税務ニュース2021年12月24日 国外動産譲渡益は国外源泉所得非該当(2021年12月27日号・№912) 条約相手国で課税される場合は例外、年明けの確定申告では要注意
非永住者の課税対象範囲の判定や、外国税額控除の控除限度額の算定に際しては、所得が国外源泉所得に該当するかどうかの判断が重要になるが、実務上悩ましいのが、国外に所在する美術品や貴金属等の動産の譲渡により生じた譲渡益の取扱いだ。
この点を本誌が当局に取材したところ、現行所得税法上、通常は国外源泉所得に該当せず、租税条約締結先の相手国で課税が行われるときのみ、国外源泉所得となることが確認された。
国外源泉所得の定義は所得税法95条4項に規定されているが、その一つとして「国外にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの」がある(同3号)。しかし、同号の委任を受けた所得税法施行令225条の4では、国外にある不動産や山林などが限定列挙されているのみで、国外に所在する動産については何ら言及がない。
非永住者の課税対象範囲は、平成26年度税制改正前とは異なり、現行の所得税法(7条1項2号)においては、「国外源泉所得以外の所得」に対して課税を行うというアプローチが採用されており、国内源泉所得に該当しないが国外源泉所得にも該当しない所得は課税対象に含まれることになる。そのため、非永住者が前述の国外に所在する動産の譲渡をしたことで譲渡益を得た場合も、「国外源泉所得以外の所得」として所得税の課税対象とされる。
しかしこの取り扱いには例外がある。本誌が当局に取材したところ、国外にある動産について租税条約の規定により相手国等においても外国所得税が課される場合は、所得税法95条4項16号の「租税条約の規定により相手国等において租税を課することができることとされる所得」に該当するため、国外源泉所得として取り扱われることになるとのことだ。
一方、全世界所得課税とされる通常の居住者(永住者)は、非永住者ほどの注意は必要ない。仮に国外に所在する動産の譲渡益に条約相手国で外国所得税が課されたとしても、外国税額控除に関する控除限度額の計算上、国外源泉所得として分子にカウントすることができる。
年明けからは所得税確定申告のシーズンが到来するが、国外に所在する資産から生じた所得というだけで、国外源泉所得と判断することのないよう、注意が必要だ。
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