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解説記事2019年08月26日 ニュース特集 令和2年度税制改正の論点(2019年8月26日号・№800)

ニュース特集
連結納税、国際課税・租特・税務手続きの電子化の行方は
令和2年度税制改正の論点


 新元号の下最初の税制改正となる令和2年度税制改正要望に向けた動きが本格化している。
 令和2年度税制改正の最大の目玉となる連結納税制度では、開始・加入時の時価評価課税・欠損金の切り捨てとグループ調整計算に関する議論が膠着状態に陥る中、直近に開催される政府税調総会では、連結納税制度に関する専門家会合からこれまでの連結納税の見直し議論をとりまとめた「報告」が行われる予定となっている。
 ここ数年間毎年重要改正が続いた国際課税分野の改正は“一服感”があり、年内は国内の税制改正というよりもデジタル課税が議論の中心となる。ただし、外国子会社合算税制の一部見直しが議論される可能性もある。
 租税特別措置では、期限切れを迎える特定資産の買換特例について、適用期限が延長される可能性は高いものの、地方⇒大都市圏への買換時の繰延率が圧縮されることを警戒する声が上がっている。
 政府が検討を進める税務手続きの電子化・利便性向上等が骨太方針2019に継承されたことなどを受け、税務手続きの電子化も議論されることになりそうだ。通知が全て「紙」で行われることによるコストが問題視されている個人住民税の特徴税額通知(納税義務者用)については、企業サイドにおいて紙と電子が混在する等の問題があり、抜本的な解決策は未だ見つかっていないが、令和2年度税制改正では議論の進展が期待される。このほか、今年10月から実施される「共同収納」については、「納付」のみならず「還付」の場面でも取り扱いを一元化すべきとの声や、対象税目を固定資産税等にも拡充すべきとの声が上がっている。また、この流れの中で、消費税の申告期限の延長(今号8頁参照)が議論される可能性がある。
 本特集では、令和2年度税制改正の注目ポイントをお伝えする。

連結納税
時価評価課税・欠損金の切り捨て、グループ調整計算は膠着状態


 元号が変わってから初の税制改正となる令和2年度税制改正の目玉となるのが、連結納税制度の見直しだ。昨年10月23日に開催された政府税調で「連結納税制度に関する専門家会合」(以下、専門家会合)の設置が了承されて以来、令和2年度税制改正に向け急ピッチで議論が進んできたが、ここに来て企業側からは内容の不透明感を指摘する声が高まっている。
 現行の連結納税制度では、個別の連結法人で修正・更正が生じた場合に他の連結法人で計算のやり直しが生じ、地方税も含め、多大なる事務負担が生じていることを背景に、新たな連結納税制度は、「簡素化」の観点から個別申告方式が採用されることが既定路線となっているが、現時点では、特に開始・加入時の時価評価課税・欠損金の切り捨て(本誌785号4頁~参照)―とりわけ連結親法人の開始前欠損金の取り扱い―とグループ調整計算(本誌795号4頁~参照)に関する議論が膠着状態に陥っている。
 直近に開催される政府税調総会では、専門家会合からこれまでの連結納税の見直し議論をとりまとめた「報告」が行われるが、両論併記の部分も多いと見られ、専門家会合として結論を出すものではなく、論点の整理に留まる見込み。
 今後は関係省庁が企業側の要望を引き取り、令和2年度税制改正に向かうことになるが、細部について合意に至るのは大綱がまとまる年末ギリギリとなる可能性が高いだろう。

国際課税
デジタル課税や義務的開示は改正なし、TH税制で一部見直しも


 電子経済に対する新たな課税(以下、デジタル課税)の方法が日本を含む各国にとって大きなテーマとなる中、OECDは2020年末までにデジタル課税に関する最終報告書をとりまとめる予定となっている(本誌793号4頁~参照)。日本でも、近い将来の国内法改正は確実視されているものの、それが令和2年度税制改正で実現する可能性は低い。ただ、世界的に注目を集めている問題だけに、政府税調を含め、政府内で議論されること自体は十分あり得るだろう。
 また、デジタル課税以外の国際課税項目については、平成28年度税制改正~31年度改正まで毎年のようにBEPS最終報告書を踏まえた国内法制化が続いたこともあり(移転価格文書化→外国子会社合算税制抜本改正→PE規定整備→利子控除制限、所得相応性基準等)、今年は大規模改正は“一回休み”となることが濃厚。残されたBEPS行動12の義務的開示についても、今のところ法制化の動きはない。
 一方、外国子会社合算税制については、依然として制度の「チューニング」を求める声がある。例えば、部分合算課税の適正化、すなわちユーザンス金利(今号42頁参照)が対象外であることを明確化する案や適用除外となるデリバティブ損益の範囲拡大などである。昨年度はトランプ税制に伴う米国のペーパーカンパニー対応に焦点が当たり、これらの要望は取り上げられなかった。その他の点も含め、議論が行われる可能性はある。

租税特別措置
期限未到来の租特の行方は


 平成30年度税制改正では、法人実効税率の引下げを行わない一方、3年間の措置として、「賃上げ・投資促進税制(所得拡大促進税制を改組したもの)」及び「情報連携投資促進税制(IoT投資減税)」を組み合わせることにより、企業の実質的な税負担割合を最大20%程度まで引き下げることが可能とされたところ。
 この平成30年度税制改正の経緯を思い起こせば、令和2年度税制改正で法人実効税率の引下げが議論される可能性は低いだろう。実際、これらの租特の適用期限が到来していないのにもかかわらず法人実効税率の引き下げ議論を行うのは時期尚早という声は関係者の間でも聞かれる。
 ただし、賃上げ・投資促進税制については、割増控除率の適用可否を判定する際の教育訓練費の算定が困難であるなど、使い勝手の悪さが指摘されている。また、IoT投資減税については、資産計上されるものだけが対象となり、クラウド使用料など費用には適用されない。令和2年度税制改正でこれら租特の改組・要件緩和が論点になる可能性は必ずしも高くないが、令和3年度改正以降も見据え、企業からは改善要望が上がっている状況だ。
 一方、期限未到来ではあるが、議論される可能性のある租特としては、産業競争力強化法に基づく株対価M&Aの特例(被買収会社株主における譲渡損益の繰延)だ。改正会社法(秋の臨時国会で改正法案が審議される可能性)で株式交付制度が導入されることを契機に、本則化を求める声が上がっている。
特定資産の買換特例、地方⇒大都市圏への買換時の繰延率圧縮を警戒
 一方、期限切れとなる租特の中で、業種を問わず多くの企業の関心が高いのが、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例だ。
 平成27年度税制改正では、地方から大都市圏への買い換えは政府が進める地方拠点の強化と整合しないとの理由により、繰延率が圧縮された経緯がある。
 平成29年度税制改正では基本的に単純延長となったが、今回の改正で27年度改正の議論が蒸し返されることを企業側は警戒している。というのも、令和2年度税制改正では、地方拠点強化税制や企業版ふるさと納税も期限切れとなるため、「地方創生」という文脈の中で税制改正が議論されやすい環境になることが予想されるからだ。買換え特例もこの議論に影響を受ける可能性は否定できない。
 ただ、大都市圏から地方への買換えが好ましく、その逆は好ましくないという論調は、議論を単純化しすぎているとの指摘も少なくない。幅広い業種への影響がある租特だけに、買換えの実態をよく踏まえ、企業側にも納得感のある議論が期待される。
 期限切れとなるその他の租特では、交際費課税の特例がある。交際費課税の特例は2年に一度適用期限が到来する租特であり、平成28年度税制改正の際は、法人実効税率の引き下げに伴う課税ベースの拡大アイテムとして一時廃止が検討されたが、今のところ無傷で生き残っている。10月に消費税率の引き上げを控える中、単純な廃止は基本的には考えにくいが、企業にとって死活的に重要な租特というわけではない。真に必要な租特を新たに設けるならばその財源として活用すべきとの声もある。
 このほか、減税のための租特ではなく、“増税停止租特”では、退職年金等の積立金に係る特別法人税の課税凍結措置が期限切れを迎える。3年に一度議論され、近年は単純延長が定番となっているが、今後、政府税調において老後の生活等に備える資産形成を支援する公平な制度のあり方等について検討を進めることとなる中、企業側からは、この議論に引きずられ課税凍結解除論が浮上することを懸念する声が上がっている。
 この他、企業からは、成長戦略実行計画を踏まえ、スタートアップを支援する税制を拡充すべきとの意見がある。

税務手続きの電子化
特徴通知(納税義務者用)について決着を求める声


 令和2年度税制改正では、税務手続きの電子化や簡素化が議論されることになりそうだ。これは、政府が検討を進める税務手続きの電子化・利便性向上等が骨太方針2019等に継承されたため。
 各種税務手続きの中で企業にとって関心の高いテーマの一つが、長年の懸案でもある個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)の電子化だ。周知のとおり、特徴税額通知には個人向けの「納税義務者用」と特別徴収義務者である企業向けの「特徴義務者用」の2種類があるが、このうち書面による「特徴義務者用」については平成30年度税制改正で個人番号の記載が不要とされ、企業の保管コストの大幅な低減が図られたところだ(本誌719号8頁参照)。
 一方、「特徴税額通知(納税義務者用)」については、「市区町村⇒企業⇒納税者」という交付フローの中で、通知が全て「紙」で行われることにより生じる仕訳、保管、郵送等のコストが膨大になる点が問題視されており、これを解決するため、電子情報処理組織(eLTAX)により特別徴収義務者を経由し、送付する仕組みを軸に検討がなされてきた。しかし、企業サイドにおいて紙と電子が混在する等の問題があり、抜本的な解決策は未だ見つかっていない。企業を経由せず、マイナポータルを利用して「市区町村⇒納税者」という“直送案”も一部では聞かれるが、マイナポータルの普及率は依然として低いことなどから、同案は現実的ではない。本件については事務的な検討が続いており、令和2年度税制改正ではそろそろ議論の進展が期待されるところだ。
 また、今年10月からは、複数の自治体への地方税の納税が一度の手続きで可能となる「共同収納」が始まり、企業側からは利便性向上を期待する声とともに、早くも「納付」のみならず「還付」の場面でも取り扱いを一元化すべきとの声や、対象税目を償却資産に係る固定資産税等にも拡充すべきとの声が上がっている。もっとも、政府からすれば、まずは共同収納を無事にスタートさせることが重要であることから、令和2年度改正で簡単に拡充が決まるというわけではないだろう。
 固定資産税については、課税明細書の電子化・書式統一に対する期待も高いが、政府は、どれほど緊急度が高いのかを含め、事業者のニーズを精査する必要があると慎重な立場をとっている。
 このほか、消費税の申告期限の延長などを求める声が上がっており(今号8頁参照)、令和2年度税制改正のテーマとなるか、注目される。

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