税務ニュース2017年04月24日 収支内訳書虚偽記載のみで重加認定NG(2017年4月24日号・№688) 審判所、「特段の行動」に伴う虚偽記載に隠ぺい・仮装行為認める
収支内訳書虚偽記載のみで重加認定NG
審判所、「特段の行動」に伴う虚偽記載に隠ぺい・仮装行為認める
収支内訳書の虚偽記載が「申告行為そのもの」と判断された平成27年7月1日裁決を踏まえ、課税庁は、つまみ申告における隠ぺい・仮装行為の立証にあたっては、税務調査時の内容虚偽の資料提出(最判H6.11.22参照)、税理士等への所得秘匿(最判H7.4.28参照)等といった「特段の行動」も含めた証拠保全に努めるとしている(本誌687号23頁参照)。
こうした中、下書用収支内訳書の虚偽記載に対する重加算税賦課の可否が争点となった裁決があった(平成28年9月30日裁決)。原処分庁は、(1)請求人が作為的に過少な収入金額を下書用収支内訳書に記載した行為は、決算書類の虚偽記載に当たり、隠ぺい・仮装行為に該当し、重加算税の賦課要件は満たされる。(2)仮に、(1)の行為が、過少申告行為とは別の隠ぺい・仮装行為に該当しない場合であっても、請求人は、以下のとおり、当初から所得を過少に申告することおよび消費税等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく所得税等の過少申告をし、また、消費税等の確定申告書を提出しなかったと認められるため、重加算税の賦課要件は満たされる―と主張した。
一方、請求人は、下書用収支内訳書を作成した行為は、単なる過少申告行為であると主張した。
審判所は、請求人が少なくとも7年間にわたり、農産物の販売金額を過少に記載するなどした下書用収支内訳書を作成してA市職員に提示することによって、国税局長の許可の下で臨時の税務書類の作成等が認められていたA市職員に各農産物の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも一千万円以下となる各収支内訳書および各確定申告書を作成させ続けた行為は、過少申告の意図または無申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当すると判断、請求人の主張を退けている。
審判所、「特段の行動」に伴う虚偽記載に隠ぺい・仮装行為認める
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こうした中、下書用収支内訳書の虚偽記載に対する重加算税賦課の可否が争点となった裁決があった(平成28年9月30日裁決)。原処分庁は、(1)請求人が作為的に過少な収入金額を下書用収支内訳書に記載した行為は、決算書類の虚偽記載に当たり、隠ぺい・仮装行為に該当し、重加算税の賦課要件は満たされる。(2)仮に、(1)の行為が、過少申告行為とは別の隠ぺい・仮装行為に該当しない場合であっても、請求人は、以下のとおり、当初から所得を過少に申告することおよび消費税等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく所得税等の過少申告をし、また、消費税等の確定申告書を提出しなかったと認められるため、重加算税の賦課要件は満たされる―と主張した。
・真実とは異なる金額を記載した下書用収支内訳書をA市職員に提示したこと ・原処分に係る調査の調査担当職員に下書用収支内訳書や実績表などの書類を自発的に提示しなかったこと、など |
審判所は、請求人が少なくとも7年間にわたり、農産物の販売金額を過少に記載するなどした下書用収支内訳書を作成してA市職員に提示することによって、国税局長の許可の下で臨時の税務書類の作成等が認められていたA市職員に各農産物の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも一千万円以下となる各収支内訳書および各確定申告書を作成させ続けた行為は、過少申告の意図または無申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当すると判断、請求人の主張を退けている。
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