税務ニュース2021年12月24日 差押処分に2度目の取消訴訟も却下判決(2021年12月27日号・№912) 東京高裁、差押換えは税務署長の合理的な裁量との判断示す
本件は、対象土地・建物の共有持分を有する原告が、徴収職員から本件持分の差押処分を受けたことから、国を相手に本件差押処分の取消しを求めるとともに、本件差押処分により、差押期間中に原告が得られたはずの本件各不動産に係る賃料相当の損害を被ったなどと主張して、国賠請求を求めていた事案である。本件差押処分に対し、原告は平成25年6月3日、本件差押処分の取消しを求める訴訟を提起した(以下「前訴」という。)。前訴において原告は、①原告は本件各不動産について共有持分を有していない、②原告はこれまで徴収職員に対し本件滞納国税につき納付したくてもできない旨を説明してきたのに徴収職員は原告に無断で本件各代位登記及び本件各差押登記をして本件差押処分をした、③本件各不動産は家の血縁者一同の共有物であるとの認識であるところ、徴収職員は、血縁者一同の同意を得ずに本件差押処分をした、などとして本件差押処分は違法であると主張したが、東京地裁は、平成26年2月12日、本件差押処分は適法であるとして原告の請求を棄却し、前訴判決は確定した。
本訴において原告は、本件差押処分後に徴収職員に対し、本件差押処分の対象となった本件各不動産と原告名義の別の土地とを差し替えるよう申し入れたが応じてもらえなかったなどとして、本件差押処分を撤回せず存続させていることが違法である旨主張。
東京地裁は、「原告は、本件差押処分を不服として、平成24年11月28日付けで同審査請求を棄却する旨の裁決を受け、その裁決書の送達がされてから1年以上経過した令和3年6月7日に本件訴訟を提起したものであり、この間の経緯を踏まえても、原告が出訴期間を遵守することができなかったことにつき正当な理由があるとは認められない。したがって、本件取消しの訴えは、不適法であるというほかなく、却下すべきものである。」と判示し、差押処分の取消請求を却下した。
さらに、「滞納者が提供する他の財産が『差し押さえることが適当な財産』に該当するかどうかの判断や、これに該当する場合に当該財産を差し押さえることとして差押財産の差押えを解除するかどうかの判断は、税務署長の合理的な裁量に委ねられているものというべきである。」などと判示して、国賠請求の主張を斥けている。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.