税務ニュース2022年01月28日 公益性・公共性よりも法律上の規定重視(2022年1月31日号・№916) 東京地裁、非営利型法人の金融収益への課税・源泉還付不適用を容認
非営利型法人に該当する一般財団法人である原告は、本件事業年度の法人税について、収益事業以外の事業に属する資産から生じた利子及び配当等について源泉徴収された所得税の額8,340万8,545円を含む8,395万7,395円の還付を求める更正の請求をしたところ、所轄税務署長から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた。そこで、非営利型法人である原告の利子及び配当等については非課税とされるべきであるなどとして、本件通知処分の取消しを求めるとともに、本件更正の請求のとおり更正処分をすることの義務付けを求め提訴した。
原告は、「その目的や事業の公益性・公共性という点において公益法人と同等であり、原告が支払を受ける利子及び配当等について源泉徴収された所得税については、非課税とすべきであった。また、源泉徴収を行い、還付請求も否定してその取り切りの状態を招くことは、著しく不合理であり、法の解釈を誤り、裁量権の逸脱又はその濫用である」と主張した。
これに対し東京地裁は、「①原告は非営利型法人に該当する一般財団法人であって、公益法人ではないから、原告が公共法人等として所得税法11条1項の適用を受ける余地はなく、②原告が支払を受ける本件預貯金利子等については、その支払の際、所得税が源泉徴収される(同法212条3項)。③また、原告は、法人税法2条6号の公益法人等に該当し、収益事業から生じた所得以外の所得については法人税が課されず(同法7条)、本件預貯金利子等に係る所得税については二重課税の問題は生じないから、同法68条1項の規定を適用する余地はなく、原告の法人税の額から本件預貯金利子等に係る所得税の額を控除することはできず、また、法人税の額から控除しきれなかった所得税の額の還付を求めることもできない(同条2項)。」と判示し、「本件事業年度の法人税額につき所得税の額を控除しなかったことに法律の解釈適用の誤りや計算過程の誤りは認められないから、本件更正の請求に理由がないとした本件通知処分は適法であり、原告の上記主張は採用することができない。」として原告の主張を斥けた。
立法行為が違憲、無効であるとする原告の主張についても、所得税の控除・還付となる法律上の根拠はないとして斥けている。
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