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税務ニュース2017年01月30日 特恵税率巡り通関業者の賠償責任認めず(2017年1月30日号・№676) 地裁、通関手続きに関する委任契約上の注意義務違反は認められず

特恵税率巡り通関業者の賠償責任認めず
地裁、通関手続きに関する委任契約上の注意義務違反は認められず

原告企業が通関業者に対して、関税の特恵税率を受けることができる要件等についての調査確認等を怠ったなどと主張して損害賠償を請求した事件で、原告企業が敗訴(東京地裁平成28年9月9日判決)。
地裁、原告企業が依頼した輸入申告手続が法令や条約等に照らして適切でないことを通関業者が容易に認識できたなどとは認められず。
 通関業者とは、輸出入の申告や関税の申告納付等の手続きについて税関長の許可を受けたうえで代理・代行をする業者である(通関業法2条)。輸入貨物によっては通関手続きや関税の適用税率の判断が複雑になるため、輸出入を行う企業がその通関手続き等を通関業者に依頼するケースは少なくない。今回紹介する裁判事例は、海外子会社との間で輸出入取引を行っていた原告企業が被告通関業者に対して、関税の特恵税率を受けることのできる要件等についての調査・確認などを怠ったなどと主張して損害賠償を請求していた事件である。
 原告企業は、被告通関業者に依頼して、海外子会社から輸入する製品について原産地証明書(特恵税率を受けるために必要なもの)を添付して税率0%で輸入申告などを行った。これに対し東京税関は、輸入貨物は原産地証明書が証明している内容とは異なる貨物であるから特恵税率を適用することはできないと判断し、原告企業に対し関税・輸入消費税等の更正処分を行った。
 これに対し原告企業は、被告通関業者は特恵税率が適用可能なのかどうかを調査・検討し、原告企業に対し説明・指導助言する義務があったなどと主張し、損害賠償を請求する訴訟を提起した。
 裁判所は、本件委任契約について委任事務の内容を定めた契約書が作成されていないこと、コンサル料・顧問料等の報酬が定められていなかったことを指摘。この点を踏まえ裁判所は、原告企業が取り扱う商品について被告通関業者が法令や条約等に照らしていかなる特恵関税制度の適用を受けることができるかを調査・検討し、原告企業に対し有利な申告手続きを指導・助言すべき義務を負っていたということはできないとした。一方で裁判所は、被告通関業者が原告企業から依頼された申告内容が法令又は条約等に照らして適切でないことを容易に認識し得たのにもかかわらず、その旨を原告企業に告知しなかった場合には委任契約上の善管注意義務に違反すると指摘。本件については、法令又は条約等に照らして適切でないことを容易に認識できたなどといった特段の事情が認められない旨を指摘し、原告企業による賠償請求を斥けた。

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