税務ニュース2016年04月11日 みなし配当でも資力喪失の非課税譲渡に(2016年4月11日号・№638) 審判所が初判断、みなし配当も資力喪失に伴う“資産の譲渡による所得”
みなし配当でも資力喪失の非課税譲渡に
審判所が初判断、みなし配当も資力喪失に伴う“資産の譲渡による所得”
所得税法9条1項10号では、資力を喪失して債務を返済することが著しく困難である場合における強制換価手続による資産の譲渡による所得は、非課税とする旨が規定されている(以下「本件非課税規定」)。
この規定は、強制換価手続により資産の譲渡が行われる場合、資産所有者の経済状況が悪化していて、その保有資産の全部をもってしても全債務の返済が困難な場合が多く、このような場合に課税しても結果的に徴収不能となることが明らかなことなどを踏まえ定められたもの。適用要件である「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」について、所得税基本通達9-12の2では、「債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合をいい、これに該当するかどうかは、これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する」旨が規定されている。なお、この通達の判定基準は、東京高裁平成23年2月23日判決において支持されている。
ところで、本件非課税規定の条文の文言に着目すると、非課税とされる所得は“資産の譲渡による所得”と規定されている。
そのため、自己株式買取りの際に生じる「みなし配当(配当所得)」が本件非課税規定の“資産の譲渡による所得”に該当するのか否かという疑問が生じるところだ。
この点に関し、国税不服審判所は、平成27年7月28日裁決のなかで、みなし配当でも本件非課税規定の対象になり得るという判断を示している。審判所への取材によると、この裁決事例は、みなし配当も本件非課税規定の対象になり得るという判断を初めて示した点、注目される。
なお、この裁決事例は、請求人が裁判所による株式の譲渡命令により行った発行法人に対する株式の譲渡による所得(みなし配当)が本件非課税規定の非課税所得に該当するか否かが争われたもの。審判所は、請求人は株式譲渡命令の確定時において、資力を喪失して債務を返済することが著しく困難である場合に該当しないと判断し、請求人の審査請求を棄却している。
審判所が初判断、みなし配当も資力喪失に伴う“資産の譲渡による所得”
|
この規定は、強制換価手続により資産の譲渡が行われる場合、資産所有者の経済状況が悪化していて、その保有資産の全部をもってしても全債務の返済が困難な場合が多く、このような場合に課税しても結果的に徴収不能となることが明らかなことなどを踏まえ定められたもの。適用要件である「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」について、所得税基本通達9-12の2では、「債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合をいい、これに該当するかどうかは、これらの規定に規定する資産を譲渡した時の現況により判定する」旨が規定されている。なお、この通達の判定基準は、東京高裁平成23年2月23日判決において支持されている。
ところで、本件非課税規定の条文の文言に着目すると、非課税とされる所得は“資産の譲渡による所得”と規定されている。
そのため、自己株式買取りの際に生じる「みなし配当(配当所得)」が本件非課税規定の“資産の譲渡による所得”に該当するのか否かという疑問が生じるところだ。
この点に関し、国税不服審判所は、平成27年7月28日裁決のなかで、みなし配当でも本件非課税規定の対象になり得るという判断を示している。審判所への取材によると、この裁決事例は、みなし配当も本件非課税規定の対象になり得るという判断を初めて示した点、注目される。
なお、この裁決事例は、請求人が裁判所による株式の譲渡命令により行った発行法人に対する株式の譲渡による所得(みなし配当)が本件非課税規定の非課税所得に該当するか否かが争われたもの。審判所は、請求人は株式譲渡命令の確定時において、資力を喪失して債務を返済することが著しく困難である場合に該当しないと判断し、請求人の審査請求を棄却している。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.