税務ニュース2021年09月24日 非完全子会社や一部のスピンオフ可能に(2021年9月27日号・№899) 令4改正でスピンオフ税制の拡充案浮上、再編税制との関係など課題
周知の通り、平成29年度税制改正で導入されたスピンオフ税制のうち、100%子会社をスピンオフする類型は適格株式分配(法法2十二の十五の三)とされ、子会社株式を帳簿価額で譲渡できる(法法62の5③)。ただし、株式分配は「現物分配のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人の当該発行済株式等の全部が移転するもの」とされているため(法法2十二の十五の二)、完全子会社以外のスピンオフや一部持分を残したスピンオフはそもそも株式分配に該当せず、適格株式分配にもならない。
こうした中、経済産業省は令和4年度税制改正でスピンオフ税制の拡充を要望し、段階的に子会社を切り出そうとする企業などが活用できるよう、一部持分を残したスピンオフや完全子会社以外のスピンオフについても円滑な実施を可能とするための税制措置を講ずることを求めている。
経済産業省の要望の趣旨は、完全子会社を前提とした現行規定を改正し、スピンオフに係る適格再編の選択肢を増やそうということにある。今回の要望は同省に設置された「事業再編研究会」が令和2年7月にとりまとめた報告書がベースとなっている。事業再編研究会報告書では、上場子会社の切り離し等を念頭に、「100%未満の子会社のスピンオフについて、国内での活用に向け各種の制度整備も含め検討を行うことが期待される」とされていた。
上場子会社を有する企業などからは、将来的な再編のオプションが増えることを歓迎するとの声が上がっている。
本改正議論の過程では、法人税法本則に基づく適格再編として位置付けることが適当かという、令和3年度税制改正で実現した自社株等対価M&Aに係る特例の導入議論の際と同じ論点が検討される可能性が高い。組織再編税制の枠組みの中で改正を実現するためには、経済実体として一の法人(親会社と100%子会社)が単に二つに分かれるが故に移転資産への支配が継続しているとみなせるかどうかがポイントとなろう。
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