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会社法ニュース2016年02月08日 株主総会決議事項の登記時に株主リスト(2016年2月8日号・№629) 法務省、商業登記規則を改正して平成28年10月から施行へ

株主総会決議事項の登記時に株主リスト
法務省、商業登記規則を改正して平成28年10月から施行へ

商業登記規則等の一部を改正する省令案が公表。登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合には、上位10名等の株主リストの添付を義務付けへ。
平成28年10月頃の施行予定。中小企業は株主リストの整備が必要。
 株主総会決議を登記する際には、株主リストの添付が求められることになりそうだ。法務省は1月29日、商業登記規則等の一部を改正する省令案を公表し、2月28日まで意見募集を開始した(商業登記規則部分の新旧対照表は次頁以降を参照)。
 今回の改正は、株主総会議事録等を偽造して役員になりすまし、役員の変更登記又は本人の承諾のない取締役の就任の登記申請を行った上で会社の財産を処分するなど、商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為が散見されていることなどを踏まえたものである。
 省令案によると、登記すべき事項について株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高い上位の10名又は有する議決権の数の割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数のうち、いずれか少ない人数の株主の①氏名又は名称、②住所、③当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数、④当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求めている(改正商業登記規則(案)61条3項)。
 また、登記すべき事項について、総株主又は種類株主全員の同意を要する場合には、株主すべて又は種類株主すべての①氏名又は名称、②住所、③株式の数、④議決権の数を証する書類が義務付けられることになる(改正商業登記規則(案)61条2項)。
 法務省では、株式会社の主要株主等の情報を商業登記所に提出することにより、事実でない株主総会議事録が作成され登記されることを防ぐことができるほか、関係者が事後的に株主総会決議の効力を訴訟等で争う場合等においても有益になるとしている。ただ、中小企業の中には、株主リストの管理をしていないケースもあり、一刻も早い整備が必要になりそうだ。
 そのほか、附属書類の閲覧請求の規定も整備している(改正商業登記規則(案)21条)。附属書類の閲覧の申請人に対して、申請人の住所及び閲覧する部分の記載を求めるとともに、利害関係を証する書面の添付を求めることとされている。
 なお、施行は平成28年10月頃が予定されている。

重要資料
商業登記規則等の一部を改正する省令新旧対照条文
 
(傍線部分は改正部分)
○ 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
改 正 案 現  行
(附属書類の閲覧請求)
第二十一条
 登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、請求の目的として、閲覧しようとする部分を記載しなければならない。
 前項の申請書には、第十八条第二項各号(第三号を除く。)に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が署名し、又は押印しなければならない。
  申請人の住所
  代理人によつて請求するときは、代理人の住所
  前項の閲覧しようとする部分について利害関係を明らかにする事由
(附属書類の閲覧請求)
第二十一条
 登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、請求の目的として、閲覧しようとする附属書類を記載しなければならない。
 前項の申請書には、利害関係を明らかにする事由を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が署名し、又は押印しなければならない。
 第一項の申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
  申請人が法人であるときは、当該法人(当該登記所の管轄区域内に本店若しくは主たる事務所を有するもの又は前項の申請書に会社法人等番号を記載したものを除く。)の代表者の資格を証する書面
  前項第三号の利害関係を証する書面
(新設)
(添付書面)
第六十一条
 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
(添付書面)
第六十一条
 (同左)
 登記すべき事項につき次の各号に掲げる者全員の同意を要する場合には、申請書に、当該各号に定める事項を証する書面を添付しなければならない。
  株主 株主全員の氏名又は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあつては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。次項において同じ。)及び議決権の数
  種類株主 当該種類株主全員の氏名又は名称及び住所並びに当該種類株主のそれぞれが有する当該種類の株式の数及び当該種類の株式に係る議決権の数
(新設)
 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。
  十名
  その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数
(新設)












4~11 (略) 2~9 (略)
(準用規定)
第九十二条 第六十一条第九項及び第六節(第八十六条を除く。)の規定は、合同会社について準用する。この場合において、第八十三条及び第八十四条中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」と、第八十八条の二第一項中「社員の加入による変更」とあるのは「業務を執行する社員の加入若しくは業務執行権の付与による変更」と、同項及び同条第二項中「社員、」とあるのは「業務を執行する社員、」と読み替えるものとする。
(準用規定)
第九十二条
 第六十一条第七項及び第六節(第八十六条を除く。)の規定は、合同会社について準用する。この場合において、第八十三条及び第八十四条中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」と、第八十八条の二第一項中「社員の加入による変更」とあるのは「業務を執行する社員の加入若しくは業務執行権の付与による変更」と、同項及び同条第二項中「社員、」とあるのは「業務を執行する社員、」と読み替えるものとする。
(添付書面の特則)
第百三条
 (略)
2 (略)
3 第百一条第一項第一号の規定により登記の申請をする場合において、申請人等が、前条第二項の添付書面情報として、第六十一条第七項の就任を承諾したことを証する書面に代わるべき情報であつて当該就任を承諾した者が第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信し、併せて、前条第五項第二号の規定により同条第三項第二号又は第三号に掲げる電子証明書を送信したときは、当該申請については、当該就任を承諾した者についての第六十一条第七項の規定は適用しない。
(添付書面の特則)
第百三条
 (同左)
2 (同左)
3 第百一条第一項第一号の規定により登記の申請をする場合において、申請人等が、前条第二項の添付書面情報として、第六十一条第五項の就任を承諾したことを証する書面に代わるべき情報であつて当該就任を承諾した者が第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信し、併せて、前条第五項第二号の規定により同条第三項第二号又は第三号に掲げる電子証明書を送信したときは、当該申請については、当該就任を承諾した者についての第六十一条第五項の規定は適用しない。

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