税務ニュース2021年03月05日 非上場株式評価の差戻し控訴審が結審(2021年3月8日号・№873) 納税者が「第3の価額」提示も、国が主張する通達評価額と約4倍の開き
最高裁までもつれこんだ本件では、非上場株式の譲渡価額が「通達の文理解釈による配当還元価額(1株当たり75円)」か、「読み替えによる通達評価額(1株当たり2,505円)」かが争点となっている。最高裁は、「通達の文理解釈による配当還元価額」との解釈を斥けたうえで、時価について更に審理を尽くさせるため、原審に審理を差戻した(本誌828号40頁参照)。
差戻し控訴審では、納税者は主位的主張として、取引価格(1株当たり75円)が時価であるとしつつ、予備的主張として「第3の価額(668円)」を提示した(本誌870号8頁参照)。この第3の価額は、評価会社(高野総合コンサルティング)が、配当還元法(評価ウェイト68.25%)とDCF法(同15.88%)と純資産法相続税評価(同15.88%)から譲渡人評価額(1,255円)を算出し、配当還元法により算出した譲受人評価額(82円)と折衷して算出した(以下、高野評価額)。
国は、「高野評価額1株当たり668円が所基通・評価通達に定める評価方法による評価額である1株当たり2,505円を下回るという事情のみでは通達によらない評価を是認する特別の事情とならない」「高野評価額1株当たり668円は、譲渡所得課税の趣旨及び所得税法59条の趣旨並びに株価に影響を与える要素を合理的に考慮して算定したものではなく、専ら配当金額のみを考慮して算定されたものであり、本件株式譲渡に係る所得税法59条1項の『その時における価額』となる余地はない」と、第3の価額(668円)に反論した。
さらに国は、「控訴人らが高野評価を根拠として、種々の経済性を考慮して算定したと主張する1株当たり668円や、高野評価において『譲渡人評価額』とされた1株当たり1,255円は、そもそも、合理的な方法により算定したものであるとはいえず、高野評価の存在自体では通達によらない評価を是認する特別の事情とはならない。」「各通達によって算出された価額である1株当たり2,505円は、本件株式譲渡に係る所得税法59条1項の『その時における価額』として適正である。」とも主張している。
本訴は2月25日をもって結審し、判決言渡しは令和3年5月が予定されている。
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