会社法ニュース2013年04月22日 運用報告書の虚偽記載等、罰則を強化へ(2013年4月22日号・№496) 金商法改正案が国会提出、5%ルール緩和やインサイダー見直しも

運用報告書の虚偽記載等、罰則を強化へ
金商法改正案が国会提出、5%ルール緩和やインサイダー見直しも

金商法改正案が国会に提出。公募増資インサイダーを踏まえた罰則等の強化などが柱。施行は、原則として公布の日から1年以内。
AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直しでは不正行為に対する罰則を大幅に引き上げ。
銀行等の5%ルールの緩和では、事業再生会社の場合、3年間・100%保有できることに。
 4月16日に国会に提出された金融商品取引法等の一部を改正する法律案では、すでにお伝えしている通り、公募増資インサイダーを踏まえた罰則等の強化や取引規制の緩和が行われる(本誌494・495号参照)。投資法人についても新たにインサイダー取引規制が導入される。
 また、AIJ問題を踏まえた再発防止策も実施される。具体的には、①生命保険会社の運用実績連動型保険契約に係る運用報告書交付義務を定める、②顧客が年金基金等の場合について、信託銀行が作成する信託財産状況報告書の交付頻度を四半期毎に引き上げる、③厚生年金基金が特定投資家になるための要件を限定する。加えて不正行為に対する罰則を強化する(下参照)。
 銀行法関係では、議決権保有規制(いわゆる5%ルール)を緩和する。現行ではDES(デット・エクイティ・スワップ)に限り1年間に50%株式を保有することができたが、その範囲を拡大する。DESの場合は3年間(中小企業の場合は5年間)に限り、株式を100%保有することを認める。また、事業再生会社についても3年間(中小企業の場合は5年間)に限り、株式を100%保有することを認める。当初の案では、10年間保有することができるとされていたが、銀行経営に悪影響が及ぼしかねないとの自民党からの指摘を踏まえ、見直されることになった。
 なお、事業再生会社についても当初は地域経済活性化支援機構などの第三者が関与した案件についても対象とされていたが、裁判所が関与する案件(会社更生、民事再生、特定調停等)に限定された。

【表】不正行為に対する罰則の強化
不正行為 改 正 案 現  行
運用報告書等の虚偽記載 懲役3年以下・罰金300万円以下(法人重課3億円以下) 懲役6月以下・罰金50万円以下(法人重課なし) 
勧誘の際の虚偽告知 懲役3年以下・罰金300万円以下(法人重課3億円以下) 懲役1年以下・罰金100万円or300万円以下(法人重課なしor2億円以下)
投資一任契約の締結の偽計 懲役5年以下・罰金500万円以下(法人重課5億円以下) 懲役3年以下・罰金300万円以下(法人重課3億円以下)

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