会社法ニュース2012年10月22日 最高裁、詐害的な会社分割を認めず(2012年10月22日号・№472) 会社法改正でも承継財産を限度に債務の履行の請求可能へ
最高裁、詐害的な会社分割を認めず
会社法改正でも承継財産を限度に債務の履行の請求可能へ
最高裁判所第二小法廷(千葉勝美裁判長)は10月12日、債務超過であった会社が行った新設分割が詐害行為に該当するかどうかで争われた事案で、「新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず、新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は、民法424条の規定により、詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができると解される」との判断を示した。債務超過となっている会社が新設分割を行うことにより、一部の優良資産や事業等を承継させた後、分割会社を清算するという再建手法が採られるケースがあるが、なかには濫用的であるとして訴訟に至っているケースも多い。今回の最高裁の判断は、これらの訴訟の先鞭をつけるものである。
原審の大阪高裁は、新設分割は財産権を目的とする法律行為であり、会社法810条の定める債権者保護手続の対象とされていない債権者については詐害行為取消権の行使が否定されるべき理由はなく、新設分割は詐害行為取消権行使の対象になり得ると判断。被上告人(債権者)の請求を認めていた。
最高裁も、①会社法その他の法令において、新設分割が詐害行為取消権行使の対象となることを否定する明文の規定は存しない、②新設分割により新たに設立される株式会社に債権に係る債務が承継されずに保護されない債権者については、詐害行為取消権によってその保護を図る必要性があると指摘している。
なお、法制審議会が取りまとめた「会社法制の見直しに関する要綱」には、民法上の詐害行為取消権に加えて、会社法において、残存債権者が詐害的な会社分割に係る行為を取り消すことなく、新設会社等(承継会社)に対しても、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求することができる旨が盛り込まれている。将来的には会社法でも濫用的な会社分割は認められなくなる。
会社法改正でも承継財産を限度に債務の履行の請求可能へ
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原審の大阪高裁は、新設分割は財産権を目的とする法律行為であり、会社法810条の定める債権者保護手続の対象とされていない債権者については詐害行為取消権の行使が否定されるべき理由はなく、新設分割は詐害行為取消権行使の対象になり得ると判断。被上告人(債権者)の請求を認めていた。
最高裁も、①会社法その他の法令において、新設分割が詐害行為取消権行使の対象となることを否定する明文の規定は存しない、②新設分割により新たに設立される株式会社に債権に係る債務が承継されずに保護されない債権者については、詐害行為取消権によってその保護を図る必要性があると指摘している。
なお、法制審議会が取りまとめた「会社法制の見直しに関する要綱」には、民法上の詐害行為取消権に加えて、会社法において、残存債権者が詐害的な会社分割に係る行為を取り消すことなく、新設会社等(承継会社)に対しても、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求することができる旨が盛り込まれている。将来的には会社法でも濫用的な会社分割は認められなくなる。

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