業年度から強制適用される予定です。減損会計の詳細については本誌11号(3月17日号)を参照してください。



 現在、ASBでは、この強制適用開始時期を延期することが妥当なのかどうかを検討しています。


長期保有の有価証券の時価評価及び強制評価減の見直し(選択制)について
 このテーマについては(1)有価証券の評価基準と(2)有価証券の強制評価減―の2つにわけて、各々を選択制とすることの是非につき検討する必要があります。

(1)有価証券の評価基準
 有価証券は種類ごとに評価基準が異なります(なお、債券は償却原価法の適用もあります)。
有価証券
売買目的有価証券
満期保有目的の債券
子会社株式及び関連会社株式
その他有価証券
時価あり
時価評価(A)
取得原価
取得原価
時価評価(B)
時価なし
取得原価
取得原価
取得原価

(A)売買目的有価証券の時価評価とは
 売買目的有価証券とは短期間の価格変動により利益を得ることを目的して保有する有価証券をいい、通常は同一銘柄に対して相当程度の反復的な購入と売却が行われるものをいいます。金融機関などが売買目的で有するケースを想定しており、通常の事業会社の場合であれば、売買目的であってもその他の有価証券に分類されるのが普通です。売買目的有価証券の評価差額は当期の損益としてP/Lに計上されます。
 もっとも、売買目的有価証券は「長期保有の有価証券」とはいえないため、今回の議論の対象とはなっていません。



(B)時価のあるその他有価証券の時価評価とは
 その他有価証券とは、「売買目的有価証券」「満期保有目的の債券」「子会社株式及び関連会社株式」以外の有価証券をいいます。その他有価証券の時価評価差額は税効果を控除した上で資本の部に計上されます。



 さて、与党案では「長期保有の有価証券」とありますので、議論の対象を特定する必要が生じてきます。この点、ASBでは(B)の「時価のあるその他有価証券」につき、時価評価と原価評価を選択制とすることが妥当なのかどうかを検討しています。



(2)有価証券の強制評価減
 有価証券の種類ごとに強制評価減(減損処理)の適用の有無についてまとめると次のようになります。
有価証券
売買目的有価証券
満期保有目的の債券
子会社株式及び関連会社株式
その他有価証券
時価あり
適用あり
適用あり
適用あり(C)
時価なし
適用あり
適用あり
適用あり


(C)「時価のあるその他有価証券」の強制評価減とは
 時価と取得原価を比較し、時価が著しく下落し、かつ、回復する見込みがあると認められる場合以外のときに、取得原価を強制的に切下げ、当該切下額をP/Lに計上する必要があります。



 ASBでは、(C)の「時価のあるその他有価証券」並びに(C)以外の強制評価減が適用される有価証券について、強制評価減をしない処理を選択制として認めるべきか否かにつき検討しています。


なにが問題なのか
 与党案につき、賛成・反対の立場からさまざまな意見が主張されています。それらをまとめてみました。
賛成の立場
反対の立場
・デフレ・スパイラルの要因を除去すべき。
・金融不安の要因を除去すべき。
・生命保険会社(以下、生保)においては、保険契約期間が長期に及ぶため、必然的に受け取った保険料を長期間運用せざるを得ない状況にある。
一般事業会社と比べて、有価証券を保有する目的や保有する期間が著しく異なる保険業においては、会計実態のより適切な開示のために、業種固有の会計処理を検討する余地がある。
・一度決めたルールを覆すのはわが国の会計制度に対する信頼を失わせ、国際的な資金調達を困難とし、レジェンド(本誌15号(4月14日号)の7ページ参照)も外れなくなる。
・実態を写す鏡・尺度に過ぎない会計をいじったところで実態は何も変わらない。むしろ利害関係者の意思決定をミス・リードしてしまう。
・時価評価及び強制評価減を選択制とすると比較可能性が害されるし、健全性が損なわれる。
・仮に、生保につき特例を認めた場合、生命保険契約の際において、分析能力の劣る契約者に、生保の財務状況につき誤解が生じる可能性がある。


「減損会計及び時価評価の適用に関する緊急検討」に関する意見の募集  
企業会計基準委員会(ASB)では、本テーマにつき、5月9日(金)までに意見を募集しています。
詳細はこちら http://www.asb.or.jp/urgent/

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索