税務ニュース2019年08月30日 相続開始=地位の承継事実を知った時(2019年9月2日号・№801) 最高裁、原審の判示は斥けるも、民法916条の趣旨から相続放棄を容認
最高裁判所第二小法廷は8月9日、いわゆる再転相続(42頁参照)における「相続の開始があったことを知った時」とは「相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。」と判示し、原審(大阪高裁)の結論を是認する判決(上告棄却)を言い渡した。
民法は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」(915条1項)、「相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、915条1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。」(916条)と規定する。
本件は、最初の相続人であるB(Aの弟)がAの相続人となる事実を知らぬまま死亡し、Bの子Cが、Aの債権者Xからの強制執行文の送達を受け、BがAの相続人となっていることに気付いたもの。再転相続の事実を知ったCはAからの相続を放棄したうえで、相続放棄を異議の事由として、執行文付与に対する異議を訴えた。
原審は、民法916条はBがAの相続人であることを知らずして死亡し本件には適用されず、同法915条によって、Aからの相続に係るCの熟慮期間は、CがBからAの相続人としての地位を承継した事実を知った時から起算されると判示した。
最高裁は、民法916条の趣旨は、Cに対し、Aからの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障するものとし、「民法916条にいう『その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時』とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者からの相続により、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。(以下略)」として、Cの異議を認容した。
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