税務ニュース2020年11月20日 相続税申告等の17手続、押印義務は存続(2020年11月23日号・№859) 政府、原則として年内を目途に押印義務を廃止
政府は年内を目途に法令等の改正を行い、原則として行政手続における押印義務を廃止するとしている(本誌856号9頁参照)。税務署長に提出される確定申告書等の税務書類もこれに含まれるが、一部では押印義務を残す方向で検討が進められている手続もあり、その全容が明らかとなった。税法関係では、相続税申告や物納の許可など、17種類の手続が存続する方向だ(下表参照)。例えば、相続税申告に関しては、遺産分割協議の内容は相続税額の計算に直接影響するため、その内容が全員の真意に基づき成立したものであることを担保する必要があるとしている。
【表】押印を存続する方向で検討している行政手続(財務省)
手続名 | 根拠法令 (押印の根拠) |
押印の種類 | 存続させる理由 |
換価の猶予の申請 |
国税徴収法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
相続税の延納の許可 |
相続税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
贈与税の延納の許可 |
相続税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
物納の許可 |
相続税法(告示・省令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【所有権移転登記承認書】関係機関(法務局)に所有権移転登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 |
物納財産の変更に係る他の財産をもって物納に充てる旨の申請 |
相続税法(平成18年改正前)(告示・省令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【所有権移転登記承認書】関係機関(法務局)に所有権移転登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 |
物納撤回に係る延納の許可 |
相続税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
相続税申告 |
相続税法(法律に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【財産の分割の協議に関する書類】遺産分割協議の内容は相続税額の計算に直接影響することから、その内容が全員の真意に基づき成立したものであることを担保する措置が必要であるため。 |
特定物納の許可 |
相続税法(告示・省令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【所有権移転登記承認書】関係機関(法務局)に所有権移転登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 |
納税の猶予等に係る担保の提供手続(保証人) |
国税通則法施行令(法令・告示の根拠なし) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
納税の猶予等に係る担保の提供手続(不動産、船舶、航空機等) |
国税通則法施行令(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 |
担保の提供(石油石炭税) |
石油石炭税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
担保の提供(石油ガス税) |
石油ガス税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
担保の提供(たばこ税) |
たばこ税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
担保の提供(揮発油税) |
揮発油税法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
担保の提供手続 |
関税法施行令政令に明文の根拠 |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税関長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
納税の猶予の申請(相互協議) |
租税特別措置法(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
徴収の猶予の申請(徴収共助) |
租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(政令に明文の根拠) |
登記印・登録印+印鑑証明 |
【抵当権設定登記承諾書】関係機関(法務局)に抵当権設定登記を嘱託する際に登記印・登録印+印鑑証明が必要。 【保証人の保証を証する書面】保証人が納税者の納税債務を保証する旨の真意を確認する必要があるため。税務署長・保証人間の契約書に相当する文書。 |
(出典:内閣府資料に基づき作成)
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