税務ニュース2019年11月29日 海外中古建物節税封じ、令和3年~適用(2019年12月2日号・№813) 簡便法以外なら不適用も、見積年数の適正性証明する書類の添付必要
海外中古建物を利用した節税スキーム封じの適用開始年等が本誌取材で判明した。令和3年分以後の所得税から適用される。
改正案の概要は既報の通りだが、より正確には、「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、耐用年数を簡便法により計算した国外にある中古建物の減価償却費に相当する部分の損失」については、これを「生じなかったものとみなし」、損益通算等はできないこととする――となる。
1つ目の注目点が「耐用年数を簡便法により計算した」という部分。これを逆に読めば、「簡便法」によらず、通常の耐用年数により計算した減価償却費であれば損益通算等できることになる。簡便法を使わない場合、耐用年数は「使用可能期間」を見積もることになるが、意図的に使用可能期間を短く見積もることにより、簡便法使用時に近い節税効果を狙うことは困難だろう。改正案には、見積法により耐用年数を計算した場合、その見積年数が適正であることを証明する一定の書類の添付がない限り、簡便法により耐用年数を計算した場合と同様に、減価償却費に相当する部分の損失は生じなかったものとみなす旨が明記される模様。そもそもこの節税スキーム自体が海外の中古建物の価値の下がりにくさを利用しているように、海外の建物の耐用年数は60年等と非常に長いため、簡便法により計算した耐用年数に近い短い耐用年数を見積もることはまずできないと考えるべきだろう。仮に長い耐用年数を適用すれば、税務上のメリットはほぼ消失すると思われる。
また、上記では「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち……」とされている点も改めて確認しておきたい。これも前号でお伝えした通りだが、単に給与所得等との損益通算ができないということではなく、「不動産所得」の計算上、損失は生じなかったものとみなされることになる。ただし、本改正の趣旨が、海外不動産に係る損失のうち(簡便法による耐用年数で計算した)減価償却費に相当する部分の額については国内所得との損益通算を認めないという趣旨だとすれば、海外不動産所得がゼロとなるまでは減価償却費の計上が認められる可能性がある。国内所得と損益通算して初めて節税メリットが生まれるからだ。この点については続報したい。
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