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会社法ニュース2003年08月04日 早速おさえる 自己株式取得緩和と中間配当限度額の計算方法の変更(2003年8月4日号・№030) ニュース特集 商法が改正されました!

ニュース特集

商法が改正されました!

早速おさえる 自己株式取得緩和と中間配当限度額の計算方法の変更

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(議員立法)が7月23日、参議院本会議で可決されました。自己株式取得方法が緩和され、また、中間配当限度額の計算方法が変更されました。施行日については、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。そこで今回の特集は、改正内容を取り上げてみました。なお、本誌6月16日号の12ページもあわせてご覧ください。


公開会社に限り、定款授権に基づく取締役会決議による自己株式取得が可能となりました。
新旧対照表(青字が改正個所)

211条ノ3
第1項 会社ハ取締役会ノ決議ヲ以テ其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得第2項 前項ノ決議ハ買受クベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額ニ付之ヲ為スコトヲ要ス

 


第3項 前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第293条ノ5第3項各号ノ金額及同条第1項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ

211条ノ3
第1項 会社ハ左ニ掲グル場合ニハ取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クルコトヲ得
1.其ノ子会社ノ有スル自己ノ株式ヲ買受クルトキ
2.取締役会ノ決議ヲ以テ自己ノ株式ヲ買受クル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テ第210条第9項本文ニ規定スル方法ニ依リ自己ノ株式ヲ買受クルトキ

第2項 前項ノ決議ハ買受クベキ株式ノ種類、総数及取得価額ノ総額ニ付之ヲ為スコトヲ要ス


第3項 前項ノ取得価額ノ総額ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第293条ノ5第3項第1号乃至第4号ノ金額及同条第1項ノ規定ニ依リ分配シタル金銭ノ額ノ合計額ヲ控除シタル残額ニ同条第3項第5号乃至第7号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第4項 第1項ノ決議ニ依リ自己ノ株式ヲ買受ケタル場合(同項第1号ニ掲グル場合ヲ除ク)ニ於テハ其ノ決議前ニ終結シタル最後ニ招集セラレタル定時総会ノ終結後ニ買受ケタル自己ノ株式ノ買受ヲ必要トシタル理由並ニ其ノ株式ノ種類、数及取得価額ノ総額ヲ同項ノ決議ニ依ル買受後最初ニ招集セラレタル定時総会ニ於テ報告スルコトヲ要ス



改正趣旨
 改正前は、自己株式取得のためには定時株主総会で取得枠(*1)を決議し、さらに取締役会で実際の取得に関する決議を行う必要がありました(図1参照)。しかし、定時株主総会の決議を要求すると機動的な対応ができない等の欠点があります。この点、株式消却特例法では公開会社に限り取締役会決議により自己株式を取得することができたのですが、平成13年10月に同法は廃止されたため、産業界から商法改正の要望がありました。そこで、今回の商法改正で、公開会社に限って(*2)定款で授権しておけば取締役会決議だけで自己株式を取得できるように改正されました(図2参照)。
*1 枠とは、株式の種類、総数、取得価額の総額のこと。総数についての制約はありません。取得価額の総額に関する制限はあります。なお、「証券取引所取引又は公開買付」以外の方法で買い受ける場合は、売主についての決議も必要です。
*2 211条ノ3第1項第2号によると、「第210条第9項本文ニ規定スル方法ニ依リ」とあり、210条第9項本文には「市場ニ於テスル取引又ハ(中略)公開買付けノ方法」とあります(6ページ下の参考)。よって、本改正点は公開会社にのみ影響があるといえ、非公開会社は依然として、定時株主総会で取得枠を決議する必要があります。


中間配当限度額の計算方法が変更されました。
新旧対照表(青字が改正個所)

293条ノ5
第1項 営業年度ヲ一年トスル会社ハ定款ヲ以テ一営業年度ニ付一回ニ限リ営業年度中ノ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於ケル株主ニ対シ取締役会ノ決議ニ依リ金銭ノ分配ヲ為スコトヲ得ル旨ヲ定ムルコトヲ得
(中略)
第3項 第1項ノ金銭ノ分配ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリノ金額ヲ控除シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
1.最終ノ決算期ニ於ケル資本及準備金ノ合計額
2.最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ積立テタル利益準備金及金銭ノ分配ノ時ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ合計額
3.最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額及第210条第1項ノ決議ニ依リ定メタル株式ノ取得価額ノ総額ノ合計額
4.其ノ他法務省令ニ定ムル額

293条ノ5
第1項 営業年度ヲ一年トスル会社ハ定款ヲ以テ一営業年度ニ付一回ニ限リ営業年度中ノ一定ノ日ヲ定メ其ノ日ニ於ケル株主ニ対シ取締役会ノ決議ニ依リ金銭ノ分配ヲ為スコトヲ得ル旨ヲ定ムルコトヲ得
(中略)

 

 

第3項 第1項ノ金銭ノ分配ハ最終ノ貸借対照表上ノ純資産額ヨリ第1号乃至第4号ノ金額ヲ控除シタル残額ニ第5号乃至第7号ノ金額ヲ加算シタル額ヲ限度トシテ之ヲ為スコトヲ得
1.最終ノ決算期ニ於ケル資本及準備金ノ合計額
2.最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ積立テタル利益準備金及金銭ノ分配ノ時ニ積立ツルコトヲ要スル利益準備金ノ合計額
3.最終ノ決算期ニ関スル定時総会ニ於テ利益ヨリ配当シ若ハ支払フモノト定メ又ハ資本ニ組入レタル額及第210条第1項又ハ第211条ノ3第1項ノ決議ニ依リ定メタル株式ノ取得価額ノ総額ノ合計額
4.前三号ニ掲グルモノノ外法務省令ニ定ムル額
5.最終ノ決算期後減少シタル資本準備金又ハ利益準備金ノ額ヨリ其ノ資本準備金又ハ利益準備金ノ減少ニ係ル第289条第2項各号ニ定ムル額ヲ控除シタル額
6.最終ノ決算期後減少シタル資本ノ額ヨリ其ノ資本ノ減少ニ係ル第375条第1項各号ニ定ムル額ヲ控除シタル額
7.前二号ニ掲グルモノノ外法務省令ニ定ムル額




改正趣旨
 中間配当限度額の計算に際し、改正前の計算式では、最終のB/S(前期末のB/Sのこと)を用いることとされていたため、減資や法定準備金の取崩による減少額を原資に自己株式を取得しようとすると、中間配当原資より自己株式取得枠が二重に控除されてしまうという問題点がありました。実際に、この法の不備を理由にアサヒビールや日本ユニパックホールディングが中間配当を見送ったという経緯があります(なお、両社とも分配できなかった中間配当額を期末配当にまわすことで年間配当予定総額は維持しました)。そこで、計算方法の不備につき改正が必要となりました。
 改正前と改正後の中間配当限度額を具体的な数字を使って計算してみましょう。



<前提となるデータ>








B

S




資本金
1,000
資本剰余金
1資本準備金
500
2その他資本剰余金
利益剰余金
1利益準備金
250
2当期未処分利益
500
資本合計
2,250














当期未処分利益
500
利益処分額
配当金
300
取締役賞与金
20
監査役賞与金
10
次期繰越利益
170


定時総会で決議した自己株式取得価額総額
500
定時総会で決議した資本準備金取崩額(自己株式取得目的。債権者保護手続完了)
500



<計算結果の新旧比較:号数は商法293条の5第3項の号数>

<改正前の計算方法>
 <改正後の計算方法>
最終B/Sの純資産
2,250
同左
2,250
1号最終B/Sの資本金(1,000)
-1,750
1号同左
-1,750
 
+法定準備金(500+250)
 
2号利益準備金は資本金の
2号同左
1/4まで積立済のため積立不要
3号定時総会で決議した利益配当額
-830
3号同左
-830
 
(300)や役員報酬(30)+定時総会で決議した自己株式取得価額(500)
 
 
5号最終の決算期後減少した準備金
+500



 
中間配当可能限度額
-330
中間配当可能限度額
170
 



 上記の計算例から、改正前の計算式によると中間配当限度額がゼロ(マイナス300)であったのに対し、改正後の計算式によると170確保されていることが分かるかと思います。
 
(参考)
第210条 会社ガ自己ノ株式ヲ買受クルニハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外定時総会ノ決議アルコトヲ要ス
(中略)
第9項 第1項ノ決議ニ基キ株式ヲ買受クルニハ市場ニ於テスル取引又ハ証券取引法(昭和23年法律第25号)第2章の2第2節ニ定ムル公開買付けノ方法ニ依ルコトヲ要ス但シ第2項第2号ニ掲グル事項ニ付決議アルトキハ此ノ限ニ在ラズ


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