会社法ニュース2021年04月23日 社外増やさず1/3基準等充足目指す動き(2021年4月26日号・№880) モニタリング・ボードへの移行で事業ポートフォリオ等の議論活性化も
改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)では、プライム市場上場企業に対し独立社外取締役の割合を「3分の1以上」、経営環境や事業特性等を勘案して必要と考える企業には「過半数」とすることを求めているが(原則4-8)、一部の上場企業は、社外取締役を増やさずにこの基準をクリアすることを検討している。
その方法は二つある。一つは監査等委員会設置会社への移行、もう一つは社内取締役の数を減らすことだ。周知の通り、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行する際には、現在の社外監査役を「監査等委員である社外取締役」にスライドさせることが可能であり、その結果、社外取締役の割合を高めることができるが、既に多くの上場企業が監査等委員会設置会社に移行している。その場合、残された選択肢は社内取締役の数を減らすことしかない。
その手法の一つとして、マネジメント・ボードからモニタリング・ボード(42頁参照)への移行が考えられる。監査役会設置会社を中心に多くの日本の上場企業の取締役会は業務執行取締役を中心に構成されるマネジメント・ボードだが、機関投資家の間では主に非業務執行取締役から構成されるマネジメント・ボードへの移行を望む声がある。例えば、取締役会をCxO中心とし、取締役を兼ねる各事業部門のトップをボードメンバー外とすれば、取締役会を一気にスリム化できる。各事業部門のトップは取締役会に対して「報告」に徹することで、取締役会の最重要課題の一つである事業ポートフォリオの見直し議論もスムーズに進む可能性がある。
改訂CGコードでも事業ポートフォリオに言及した原則を2つ新設しており、「……経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行う」ことを取締会に求めるとともに(補充原則4-2②)、上場会社に対しては「取締役会において決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況について分かりやすく示す」ことを求めている(同5-2①)。事業ポートフォリオの見直し等を促進する可能性のあるモニタリング・ボード化は改訂CGコードの趣旨にも沿ったものと言えよう。
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