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会社法ニュース2003年07月07日 連結計算書類の概要を探る!(2003年7月7日号・№026) ニュース特集 3月決算会社は平成17年3月決算から適用

ニュース特集

3月決算会社は平成17年3月決算から適用

どうなる!?連結決算書類
連結計算書類の概要を探る!


 平成14年の商法改正等に伴い、証券取引法だけでなく、いよいよ商法上においても連結計算書類が導入されることになります。今回の特集では、連結計算書類の概要について簡単にご紹介します。


連結計算書類の適用時期

 平成14年の商法改正等の大きな改正項目の一つである連結計算書類の導入ですが、これは、株主等に対する情報開示の充実を図る観点から商法特例法上の大会社に対して義務付けるものです。
 ただ、実際に、連結計算書類の作成は、平成16年4月決算における定時株主総会から適用になります。3月決算会社であれば、平成17年3月決算における定時株主総会です。これは、商法特例法の附則第8条において、「施行(※平成15年4月1日)後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは適用しない」とされているからです。
 3月決算会社であれば、適用までにもうしばらく間がありますが、のんびりと構えているわけにはいきません。なぜかといえば、今回の連結計算書類の導入により、監査役と会計監査人の権限が、商法上の子会社だけでなく、商法特例法上の連結子会社にまで、財産の状況などを調査することができることになっているからです。
 これに伴い、監査役の兼任禁止の範囲や会計監査人の欠格事由の対象に、連結子会社が含まれることになっています。このため、3月決算会社の場合であれば、来年の定時株主総会までに満たさなければならないのです(下表参照)。





 連結子会社といっても商法と証券取引法とでは意味が異なります。商法特例法及び商法施行規則では、「他の株式会社により経営を支配されているものとして法務省令等で定める会社」(商特1条の2④)とされ、「同項の株式会社の子法人等のうち子会社以外のもの」(商規142条)とされており、証取法上の連結子会社と同じなのは、商法施行規則では「連結子法人等」となります。

 
改正前
改正後
監査役の資格監査役はその会社または子会社の取締役、支配人、その他の使用人と兼職することはできない。右に加え、連結子会社の取締役・執行役・支配人その他の使用人を兼務することはできない。
会計監査人の資格会社の子会社若しくはその取締役若しくは監査役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者については、会計監査人となることはできない。右に加え、連結子会社についても同様になります。


連結計算書類作成会社とは?
 連結計算書類の作成が義務付けられるのは、当分の間、証券取引法第24条第1項により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出すべきものとされる会社をいいます。簡単にいえば、商法特例法上の大会社で有価証券報告書を提出している会社。これは、すでに連結決算が導入されている有報提出会社に限定することで、実務上の混乱を避ける意味があります。

連結の範囲は?
 連結計算書類を作成する上で、連結の対象となる会社は、証券取引法における連結の範囲と同じです。証券取引法では平成12年3月期から実質支配力基準が導入され、議決権を50%以下しか所有していなくても実質的に意思決定機関を支配していれば、子会社として連結の範囲に加えられています。一方、商法上では、形式基準が採用されており、議決権を50%超所有していなければ、子会社となりません。しかし、今回の商法施行規則では、「子法人等」という新しい概念を導入し、証券取引法と商法特例法による連結の範囲を同一のものとしています。


連結計算書類とは?
 連結計算書類とは、連結貸借対照表と連結損益計算書の2種類です。証券取引法で義務付けられている連結財務諸表は、①連結貸借対照表、②連結損益計算書、③連結キャッシュ・フロー計算書、④連結剰余金計算書、⑤連結附属明細表となっていますが、商法特例法上では、前述の2つの作成が義務付けられているのみです。記載内容についても、会計方針の注記やセグメント情報の注記などの省略が認められています。
証券取引法商法特例法
・連結貸借対照表
・連結損益計算書
・連結キャッシュ・フロー計算書
・連結剰余金計算書
・連結附属明細表
・連結貸借対照表
・連結損益計算書

Columu連結計算書類の記載内容の省略
連結計算書類については、連結財務諸表と比べて記載内容が大幅に簡素化されています。例えば、セグメント情報の注記、リース取引に関する注記、関連当事者との取引に関する注記、税効果会計に関する注記、有価証券に関する注記、デリバティブ取引に関する注記、退職給付に関する注記については、商法施行規則に定めがないことから省略可能となっています。また、連結財務諸表規則第13条、14条に基づき記載されている注記等のうち、会計処理の原則及び手続を変更した場合の変更の理由、事業年度等に関する事項なども省略可能なほか、個別計算書類の営業報告書に記載がある場合には、連結計算書類での注記が省略可能です。


連結計算書類の作成までの日程とその手続き
 連結計算書類についても監査役会及び会計監査人の監査を受ける必要があります。では、連結計算書類を作成してから株主総会までの日程とその手続きについてみてみることにしましょう。
 まず、取締役が連結計算書類を作成した後は、取締役会の承認が必要になります。取締役は、個別計算書類の場合は、定時株主総会の8週間前までに監査役会及び会計監査人に提出することになっていましたが、連結計算書類の場合は定時株主総会の6週間前までに監査役会及び会計監査人に提出し、監査を受けることになります(右図1参照)。これは、連結計算書類が個別計算書類をベースに作成されることを考慮したためです。
 会計監査人は、連結計算書類を受領した日から4週間以内に監査報告書を監査役会及び取締役に提出することになります。これは、従来の個別計算書類における監査日数と同じです(右図2参照)。
 監査役については、連結計算書類の監査を終了したときに監査役会に報告します。また、監査役会は、会計監査人の監査報告書を受領した日から1週間以内に監査報告書を作成し、取締役会に提出します。その際、監査報告書の謄本を会計監査人に交付することになります(右図3参照)。これも個別計算書類の監査日数と同じです。
 しかし、これらの日程については、取締役、監査役会、会計監査人の三者が合意した場合には、これら前述の期限を延長又は短縮することが可能になっています。実務的な観点から、定時株主総会の6週間前までに連結計算書類を作成することが困難である会社に配慮したものです(14頁参照)。
 取締役会の承認を受けた連結計算書類については、監査の終了に関わらず、定時株主総会の2週間前までに招集通知に添付して株主に送付することになっています。しかし、監査報告書を添付するかどうかは、日程を考慮して会社の任意になっています(右図4参照)。
 定時株主総会においては、取締役が連結計算書類の内容と監査役会及び監査報告書の概要を報告することになります(右図5参照)
 なお、取締役及び監査役は連結計算書類に対する質問事項について、説明義務があります。





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