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会社法ニュース2021年04月16日 上場会社が公益財団への自社株割当断念(2021年4月19日号・№879) 「SDGsの推進」掲げるも少数株主の壁

  • JASDAQに上場するシノケングループ(12月決算)が3月株主総会に会社提案していた自己株式100万株を「1株1円」で同社社長が代表理事を務める公益財団法人に割り当てる旨の議案を撤回。
  • 「SDGsの推進」との提案理由とともに、自己株式取得方針打ち出すも、少数株主に受け入れられず。

 間もなく3月決算会社の株主総会シーズンを迎えるが、同族色の濃い上場会社の株主総会で散見されるのが、公益財団法人に低額で自己株式を割り当てることを諮る会社提案議案だ。公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律上、公益財団は、上場会社か非上場会社かを問わず、その株式の50%までを保有することが可能とされている(同法施行令7条)。公益財団法人に自己株式を割り当て、さらに創業者の死亡に伴い創業者一族の後継者が公益財団の代表理事に就任すれば、創業者一族が会社への支配力を維持しながら、相続税負担なく実質的に持分を相続することができ、事実上の買収防衛策としても機能する。
 投資用不動産販売・不動産賃貸管理を営むシノケングループが3月26日の定時株主総会に諮ることとした「第三者割当による自己株式の処分」議案の内容は、同社の代表取締役社長が代表理事を務める公益財団法人篠原育英会に対し、同社の自己株式100万株(発行済株式総数の2.74%)を「1株1円」で割り当てるというもの。会社提案が行われた2021年2月12日付の同社株価の終値は1,258円であり、この自己株式割当ては会社法上の有利発行に該当するため、本議案の成立には特別決議が必要になる。同社は本提案の理由として、「修学困難者への奨学援助を中心とした育英事業を行う本財団の社会貢献活動を継続的かつ安定的に支援することは、当社が目指すSDGsの推進や、当社の掲げるビジョンの実現に繋がるものであり、中長期的視点及び社会的責任の観点からも当社の利益に資する」旨を挙げたが、株主総会の前日に本提案を取り下げた。議決権の事前行使における本議案への賛成率が低かったことが理由とみられる。
 同社は、少数株主持分の希薄化への批判対策として、自己株式の処分数量と同数の自己株式を取得する方針を打ち出していたが、そもそも公益財団法人に自己株式を割り当てずに自己株式の取得だけを行えば一層の株価向上につながるだけに、説得力は低い。同社は将来的な“再チャレンジ”を示唆しているが、この種の議案が少数株主の理解を得る難しさを改めて認識させた一件と言えそうだ。

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