税務ニュース2021年02月05日 過少資本税制事案で文理解釈求め控訴(2021年2月8日号・№869) 納税者、借入時点で非居住者であった者からの借入と解すべきと主張
過少資本税制が適用された本件では、著名なファンドの主宰者であるM氏が控訴人(X会社)の「国外支配株主等」に該当するか否かが争点となっている。
一審の東京地裁は、「Mは、平成23年7月4日に住所地を東京都渋谷区からシンガポールに移転し、同月5日以降、非居住者に該当することとなったものであるところ、XはMから、同年6月30日、7月1日、7月4日に合計164億円の本件借入れをし、Mが非居住者となった同月5日から借入金が完済された平成24年3月7日までの期間に貸主であるMに対し同期間に対応する利子を支払ったのであるから、かかる利子の支払は、『非居住者からの借入れ』に対してされたもの」と判示した。
令和3年1月22日に東京高裁で開催された控訴審第1回弁論では、Xは、「本件借入れが行われた平成23年6月30日から同年7月4日までの間においてMが非居住者でなかったことは明らかである。そして、租税法律主義の趣旨に照らし、租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものでない(最高裁第三小法廷平成22年3月2日判決)。」「『当該非居住者等からの借入れ』とは、字義どおり、『借入れの時点において非居住者であった者からの借入れ』を意味すると解すべきであり、このことは、法人税法57条の2などにおいて『借入れを行う』『借入れを行った』などとして一時点の行為として規定されていることとも整合するというべきである。」「M氏は本件借入れの時点において非居住者ではなかったのであるから本件借入れは、『当該非居住者等からの借入れ』には該当しないと解するのが相当」との控訴理由を陳述した。
このほかXは、「本件借入期間中においてXとMとの間には事業方針決定関係(Xの事業の方針の全部又は一部につき実質的に決定できる関係)がなかったこと」を当時の状況に即して説明し、「本件借入期間中において、XとMとの間には事業方針決定関係がなかったことは明らかである。」「本件におけるXによる過少申告には、真にXの責めに帰することのできない客観的な事情がある。」などの控訴理由を挙げている。
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