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税務ニュース2019年10月25日 善管注意義務は税務相談の内容に応じて(2019年10月28日号・№809) 東京地裁、税理士の納税者への助言義務はなし

  • 節税目的による土地及び建物の一括購入に係る税務相談をめぐる税賠事件。納税者が税理士に対し約1,730万円の損害賠償を求めたが、東京地裁は納税者の請求を棄却(平成31年4月8日判決)。

 今回の事例は、節税目的による土地及び建物の一括購入に係る税務相談をめぐり、納税者(原告)が税理士(被告)に対し約1,730万円の損害賠償を求めた税賠事件である(今号17頁参照)。
 納税者は、税理士との間で平成10年分以降の税務申告業務及び節税対策のコンサルティング業務を包括的に委任する契約を締結したと主張。納税者は平成24年11月頃、委任契約に基づき、税理士に対し、本件不動産購入に係る税務対策について具体的な相談を行ったが、税理士は売買契約書の代金額の記載方法について助言せず、善管注意義務に違反したとしていた。
 一方、税理士は、納税者との間で委任契約を締結したことはなく、納税者から受任した業務内容は、納税者が代表者を務める会社の会計処理及び申告業務並びに納税者及び家族の確定申告や贈与税の申告作業にとどまるとしていた。
 東京地方裁判所(品田幸男裁判長)は、納税者が委任契約の内容として主張する節税対策のコンサルティング業務とは、納税者の節税対策について税理士が具体的な提案、助言をすることを意味するものと解されるが、納税者と税理士の間において、業務を包括的に委任するという契約が明示的に締結されたことを認める証拠はないとした。
 その上で東京地裁は、税理士は、納税者から税務相談を受ける都度締結される個別の委任契約に基づき、税務相談の具体的内容に応じ、税理士として的確な助言をするという内容の善管注意義務を負担していたにとどまるというべきであるとした。
 本件についてみると、納税者は税理士に対し、本件不動産を購入するに当たって自ら試算した内容の確認を求めたにとどまり、証拠によっても、それを超えて不動産の購入に伴う具体的な税額計算を依頼したり、税務上のアドバイスを求めたりした事実は認められないというべきであると指摘。したがって、税理士においては、納税者の試算した内容に誤りがないかを確認すれば足り、売買契約書における代金額の記載方法いかんによって税務署による本件建物の減価償却費相当額の認定額が左右されることを説明し、必要に応じて売買契約書等を確認した上で、売買契約書の代金額の記載方法について適切な助言をすべき義務を負っていたと解することはできないとの判断を示した。

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