税務ニュース2019年06月03日 所得拡大促進税制、集計ミスで企業敗訴(2019年6月3日号・№789) 雇用者給与等支給増加額を事後的に増額する更正請求は認められず
所得拡大促進税制、集計ミスで企業敗訴
雇用者給与等支給増加額を事後的に増額する更正請求は認められず
本件は、平成30年度税制改正による見直し・改組前の「所得拡大促進税制」の適用をめぐり、雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税の特別控除(以下「本件特別控除」)について雇用者給与等支給増加額を事後的に修正(増額)することの可否が問題となった税務訴訟である。
事実関係をみていくと、原告会社は、法人税確定申告の際に本件特別控除について雇用者給与等支給増加額を約4,900万、これをもとに計算した法人税特別控除額を約490万と記載した本件明細書を添付した法人税の確定申告書を提出していた。ところが、原告会社の顧問税理士法人の従業員による集計ミス(転記ミス)により、誤った給料データを前提として本件明細書を作成していたことが発覚した。そこで原告会社は、雇用者給与等支給増加額の計算に誤りがあるとして雇用者給与等支給増加額及び本件特別控除の額の増加を求める更正の請求を行ったものの、税務署は更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った。これを不服とした原告法人は、税務訴訟を提起したうえで、通知処分の取り消しを求めた。
東京地裁は、法令の規定により法人税額から控除される金額は確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額に限られるものと認めるのが相当であると指摘。真実の雇用者給与等支給増加額と確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額が異なっていたとしても、その事実は「当該計算に誤りがあったこと」(通則法23①一)には該当しないから、更正の請求は認められないと判断した。
なお、平成30年度税制改正による見直し・改組後の「賃上げ・生産性向上のための税制」では、改正前の規定を引き継ぐかたちで、「控除される金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額を限度とする」と規定されている(措法42の12の5⑤後段)。税賠リスクや適用ミスを避けるためにも、給与等の集計は確実に行う必要があるだろう。
雇用者給与等支給増加額を事後的に増額する更正請求は認められず
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事実関係をみていくと、原告会社は、法人税確定申告の際に本件特別控除について雇用者給与等支給増加額を約4,900万、これをもとに計算した法人税特別控除額を約490万と記載した本件明細書を添付した法人税の確定申告書を提出していた。ところが、原告会社の顧問税理士法人の従業員による集計ミス(転記ミス)により、誤った給料データを前提として本件明細書を作成していたことが発覚した。そこで原告会社は、雇用者給与等支給増加額の計算に誤りがあるとして雇用者給与等支給増加額及び本件特別控除の額の増加を求める更正の請求を行ったものの、税務署は更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った。これを不服とした原告法人は、税務訴訟を提起したうえで、通知処分の取り消しを求めた。
東京地裁は、法令の規定により法人税額から控除される金額は確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額に限られるものと認めるのが相当であると指摘。真実の雇用者給与等支給増加額と確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額が異なっていたとしても、その事実は「当該計算に誤りがあったこと」(通則法23①一)には該当しないから、更正の請求は認められないと判断した。
なお、平成30年度税制改正による見直し・改組後の「賃上げ・生産性向上のための税制」では、改正前の規定を引き継ぐかたちで、「控除される金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、確定申告書等に添付された書類に記載された雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額を限度とする」と規定されている(措法42の12の5⑤後段)。税賠リスクや適用ミスを避けるためにも、給与等の集計は確実に行う必要があるだろう。
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