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解説記事2020年12月21日 資料解説 与党の税制調査会、令和3年度税制改正大綱を決定(2020年12月21日号・№863)

資料解説:
減収額は国税分で600億円程度、地方税分で40億円
与党の税制調査会、令和3年度税制改正大綱を決定


 自民党及び公明党の税制調査会は12月10日、「令和3年度税制改正大綱」(今号20頁参照)を決定した(概要はの通り)。コロナ禍で経済がダメージを受けている中、減税項目が目白押しとなる改正となった。減収額は国税分で500億円から600億円程度、地方税分で40億円程度となっている。具体的には、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する措置の創設や研究開発税制の見直し、繰越欠損金の控除上限の特例を講じた。また、令和3年度は3年に1回の固定資産税の評価替えの年に当たるが、税額が増加するすべての土地について1年間に限り税額を据え置く措置を講じる。
 なお、検討事項としては電子帳簿の信頼性の確保に向け優良な電子帳簿の普及を促進するための更なる措置などについて早期に検討を行い、結論を得る旨を明記。また、税理士の業務環境や納税環境の電子化など、税理士法の改正を視野に入れて見直しに向けた検討を進める旨が明記されている。

【表】令和3年度税制改正大綱の概要

ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生
○産業競争力の強化に係る措置 ①企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する措置の創設 
・「つながる」デジタル環境の構築(クラウド化等)による事業変革を行う場合に、税額控除(5%・3%)又は特別償却(30%)できる措置を創設する。
②活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し
・厳しい経営環境にあっても研究開発投資を増加させる企業について、税額控除の上限を引き上げるとともに、インセンティブを高めるための控除率カーブの見直し及び控除率の下限の引下げ等、所要の見直しを行う。
③コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し
・雇用環境の悪化に対応するため、賃上げ・投資税制を、新規雇用拡大・教育訓練支援に着目した形に見直しを行う。
④繰越欠損金の控除上限の特例
・厳しい経営環境にあっても果敢に前向きな投資(カーボンニュートラル、DX、事業再構築・再編等)を行う企業に対し、その投資額の範囲内で、5年間、繰越欠損金の控除限度額を最大100%まで可能とする特例を創設する。
○株式対価M&Aを促進するための措置の創設 ・企業の機動的な事業再構築を促し、競争力の維持・強化を図る観点から、自社株式を対価として、対象会社株主から対象会社株式を取得するM&Aについて、対象会社株主の譲渡損益に対する課税を繰り延べる措置を講ずる。
○国際金融都市に向けた税制上の措置 ・投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対し支払われる業績連動給与について、一定の要件の下、損金算入を可能とする。
・就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際、その居住期間にかかわらず、外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としない。
・ファンドマネージャーが運用成果に応じファンドから受け取る利益の分配について、一定の場合、株式譲渡益等として分離課税の対象となることを明確化する。
・リミテッド・パートナーシップを通じて投資を行う非居住者等に対する課税の特例について、持分割合要件を緩和する。
○国際金融都市に向けた税制上の措置 ・投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対し支払われる業績連動給与について、一定の要件の下、損金算入を可能とする。
・就労等のために日本に居住する外国人が死亡した際、その居住期間にかかわらず、外国に居住する家族等が相続により取得する国外財産を相続税の課税対象としない。
・ファンドマネージャーが運用成果に応じファンドから受け取る利益の分配について、一定の場合、株式譲渡益等として分離課税の対象となることを明確化する。
・リミテッド・パートナーシップを通じて投資を行う非居住者等に対する課税の特例について、持分割合要件を緩和する。
○住宅ローン控除等 ・控除期間13年の特例の適用期限を1年延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、経済対策として、合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件を緩和する(50㎡以上→40㎡以上)。
・会計検査院の指摘を踏まえ、控除率1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正で見直す。
・贈与税の非課税枠(1,500万円/令和3年4月以降縮小)を令和3年末まで据え置く(面積要件について、住宅ローン控除と同様の措置を講ずる)。
デジタル社会の実現
○民間におけるデジタル化の促進 ①企業のDXを促進する措置の創設
②研究開発税制の見直し
・企業のDXを促進する観点から、クラウド環境で提供するソフトウェアなどの試験研究に要した費用について、研究開発税制の対象とする。
○納税環境のデジタル化
①税務関係書類における押印義務の見直し
・税務署長等に提出する国税関係書類において、実印及び印鑑証明書を求めている手続等を除き、押印義務を廃止する。
②電子帳簿等保存制度の見直し等
・経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直す。また、スキャナ保存制度については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、手続・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん抑止のための措置を講ずる。
グリーン社会の実現
○カーボンニュートラルに向けた税制措置の創設
・カーボンニュートラルに向け、脱炭素化効果の高い先進的な投資(化合物パワー半導体等の生産設備への投資、生産プロセスの脱炭素化を進める投資)について、税額控除(10%・5%)又は特別償却(50%)できる措置を創設する。
○車体課税
・自動車重量税のエコカー減税について、全体として自動車ユーザーの負担が増えないように配慮しつつ、燃費性能がより優れた自動車の普及を促進する観点から新燃費基準への切り替えを行うなど所要の措置を講ずる。
中小企業の支援
○中小企業向け投資促進税制等の延長
・設備投資を促進し、経営基盤の強化を支援する等の観点から、中小企業の軽減税率の特例や中小企業投資促進税制等を2年延長するとともに、商業・サービス業・農林水産業活性化税制について、対象業種を中小企業投資促進税制に統合する。
○所得拡大促進税制の見直し
・中小企業全体として雇用を守りつつ、所得拡大を促進するため、賃上げだけでなく、雇用を増加させる企業を下支えする観点から、雇用者全体の給与等支給額に着目した要件に見直す。
○中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
・中小企業の経営資源の集約化を通じた生産性向上等を促すため、M&Aを実施する企業の投資リスクに備える準備金制度(株式等の取得価額の70%以下の金額を積み立て、当期の損金に算入)を創設するとともに、前向きな投資を推進するための措置を講ずる。
経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
○経済社会の構造変化を踏まえた個人所得課税の見直し
①記帳水準の向上等
・クラウド会計により手間や費用をかけず正規簿記を行える環境が整ってきていることを踏まえ、正規簿記の普及を含め、個人事業者の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。
②国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
・国や自治体からの子育てに係る助成(ベビーシッター・認可外施設の利用料等)について、子育て支援の観点から、非課税とする措置を講ずる。
③セルフメディケーション税制の見直し
・対象をより効果的なものに重点化し、手続の簡素化を図った上で5年延長。効果検証のための指標を設定し、次期改正時にこの評価を踏まえ制度を見直す。
○私的年金等に関する公平な税制のあり方
・私的年金の拠出限度額をより公平な算定方法に改善する等の見直しが行われることを踏まえ、現行の税制上の措置を適用する。
○相続税・贈与税のあり方
・節税的な利用を防止する観点から、受贈者が贈与者の孫等である場合の贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用等、所要の見直しを行った上で延長する。
円滑・適正な納税のための環境整備
○国際化に対応した適正課税の確保
・徴収共助の要請が可能な国に財産を所有する滞納者が行う徴収回避行為に適切に対応するため、滞納処分免脱罪及び第二次納税義務の適用対象を見直す。
○退職所得課税の適正化
・勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額+300万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。
○金密輸に対応するための消費税の仕入税額控除制度の見直し
・より一層の金密輸の抑止を図る観点から、仕入税額控除の要件として保存が求められる売却した者の本人確認書類から、外国政府発行の書類等を除外する。
その他
○IRに関する税制(令和4年度以降に具体化)
・IR事業の国際競争力を確保する観点から、非居住者のカジノ所得について、非課税とする(居住者については、国内の公営ギャンブルと同様課税)。

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