税務ニュース2017年12月25日 返品調整引当金、延払基準が廃止(2017年12月25日号・№720) 異例の長期に渡る“手厚い”経過措置を導入

返品調整引当金、延払基準が廃止
異例の長期に渡る“手厚い”経過措置を導入

収益認識会計基準(案)受け、返品調整引当金及び延払基準が廃止。
返品調整引当金は3期間現状制度維持後、9期間にわたり1/10ずつ縮小した金額を損金算入。延払基準は最大5期間現状制度を維持。「30年4月1日」以後終了事業年度で延払基準による経理をやめるか、延払基準廃止時点の繰延割賦利益を10年均等で収益計上。
「収益認識に関する会計基準(案)」の開発を受け、本誌では平成30年度税制改正で返品調整引当金及び延払基準が見直される可能性を指摘していたが(696号7頁、707号8頁参照)、両規定の廃止が決まった。
 法人税法上、返品調整引当金を損金算入するためには「損金経理」が求められるが(法法53条①、法令99条~102条)、「収益認識に関する会計基準(案)」では返品が見込まれる部分を収益に計上しないため、損金経理要件を満たせない。また、法人税法上、延払基準を適用するためには「延払基準の方法により経理」することが求められるが(法法63条)、同基準(案)では、割賦販売は商品又は製品の販売時に収益を全額認識しなければならないため、「延払基準の方法により経理する」延払基準の適用要件も満たせない。
 このため、上述のとおり返品調整引当金及び延払基準は廃止されるが、同時に手厚い経過措置も手当てされる。まず返品調整引当金については、①「平成30年4月1日」に返品調整引当金の対象となる事業を営む法人は、「平成33年3月31日まで」に開始する各事業年度において、現行どおり損金算入限度額の引当てを認める。3月決算法人であれば、平成30年度~32年度決算までの3期間は現状維持、「平成33年4月1日から平成42年3月31日まで」に開始する各事業年度(9期間)においては、同限度額を1/10ずつ縮小した額を損金算入する(平成34年3月期に9/10、平成42年3月期に1/10が損金算入され、平成43年3月期はゼロ)。
 延払基準にも同様の経過措置が設けられる。「平成30年4月1日」前に長期割賦販売等を行った法人は、「平成35年3月31日まで」に開始する各事業年度において、現行延払基準に基づく損益の計上を認める。しかし、平成30年4月1日以後終了事業年度をもって新しい収益認識基準を適用するなどして延払基準の方法による経理をやめた場合には、その時点の繰延割賦利益を新しい基準を適用した事業年度から10年均等で収益計上することになる。この際、企業会計基準を適用する企業は、平成35年3月31日前に新しい基準が強制適用され、その時点で10年均等計上期間に入る点に留意したい。

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