会社法ニュース2021年07月02日 気候変動等が法定開示の対象へ(2021年7月5日号・№889) サステナビリティ、ガバナンス関連の開示を有報で
6月18日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」には、「金融審議会において、上場企業と投資家との建設的な対話等に資する開示制度の在り方について、サステナビリティやガバナンスに関する開示を含め幅広く関係者の意見を聞きながら総合的に検討する。」との記述がある。
これを受け、6月25日に開催された金融庁・金融審議会総会では、サステナビリティやガバナンスに関する項目を法定開示、すなわち有価証券報告書による開示対象とする方向性が打ち出された。
このうちサステナビリティに関する具体的な開示項目として考えられるのが、今般のコーポレートガバナンス・コードの改訂で新設された補充原則3-1③が開示を求める「人的資本や知的財産への投資等」や「気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響」などだ。
一方、「ガバナンス」に関する開示項目としては、前回のディスクロージャーWGの報告書(平成30年)で言及があった「取締役会や任意の委員会の活動状況」が挙げられる。報告書には「取締役会や委員会等の活動状況は、取締役会や委員会等が実効的に機能しているかを判断するために重要であり、コーポレート・ガバナンス報告書とともに有価証券報告書においても記載を求めるべきとの意見があった。」(16頁)との記述がある。「取締役会や任意の委員会の活動状況」を有価証券報告書による開示対象とするかどうかはいわば“宿題”となっていた格好であり、これが検討項目とされることになる。
改訂CGコードが求めるTCFD等に基づく気候変動関連の開示に対しては企業から戸惑い及び事務負担増加への懸念が聞かれるが、これが法定開示の対象となれば、原則主義を採用するCGコードのような「エクスプレイン」は認められなくなる。気候変動関連の開示のフレームワークをとしては、今後、IFRS財団が設立するISSB(42頁参照)が存在感を増すことも予想される。気候変動関連開示のノウハウを持つ企業は極めて少なく、補充原則3-1③にも当面は手探りで対応せざるを得ない中、法定開示化が実現した場合には大きなインパクトを持つことになりそうだ。
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