解説記事2020年11月30日 未公開裁決事例紹介 国外関連者の工場での技術支援を巡る裁決(2020年11月30日号・№860)
未公開裁決事例紹介
国外関連者の工場での技術支援を巡る裁決
審判所、役務の提供に該当せず一部取消し
○請求人の行った技術支援が国外関連者との間での役務の提供であるか否かが争われた裁決。原処分庁は国外関連者の工場に出張させて国外関連者の製造する部品の技術支援を行わせた事実をもって国外関連者との間で行った役務の提供であると主張したが、国税不服審判所は、技術支援の対象である部品はフィリピンに所在する法人が製造する製品の基幹部品であり、請求人はフィリピンに所在する法人との間で締結した技術支援契約に基づき行ったものであるとし、本件技術支援は国外関連者との間で行った役務の提供であったとは認めることはできないと判断した(関裁(法)令元第43号、令和2年3月19日、一部取消し)。
主 文
1 平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分は、いずれもその一部を別紙1ないし別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消し、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は、いずれもその全部を取り消す。
2 平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分は、その一部を別紙4の「取消額等計算書」のとおり取り消す。
3 平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年3月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分は、いずれもその一部を別紙5及び別紙6の「取消額等計算書」のとおり取り消し、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分並びに平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年3月31日までの各課税事業年度の地方法人税の過少申告加算税の各賦課決定処分は、いずれもその全部を取り消す。
基礎事実等
1 事実
(1)事案の概要
本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が従業員を国外関連者の工場に出張させるなどして行った技術支援について、原処分庁が、そのいずれも請求人が当該国外関連者との間で行った役務の提供であり、当該国外関連者から支払を受ける対価の額が租税特別措置法第66条の4《国外関連者との取引に係る課税の特例》第1項に規定する独立企業間価格に満たないから、同項の規定を適用するなどとして、法人税等の更正処分等を行ったのに対し、請求人が、更正通知書の理由の付記に不備がある上、当該技術支援の一部は当該国外関連者との間で行った役務の提供ではないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令(略)
(3)基礎事実
当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人等について
(イ)請求人は、××××××××、新設分割により設立された合同会社(内国法人)であり、その新設分割会社(以下「本件分割法人」という。)から、×××××××××××××××××××××(以下「本件製品」という。)等の開発、製造、販売等の事業を承継していた。また、同日、請求人は、その全持分がグレートブリテン及び北アイルランド連合王国領ヴァージン諸島に所在する外国法人××××××××××××を基幹法人として関連企業により構成される事業グループ(以下「本件事業グループ」という。)に属する×××××××××××××××××××××××××(以下「本件香港法人」という。)に譲渡されたことにより、本件事業グループの一員となった。
(ロ)×××××××××××××××××××××××××××××(以下「本件フィリピン法人」という。)は、フィリピン共和国に所在する外国法人であり、本件事業グループの一員であるところ、本件フィリピン法人は、フィリピン共和国内の工場で、本件製品の組立製造を行い、それを××××××の子会社(以下、××××××とその子会社とを区別せずに「本件メーカー」という。)に販売していた(以下、本件フィリピン法人が本件メーカーに販売している本件製品を「本件製品A」という。)。
(ハ)×××××××××××××××××××××××××××××××は、タイ王国に所在する外国法人であって、本件事業グループの一員でもあるところ、××××××××××××が当該外国法人と請求人の発行済株式等の50%以上の数又は金額の株式又は出資をそれぞれ間接保有しており、当該外国法人と請求人が措置法施行令第39条の12第1項第2号に規定する特殊の関係にあることから、当該外国法人は、措置法第66条の4第1項に規定する国外関連者に該当する(以下、この××××××××××××××××××××××××××××××を「本件国外関連者」という。)。
本件国外関連者は、タイ王国内の工場において、上記(ロ)の本件製品A用の基幹部品である××××××××(以下「×××××」という。)を製造するとともに、×××××××××××××××××××××××××××××向けの本件製品(以下「本件製品B」という。)用の×××××も製造していた。
ロ 請求人と本件フィリピン法人との間の契約について
(イ)請求人は、平成26年1月1日から平成26年12月31日までの事業年度(以下「平成26年12月期」といい、他の事業年度についても同様に表記する。ただし、平成29年3月期については、平成29年1月1日から平成29年3月31日までの事業年度をいうものとする。)、平成27年12月期、平成28年12月期及び平成29年3月期(以下、これらを併せて「本件各事業年度」という。)において、本件フィリピン法人との間で、「CONSULTANCY AGREEMENT」(以下「本件技術支援契約」という。)及び「SALES&MARKETING ASSISTANCE AGREEMENT」(以下「本件営業支援契約」といい、本件技術支援契約と併せて「本件各契約」という。)をそれぞれ締結していた。
(ロ)本件技術支援契約に係る契約書(以下「本件技術支援契約書」という。)には、その要旨、別紙8−1のとおりの記載がされ、また、本件営業支援契約に係る契約書(以下「本件営業支援契約書」といい、本件技術支援契約書と併せて「本件各契約書」という。)には、その要旨、別紙8−2のとおりの記載がされていた。
ハ 本件国外関連者の工場における技術支援について
請求人は、本件各事業年度において、本件国外関連者の製造する×××××に係る技術支援のために、請求人の従業員を、本件国外関連者の工場に常駐又は出張させていた(以下、この工場に常駐していた請求人の従業員を「本件常駐者」といい、出張していた請求人の従業員を「本件出張者」という。)。
請求人がこのうちの本件出張者に行わせていた上記技術支援には、①本件製品A用の×××××の製造に係るもの(以下「本件技術支援A」という。)と②本件製品B用の×××××の製造に係るもの(以下「本件技術支援B」といい、本件技術支援Aと併せて「本件各技術支援」という。)があった。
(4)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、本件各事業年度の法人税、平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税事業年度(以下「平成26年12月課税事業年度」といい、他の課税事業年度についても同様に表記する。ただし、平成29年3月課税事業年度については、平成29年1月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度をいうものとする。)の復興特別法人税並びに平成27年12月課税事業年度、平成28年12月課税事業年度及び平成29年3月課税事業年度の地方法人税について、青色の各確定申告書に別表1−1、別表1−2及び別表1−3の各「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
ロ その後、請求人が平成26年12月課税事業年度の復興特別法人税について平成27年9月15日に更正の請求をしたのに対し、原処分庁は、同月28日付で、別表1−2の「更正の請求に対する更正処分」欄のとおりの減額更正処分をした。
ハ 原処分庁は、原処分庁所属の職員による調査に基づき、上記(3)ハの本件常駐者が行った技術支援及び本件出張者が行った本件各技術支援について、いずれも請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であり、別表2の「本件国外関連者から支払を受ける対価の額」欄及び「更正処分等1」欄のとおり本件国外関連者から支払を受ける対価の額が措置法第66条の4第1項に規定する独立企業間価格に満たないから、同項の規定を適用するなどとして、平成31年1月28日付で、本件各事業年度の法人税、平成26年12月課税事業年度の復興特別法人税並びに平成27年12月課税事業年度、平成28年12月課税事業年度及び平成29年3月課税事業年度の地方法人税について、それぞれ別表1−1、別表1−2及び別表1−3の各「更正処分等1」欄のとおりの各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした(以下、これらの各処分のうち、本件各事業年度の法人税の各更正処分を併せて「本件法人税各更正処分」という。)。
ニ 本件法人税各更正処分に係る各通知書(以下「本件各更正通知書」という。)のうち、平成26年12月期の法人税に係るものには、更正の理由として、その要旨、別紙9のとおりの記載がされており、その他の各事業年度の法人税に係るものにも、おおむね同様の内容が記載されていた。
ホ 請求人は、上記ハの各処分に不服があるとして、平成31年3月26日に審査請求をした。
へ 原処分庁は、上記(3)ハの本件常駐者が行った技術支援については、本件常駐者が出向者として本件国外関連者との間の雇用関係に基づき行ったものであり、本件国外関連者との国外関連取引に該当しないことから、当該技術支援に係る金額は上記ハの独立企業間価格の算定には含まれないとして、令和元年12月24日付で、別表1−1、別表1−2及び別表1−3の各「更正処分等2」欄のとおりの各減額更正処分及び過少申告加算税の各変更決定処分をした。
ト 請求人は、令和2年1月8日に、上記ホの審査請求のうち、平成26年12月課税事業年度の復興特別法人税の過少申告加算税の賦課決定処分に係る審査請求を取り下げた。
争点および主張
本件の争点は、下記(1)及び(2)のとおりである。なお、本件技術支援Bについては、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であることに争いはない。
(1)本件各更正通知書の理由付記に不備があるか否か(争点1)。(略)
(2)本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であるか否か(争点2)。(表参照)
【表】争点2(本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であるか否か。)について
| 原処分庁 | 請 求 人 |
| 請求人は、本件国外関連者の製造する×××××に係る技術支援を行うために、本件出張者を本件国外関連者の工場に出張させ、本件技術支援Aを行わせたのであるから、本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供である。 なお、請求人の主張する本件各契約書には、本件各契約に基づき本件フィリピン法人から支払われる対価に本件国外関連者に対する役務の提供に係る対価が含まれている旨の記載がない上、その前文も、請求人が行っている事業内容を説明したものにすぎないから、それをもって、本件技術支援Aが本件各契約に基づき行われたということはできない。また、本件各契約の対価は、その算定の基礎として、事業全体に係る売上原価並びに販売費及び一般管理費を含めているにすぎないから、その算定方法からして、本件各契約の対価に本件技術支援Aに係る対価が含まれているということもできず、この点に関する請求人の主張は理由がない。 |
請求人は、本件分割法人と本件事業グループとの間の組織再編に際し、本件フィリピン法人が行う本件メーカーとの間の取引を支援するために、本件フィリピン法人との間で本件各契約を締結し、それに基づいて本件技術支援Aを行わせたものであるから、本件技術支援Aは、請求人が本件フィリピン法人との間で行った役務の提供であり、本件国外関連者との間で行った役務の提供ではない。 本件技術支援Aが本件各契約に基づいて行われたものであることについては、上記のような本件各契約の締結に至る経緯に加え、①本件技術支援契約書の前文に、請求人が関係法人に対して技術サービスを提供する業務に従事している旨の記載がある上、本件技術支援契約書の第3条にも、技術支援の内容として、本件フィリピン法人の製品製造に必要な材料及び設備の調達に関する助言及び援助が含まれる旨の記載があること、②本件技術支援Aは、本件フィリピン法人が製造する製品(本件製品A)に関する支援として、本件フィリピン法人の要請を受けて行ったものであること、③本件各契約の対価の算定に当たって、前事業年度に本件技術支援Aのために要した費用等もその基礎としていること、④請求人は、本件国外関連者の工場において、本件技術支援Aだけでなく、本件国外関連者に対する役務の提供である本件技術支援Bも行っているところ、本件技術支援Bについてのみ、本件国外関連者から毎月通知される当該技術支援への従事割合に基づいて算出された対価を受領していること、⑤本件技術支援Bに係る本件製品B用の×××××の製造と本件技術支援Aに係る本件製品A用の×××××の製造とは、使用する切削機械が異なる上、当該工場内においても両製造部門は別棟にあり、指揮命令系統も峻別されていることなどの事情からも明らかである。 |
審判所の判断
(1)争点1(本件各更正通知書の理由付記に不備があるか否か。)について(略)
(2)争点2(本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であるか否か。)について
イ 認定事実
請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
(イ)×××××は、本件製品の性能を左右する基幹部品であるところ、本件分割法人と本件事業グループとの間で上記の新設分割をはじめとする組織再編が行われる前において、本件分割法人は、独自技術を用いた専用切削機械(以下「本件専用機械」という。)により本件製品A用×××××を製造していた。そして、本件フィリピン法人は、その本件製品A用の×××××を基幹部品として、本件製品Aの組立製造を行い、本件メーカーに販売していた。
(ロ)上記(イ)の組織再編に伴い、本件分割法人が所有していた本件専用機械が本件国外関連者に譲渡され、以後、本件製品A用の×××××は、本件国外関連者の工場において製造されることとなった。
本件製品Aの販売先である本件メーカーが本件専用機械による製造の技術を高く評価していたこともあり、本件フィリピン法人が本件メーカーとの取引を継続するには、本件メーカーの要求する品質に対応する必要があったが、本件国外関連者には、本件専用機械による製造の技術や経験がなかった。そこで、本件メーカーとの取引を継続するために、本件香港法人の主導の下、請求人がそれに係る技術支援等を行うこととなり、請求人と本件フィリピン法人との間で本件各契約が締結された。
(ハ)本件各契約の対価の額は、前事業年度における本件国外関連者の工場への出張等に係る費用と本件フィリピン法人への支援業務に係る費用の合計額に、翌事業年度に増加が予想される費用の額を加えた金額を基礎として、本件香港法人の承認を得て、決定されていた。
(ニ)本件国外関連者の工場では、本件技術支援Aだけでなく、本件技術支援Bも行われていたところ、それらの対象である本件製品A用の×××××と本件製品B用の×××××とは製造部門が異なっており、また、本件製品B用の×××××は、本件専用機械ではなく、汎用切削機械により製造されていた。
(ホ)本件技術支援Aの支援内容は、本件専用機械の設定及び調整、不具合の分析、新モデルの技術仕様上の注意点等の指導、本件製品A用の×××××の製造に従事する本件国外関連者の従業員への教育などであり、本件フィリピン法人から要請を受けて行われていた。また、請求人は、その支援した内容及びその結果などの情報を本件フィリピン法人に提供していた。
(へ)本件技術支援Bの支援内容は、本件製品B用の×××××の製造に従事する本件国外関連者の従業員への教育などであり、本件国外関連者から要請を受けて行われていた。
本件技術支援Bに関し、本件国外関連者は、毎月、本件国外関連者の工場に出張してきた本件出張者ごとに、出張日及びそのうち本件技術支援Bに従事した割合を入力した「Technical Service Fee」又は「Consultation Fee」と題する書面(以下「本件書面」という。)を発行していた。請求人は、本件書面に基づき、本件国外関連者の工場において本件出張者が行った本件技術支援Aに従事した部分を除く本件技術支援Bの対価を本件国外関連者に請求し、本件国外関連者からその支払を受けていた。
ロ 検討
原処分庁は、上記のとおり、請求人が本件国外関連者の製造する×××××に係る技術支援を行うために、本件出張者を本件国外関連者の工場に出張させ、本件技術支援Aを行わせていたことからすれば、本件技術支援Aは請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であると認められる旨主張する。
そこで、この点について検討すると、確かに、請求人は、上記のとおり、本件国外関連者の製造する本件製品A用の×××××に係る技術支援を行うために、本件出張者を本件国外関連者の工場に出張させ、本件技術支援Aを行わせているが、この本件技術支援Aは、本件フィリピン法人の要請を受けて行われており、請求人は、その支援した内容及びその結果などの情報を本件フィリピン法人に提供していたことが認められる。また、本件技術支援Aの対象である本件製品A用の×××××は、上記のとおり、本件フィリピン法人が本件メーカーに販売している本件製品Aの基幹部品で、それによって本件製品Aの性能を左右するものであり、本件メーカーも本件製品A用の×××××の製造技術を高く評価して取引を行っていたことからすると、本件フィリピン法人にも、本件メーカーの要求する品質に合致した本件製品A用の×××××を安定して調達するために、本件技術支援Aを受ける必要があったと認められる。そして、本件各契約は、上記のとおり、そのような本件メーカーとの取引に鑑みて締結されたものであって、また、本件各契約の対価の決定に当たっても、本件国外関連者の工場への出張等に係る費用などが基礎とされていたことなども考慮すれば、本件技術支援Aが本件フィリピン法人との間で締結された本件技術支援契約に基づいて行われたとすることにも合理性がある。
加えて、本件技術支援Aの対象である本件製品A用の×××××と本件技術支援Bの対象である本件製品B用の×××××とは、上記のとおり、その製造に用いる機械、製造部門及び販売先がいずれも異なっており、また、本件技術支援Bについては、本件技術支援Aとは異なり、本件国外関連者の要請を受けて行われ、その対価も本件技術支援Aに従事した部分を除いて決定されていたのである。そのため、本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供である本件技術支援Bと明確に峻別されていたものといえるから、この点でも、本件技術支援Aについては、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供ではないことがうかがえる。
その他に当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、本件技術支援Aについて請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であることを認めるに足りる事情は存在しない。
したがって、本件技術支援Aは本件国外関連者との間で行った役務の提供であると認めることはできず、これに反する原処分庁の主張は理由がない。
(3)本件技術支援Bに係る独立企業間価格について
本件各技術支援のうち、本件技術支援Aについては、上記(2)のとおり、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であるとは認められないが、本件技術支援Bについては、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であることに争いはなく、当審判所においても相当と認められるので、措置法第66条の4第1項に規定する国外関連取引に該当する。そして、当審判所の調査によれば、本件技術支援Bに係る請求人が本件国外関連者から支払を受ける対価の額は、それぞれ別表2の「本件国外関連者から支払を受ける対価の額」欄のとおりであったと認められるところ、この対価の額が本件技術支援Bに係る独立企業間価格に満たなければ、同項の規定が適用されることになるので、以下、本件技術支援Bに係る独立企業間価格について検討する。
この点、原処分庁は、本件法人税各更正処分(いずれも上記の各減額更正処分によりその一部が取り消された後のもの)において、本件各技術支援に係る独立企業間価格を算定するに当たり、請求人が他に同種又は類似の役務の提供を行っておらず、措置法施行令第39条の12第6項又は第7項に規定する比較対象取引を把握できなかったことなどから、役務提供に係る総原価を独立企業間価格とする原価基準法に準ずる方法と同等の方法が、最も適切な算定方法であるとした上、本件出張者ごとに、本件国外関連者の工場への出張日数を認定して、本件各技術支援に関連する給与等の額に出張費用等の額を加算するなどし、その合計額である別表2の「更正処分等2」欄の金額をもって独立企業間価格としている。
しかしながら、当審判所の調査によれば、原処分庁は、本件各技術支援に関連する給与等の額について、本件出張者ごとに年間の給与等の額を算定し、その額に各人の各事業年度の勤務日数における本件各技術支援に係る出張日数の占める割合を乗じて算定しているところ、本件出張者の勤務日数は休日を除いた日数であるのに対し、出張日数は休日を含めた日数で算定されていることが認められるが、本件では、当該勤務日数においても休日を含めて算定するのが合理的である。
また、上記のとおり、本件技術支援Bのみが、措置法第66条の4第1項に規定する国外関連取引に該当するから、本件技術支援Aに係る部分は除くべきである。そして、当審判所の調査によれば、本件出張者ごとの出張日数及びそのうち本件技術支援Bに従事していた日数は、それぞれ別表3−1、別表3−2、別表3−3及び別表3−4の各「出張日数」欄及び各「本件技術支援Bの従事日数」欄のとおりである。これらの日数は本件書面に記載された出張日及び本件技術支援Bに従事した割合に基づいて算定したものであるが、本件書面は、上記のとおり、本件国外関連者が業務上作成したものであって、請求人も自ら確認の上で、それに基づく金額の支払を本件国外関連者に請求し、その支払を受けていたのであるし、その他に本件書面の記載が不正確であったとうかがわせる事情も存在しないことも考慮すれば、本件出張者ごとの出張月数及びそのうち本件技術支援Bに従事していた日数は、本件書面に基づいて算定するのが相当である。
その他の点については、請求人も具体的な主張をしておらず、当審判所の調査によっても、原処分庁が本件出張者の年間の給与等の認定に当たって社会保険料について請求人の負担分を基に算定すべきであるにもかかわらず本件出張者自身の負担分を含めて算定していたこと及び原処分庁が出張費用等の認定に当たって集計誤りをしたことが認められるほかは、不相当とする理由は認められない。
以上に基づき、当審判所において本件各事業年度における本件技術支援Bに係る独立企業間価格を算定すると、本件出張者ごとの金額は、それぞれ別表3−1、別表3−2、別表3−3及び別表3−4の各「独立企業間価格」欄のとおりとなり、その合計額は別表2の「審判所認定額」の「独立企業間価格」欄のとおりとなる。
(4)本件法人税各更正処分(いずれも上記の各減額更正処分によりその一部が取り消された後のもの)の適法性について
イ 上記(1)のとおり、本件各更正通知書の理由付記に不備はない。
ロ また、上記(2)のとおり、本件技術支援Aは、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であるとは認められないから、本件技術支援Bのみが、請求人が本件国外関連者との間で行った役務の提供であり、措置法第66条の4第1項に規定する国外関連取引に該当する。そして、上記(3)のとおり、本件各事業年度における本件技術支援Bに係る独立企業間価格は、それぞれ別表2の「審判所認定額」の「独立企業間価格」欄のとおりであり、平成26年12月期、平成28年12月期及び平成29年3月期については、請求人が本件国外関連者から支払を受ける対価の額がいずれも独立企業間価格に満たないから、措置法第66条の4第1項の規定に基づき、それに係る国外関連取引が独立企業間価格で行われたものとみなされ、別表2の「審判所認定額」の「所得移転金額」欄の金額を益金の額に算入することになるが、平成27年12月期については、請求人が本件国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格を上回るから、同項の規定は適用されない。
なお、当審判所に提出された証拠資料等によれば、原処分庁は、平成27年12月期、平成28年12月期及び平成29年3月期の所得の金額の計算上、事業税及び地方法人特別税の損金算入額として別表4−1の「原処分の額」欄の金額を損金の額に算入しているが、当審判所において事業税及び地方法人特別税の損金算入額を計算すると、同表の「審判所認定額」欄のとおりとなる。
ハ そして、標記の各更正処分のその他の部分について、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
ニ 以上に基づき、当審判所において、本件各事業年度の所得金額及び納付すべき法人税額を計算すると、別表4−1の「審判所認定額」欄のとおりとなり、平成26年12月期、平成28年12月期及び平成29年3月期については、いずれもそれに係る標記の各更正処分(いずれも上記の各減額更正処分によりその一部が取り消された後のもの)の金額を下回る一方で、上記の各申告の金額を上回るが、平成27年12月期については、上記の申告の金額を下回る。
したがって、本件法人税各更正処分のうち、平成26年12月期、平成28年12月期及び平成29年3月期に係るものは、いずれもその一部を別紙1ないし別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消し、平成27年12月期に係るものは、その全部を取り消すべきである。
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