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税務ニュース2021年01月29日 競馬の営利目的性を統計学用いて主張(2021年2月1日号・№868) 上告理由書に「t検定」の鑑定書を添付し、控訴審判決の理由に反論

  • 競馬所得の所得区分を争点とした事案(本誌858号8頁参照)で、一審勝訴、二審敗訴の納税者が上告。
  • 上告理由書には、統計学的に回収率が偶然の産物ではあり得ないことを立証するため、「t検定」の鑑定書を添付。

 本件は、馬券の払戻金の所得区分を争点とする事案である。一審は通常馬券の払戻金を「雑所得」と判断し、納税者が勝訴したが、控訴審は、平成24年の損失及びその額を看過できない否定的な事情として営利目的性を否定、「一時所得」との判断を示し、納税者の主張を斥けた。
 控訴審判決を受け、納税者は上告(及び上告受理申立て)を行った。令和3年1月5日に提出された上告理由書は、控訴審判決の判断理由に疑義を提起している。具体的には、控訴審判決が①事業所得の趣旨から解釈を展開していること、②上告人の馬券所得につき偶然性の影響が減殺されていないと評価したことに対し、理由の不備等を主張している。
 ①では、原判決が「事業所得が事業活動を遂行することで得られる収益に税負担能力を認めた趣旨に照らせば、『営利を目的とする継続的行為』といえるためには、その行為がある程度の期間継続して客観的にみて利益が上がると期待し得る行為であることが必要であると解すべきである」と判示したことに対し、「本件で両当事者が主張しているのは、上告人の係争年度における馬券所得が『一時所得』か『雑所得』かであり、『事業所得』該当性はこれまで一切主張されず、問題となっていない。」と反論。
 ②では、「本件係争年度(平成24~26年)を通じて、上告人の馬券の回収率は100%を超えている。また、損失を生じた年度でも、その回収率は86.4%以上を維持している。本来の払戻し率が75%であることからすれば、これが統計学的に偶然ではあり得ないことについては、上告人の馬券購入額及び払戻金について千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科の石黒英明教授が行ったt検定の結果から明らかとなる。回収率が偶然の産物でないことが統計的に有意である。」などとして石黒教授の鑑定書を添付し、「上告人が一貫して、独自のノウハウにより回収率を高めるために有効な選別を行った上で馬券購入を継続していたことは科学的に明らか」「上告人の得た払戻金は、到底、偶然によるものということはできず、そこには独自のノウハウが介在していることが明らか」であるとして、控訴審判決における営利目的性の否定理由に反論している。

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