会計ニュース2021年11月19日 内部統制報告制度強化等は事実上先送り(2021年11月22日号・№907) 会計監査の在り方に関する懇談会が「論点整理」を公表
9月以来、会計監査の信頼性確保に向けた議論を重ねてきた金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」(座長 八田進二 青山学院大学名誉教授 大原大学院大学会計研究科教授)は11月12日、これまでの3回目の会合の議論をまとめた「論点整理」を公表した。
同懇談会で論点となっていたテーマのうち実務上インパクトが大きいと見られていたのが「内部統制報告制度の規制強化」と「有価証券報告書の財務諸表に(対する)監査役等による報告書の導入」だ。
まず「内部統制報告制度の規制強化」について論点整理では、①内部統制の整備・運用状況について分析を行った上で、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえながら、②必要に応じて、内部統制の実効性向上に向けた議論を進める、とのステップが示された。ただ、①だけでもかなりの時間を要することが見込まれる上、その分析の結果を受け「必要」と判断されて初めて議論の俎上に載るということを考えると、事実上、本論点は先送りになったと言えそうだ。
同様に「有価証券報告書の財務諸表に(対する)監査役等による報告書の導入」についても、「有価証券報告書に監査役等による報告書を求めることを通じた財務報告に係るガバナンスに対する監査役等の責任の明確化などについても、中長期的に検討されるべき」とされるにとどまり、こちらも短期的な制度化はないだろう。
一方、本誌既報の「監査法人の監査品質向上」については、法改正を伴う取り組みが強く示唆されている(906号4頁~参照)。具体的には、①上場会社監査事務所登録制度を日本公認会計士協会の自主規制制度から公認会計士法上の制度に格上げ、②公認会計士・監査審査会の権限拡大(監査法人の「業務運営の状況の検証」のみならず、「虚偽証明に係る監査手続」についても検証可能とする)、③上場会社の監査を行う全ての監査法人による「監査法人のガバナンス・コード」の受け入れ、に関する早期制度化が見込まれる。監査法人の負担増加が監査報酬の増額等となって企業に影響を与える可能性もあろう。
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