カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2019年12月02日 ニュース特集 譲渡所得事案、特例適用上の注意点(1)(2019年12月2日号・№813)

ニュース特集
当局作成のQ&Aを掲載
譲渡所得事案、特例適用上の注意点(1)


 本特集では、税務当局が作成している「譲渡所得の審理上の留意点」(Q&A)を紹介する。「居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)」「特定事業用資産の買換え特例」「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」の適用の可否などが取り上げられている。

Q1
 居住用家屋は措法35条、その敷地は措法34条を適用することの可否

 甲は、土地区画整理事業に伴い、居住用家屋(以下「本件家屋」という。)及びその敷地(以下「本件宅地」という。)を譲渡した。
 この場合、本件家屋及び本件宅地は租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項(以下「3,000万円控除」という。)、本件宅地は同法第34条《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》第1項(以下「2,000万円控除」という。)の適用要件をそれぞれ満たしているとき、本件家屋は3,000万円控除、本件宅地は2,000万円控除をそれぞれ適用して譲渡所得を計算できるか。
 なお、本件家屋に居住用以外の部分はなく、全てが居住の用に供されている。

A
 本件家屋に3,000万円控除を適用する場合には、本件宅地に2,000万円控除を適用することはできない。

【理由】
1 法令の規定
(1)3,000万円控除の対象となる居住用財産の譲渡について

  個人の有する資産が、居住用財産を譲渡した場合に該当することとなったときは、その年中にその該当することとなった全部の資産の譲渡に対して3,000万円控除を適用することができるところ(措法35①)、「居住用財産を譲渡した場合」とは、租税特別措置法第35条第2項第1号において、「居住の用に供している家屋……の譲渡」又は「居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地……の譲渡」をいう旨規定している。
(2)3,000万円控除と2,000万円控除の適用関係
  租税特別措置法第34条第1項は、その年中に特定土地区画整理事業等のために譲渡した土地等の譲渡に対して2,000万円控除を適用することができる旨規定しているところ、その適用の対象となる土地等から、3,000万円控除の適用を受ける部分は除外されている(措法34①柱書かっこ書)。
2 当てはめ
 本事例の場合、本件家屋及び本件宅地を同時に譲渡しているから、これらの譲渡は、租税特別措置法第35条第2項第1号に規定する「居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地……の譲渡」に該当することとなる。 
 そして、本件家屋はその全てが居住の用に供されていることから、上記1(1)のとおり、本件家屋及び本件宅地の全部が居住用財産を譲渡する場合に該当し、その全部の資産の譲渡が3,000万円控除の適用対象となる。 
 したがって、本件家屋に3,000万円控除を適用する場合には、本件宅地の全部が同特例の適用対象となり、同特例の適用を受ける部分以外がないため、上記1(2)のとおり、本件宅地に2,000万円控除を適用することはできない。

Q2
事業用資産の買換えの特例を適用する場合の買換資産の面積要件について

 甲は、平成31年1月に、事業の用に供していた建物及びその敷地(各所有期間は10年超)を譲渡(以下「本件譲渡」という。)した。その後、同年2月、互いに隣接するA土地ないしC土地を取得し、令和元年12月にこれらの土地の上に1棟の工場を建築して、その翌年7月から、これらを一体として事業の用に供している。
 この場合において、甲は、本件譲渡について、租税特別措置法第37条《特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例》第1項の表の第7号に規定する特例(以下「本件特例」という。)を適用することはできるか。

A
 甲は、本件特例を適用することができる。
【理由】
1 本件特例の概要等

 租税特別措置法第37条第1項は、事業の用に供しているものの譲渡をした場合で、その譲渡の日の属する年の12月31日までに買換資産を取得し、かつ、その取得の日から1年以内に、その取得をした資産を事業の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、収入金額の100分の80に相当する金額を超える部分について譲渡があったものとする旨定めている。
 そして、本件特例は、譲渡資産を「国内にある土地等、建物又は構築物で、当該個人により取得されたこれらの資産のうちその譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの」とし、買換資産を「国内にある土地等(事務所その他政令で定める施設(以下「特定施設」※という。)の敷地の用に供されるもの……で、その面積が300㎡以上に限る)、建物又は構築物」である旨定めている(措法37①表七)。
 また、買換資産が土地等である場合には、取得した土地等ごとに特定施設の敷地の用に供されているかどうかを判定すべきであるから、この「その面積が300㎡以上に限る」という買換資産に係る土地等の面積要件の判定についても、原則として、取得したそれぞれの土地等ごとに行うこととなる。 
 ただし、①隣接する複数の土地等をまとめて取得し、これらの土地等を一の特定施設の敷地の用に供する場合、②隣接する複数の土地等をまとめて取得し、これらの土地等がそれぞれ複数の特定施設の敷地の用に供されている場合で、これらの特定施設を一体として事業の用に供すると認められるときには、これらの土地等の合計面積をもって買換資産に係る土地等の面積要件を判定することが相当であるとされている(参考:国税庁ホームページ質疑応答事例「特定資産の買換特例(第7号)において買換資産が複数の土地等である場合の面積要件の判定について」(法人税))。
※ 特定施設……事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものを除く。)(措法37①表七、措令25⑬)。
2 当てはめ
 本事例の場合、A土地ないしC土地ごとにみると、いずれの土地も本件特例の買換資産に係る土地等の面積要件である300㎡に満たない。
 しかしながら、甲は、互いに隣接したA土地ないしC土地を取得し、これらの土地の上に1棟の工場を建築してこれらを一体として事業の用に供していることから、上記1のただし書のとおり、A土地ないしC土地の合計面積(320㎡)によって、本件特例の買換資産に係る土地等の面積要件(300㎡以上)を判定することとなるため、甲は、本件特例を適用することができる。

Q3
相続開始時に売買契約中であった土地等に係る措法39条の適用可否(売主のケース)

 次の事実関係において、丙が下記A土地の譲渡について、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期を引渡日(平成31年3月31日)として譲渡所得を申告する場合、租税特別措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》(以下「本件特例」という。)の適用ができるか。
 また、本件特例の適用ができる場合、丙の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額はいくらか。 
 平成30年12月7日 甲(売主)と乙(買主)がA土地に係る売買契約(以下「本件契約」という。)を締結
        なお、本件契約の内容は要旨次のとおり
        イ 譲渡代金 3億円 
        ロ 引渡日 平成31年3月31日
        ハ 甲は本件契約締結日に手付金1億円受領
平成31年2月10日 甲死亡、同人の相続人は長男丙のみ
 同年3月31日  丙は乙にA土地を引渡、丙は残金2億円受領
令和元年10月1日 丙は甲に係る相続税申告書を提出
  (申告内容)相続財産:A土地に係る残代金請求権2億円及び現金1億円
        債務:零円、相続税額:4,860万円

A
 丙は、本件特例を適用できる。
 丙の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額は3,645万円となる。
【理由】
1 本件特例の概要

 租税特別措置法第39条第1項は、相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき相続税法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から当該相続に係る申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合に適用される。 
 そして、この場合の譲渡所得に係る所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する取得費は、次の算式のとおり、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として計算した金額を加算することとしている。

2 売買契約中の土地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。)及び建物等(建物及びその附属設備又は構築物をいい、土地等と併せて、以下「土地建物等」という。)に係る相続税の課税について
 土地建物等の売買契約の締結後の当該土地建物等の売主から買主への引渡日(注)前に当該売主に相続が開始した場合には、当該相続に係る相続税の課税上、当該売主たる被相続人の相続人その他の者が、当該売買契約に関し当該被相続人から相続又は遺贈により取得した財産は、当該売買契約に基づく相続開始時における残代金請求権となる(参考:最二小判昭61.12.5)。
(注)当該土地等が、売買について農地法第3条《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》第1項若しくは第5項第1項本文の規定による許可又は同項第3号の規定による届出を要する農地若しくは採草放牧地又はこれらの土地の上に存する権利である場合には、当該許可の日又は当該届出の効力の生じた日後に当該土地等の所有権その他の権利が売主から買主へ移転したと認められる場合を除き、当該許可の日又は届出の効力が生じた日
3 売買契約中の売主に相続が開始し、その相続人が譲渡所得の申告をする場合の本件特例の適用について
 相続開始時に売買契約中であった土地建物等について、被相続人が売主であった場合、その相続人が譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期を当該土地等の引渡しがあった日として譲渡所得の申告をするときは、当該相続人が当該土地建物等を譲渡したことになるから、本件特例を適用することができることとなる。 
 この場合、譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額の計算は、上記1の算式を次のとおり修正した算式により計算する。 

4 当てはめ
 本事例の場合、甲は、A土地に係る売買契約を締結後、乙へ当該土地を引き渡す前に死亡している。そして、丙がA土地について譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期を引渡日であるとして譲渡所得を申告する場合には、上記3のとおり、本件特例の適用が可能となる。 
 また、この場合において、丙の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額の計算をすると、次のとおり3,645万円となる。

Q4
相続開始時に売買契約中であった土地等に係る措法39条の適用可否(買主のケース)

 次の事実関係において、丙は、租税特別措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》(以下「本件特例」という。)の適用ができるか。 
 また、本件特例の適用ができる場合、丙の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額はいくらか。 
 平成30年12月7日 甲(売主)と乙(買主)がB土地に係る売買契約(以下「本件契約」という。)を締結
        なお、本件契約の内容は要旨次のとおり
        イ 譲渡代金 3億円
        ロ 引渡日 令和元年5月31日
        ハ 乙は本件契約締結日に手付金1億円支払 
平成31年1月7日 乙死亡、同人の相続人は長女丙のみ   
 同年3月31日 甲は丙にB土地を引渡 丙は残金2億円支払 
令和元年9月21日 丙は乙に係る相続税申告書を提出 
 (申告内容) 相続財産:B土地に係る引渡請求権3億円及び現金4億円 
        債務:B土地に係る残代金支払債務2億円及び借入金1億円
        相続税額:1億4,000万円  
 同年11月23日 丙は丁にB土地を譲渡

A
 丙は、本件特例を適用できる。  
 丙の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額は5,999万円となる。
【理由】
1 本件特例の概要
 
 租税特別措置法第39条第1項は、相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき相続税法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から当該相続に係る申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合に適用される。 
 そして、この場合の譲渡所得に係る所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する取得費は、次の算式のとおり、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として計算した金額を加算することとしている。

2 売買契約中の土地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。)及び建物等(建物及びその附属設備又は構築物をいい、土地等と併せて、以下「土地建物等」という。)に係る相続税の課税について
 土地建物等の売買契約の締結後の当該土地建物等の売主から買主への引渡日(注1)前に当該買主に相続が開始した場合には、当該相続に係る相続税の課税上、当該買主たる被相続人の相続人その他の者が、当該売買契約に関し当該被相続人から相続又は遺贈により取得した財産は、その売買契約に係る土地建物等の引渡請求権等(注2)とし、その財産取得者の負担すべき債務は、相続開始時における未払金となる(参考:最二小判昭61.12.5)。
 ただし、当該土地建物等を相続財産とする申告があったときには、これを認め、当該土地建物等の価額は、財産評価基本通達により評価した価額とし、当該土地等について、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の適用がある場合には、これを適用して差し支えない。
(注1)当該土地等が、売買について農地法第3条《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》第1項若しくは第5項第1項本文の規定による許可又は同項第3号の規定による届出を要する農地若しくは採草放牧地又はこれらの土地の上に存する権利である場合には、当該許可の日又は当該届出の効力の生じた日後に当該土地等の所有権その他の権利が売主から買主へ移転したと認められる場合を除き、当該許可の日又は届出の効力が生じた日
(注2)原則として、当該売買契約に基づく土地建物等の取得価額の金額
3 売買契約中の買主に相続が開始し、その相続人が譲渡所得の申告をする場合の本件特例の適用について
 相続開始時に売買契約中であった土地建物等について、被相続人が買主であった場合、その相続人が当該売買契約に係る資産を転売したときは、同人が相続により取得した資産を譲渡したことになるから、本件特例を適用することができる。 
 この場合の譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額の計算方法は、上記1の算式に基づき計算することとなる。
4 当てはめ 
 本事例の場合、乙は、B土地に係る売買契約を締結後、甲から当該土地の引き渡しを受ける前に死亡している。そして、丙は、乙からの相続によりB土地を取得後、これを転売しているから、上記3のとおり、本件特例を適用することができる。
 また、この場合において、丙は、当該相続により取得した資産をB土地の残代金請求権の額3億円として申告しているから、譲渡所得の計算上、取得費に加算する相続税額の計算をすると、次のとおり5,999万円となる。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • bnr-購読者専用ダウンロードサービス
  • 法苑
  • 裁判官検索