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解説記事2022年03月28日 税務マエストロ 日本型インボイス制度(7)(2022年3月28日号・№924)

税務マエストロ
日本型インボイス制度(7)
#271
 税理士 熊王征秀

マエストロの解説

 今月は、インボイス制度の導入に伴う留意事項について確認する。

1 家事共用資産と共有物の取扱い

(1)家事共用資産の譲渡(インボイス通達3−4)
 個人事業者が家事共用資産を譲渡する場合には、事業用部分を合理的に区分したうえで、事業用部分の取引金額を基に適格請求書に記載すべき金額等を計算することとなる。
<計算例>
 事業共用割合が50%の中古車両を20万円で売却する場合には、適格請求書に記載すべき金額は次のように計算する。
 200,000円×50%=100,000円
 100,000円×10/110≒9,090円
 また、発行する領収書としては、例えば次のような雛形が想定される。

 ところで、古物商(中古車買取業者など)が適格請求書発行事業者でない他の者から買い受けた販売用の古物(中古自動車)については、帳簿の保存だけで仕入税額控除を認めることとしている(消法30⑦、消令49①Ⅰハ(1))。
 そうすると、適格請求書発行事業者が中古自動車を下取りに供した場合にはこの取扱いはないことから、結果として中古車買取業者は、下取先が適格請求書発行事業者かどうかを買い取りの都度確認しなければいけないことになるのだろうか? また、上記の<計算例>における家事使用分については、仕入税額控除はできないことになるのであろうか?
 中古資産を売却するような場合には、要求されなければインボイスを発行しないこともあると思われるので、現実の実務においては、適格請求書発行事業者かどうかに関係なく、仕入税額控除を認めるような取扱いが必要ではないだろうか?
(2)家事共用資産の取得(インボイス通達4−1)
 個人事業者が家事共用資産を取得した場合には、使用率、使用面積割合等の合理的な基準により消費税額又は課税仕入高を区分したうえで、事業用部分だけが仕入控除税額の計算に取り込まれることとなる。
<計算例>
 車両を220万円(うち消費税20万円)で取得した場合の課税仕入れ等の税額は次のように計算する(事業共用割合50%)。

(3)共有物の譲渡(インボイス通達3−5・インボイスQ&A問42)
 適格請求書発行事業者でない共同所有者と共に共有物の譲渡又は貸付けを行う場合には、対価の額を持分割合などで合理的に区分したうえで、自己の適格請求書を発行する必要がある。よって、一の請求書や領収証により共同所有者がまとめて決済するよりも、所有者ごとの書類を準備して決裁したほうがわかりやすいように思われる。
 あるいは、共同所有者にも適格請求書発行事業者の登録申請をさせたうえで、簡易課税制度の適用を検討してみるのもいいかもしれない。

2 適格請求書発行事業者である期間の前後における取扱い

 適格請求書発行事業者である期間の前後における取引に対する適格請求書・適格返還請求書の交付の有無は次のようになる。

3 立替金と口座振替(振込)家賃の取扱い

(1)立替金(インボイス通達4−2・インボイスQ&A問75)
 他の者が立替払をした経費などの精算については、他の者が受領した適格請求書のコピーとともに、立替金精算書等の書類の保存を要件に仕入税額控除を認めることとしている。この場合において、他の者(立替者)が適格請求書発行事業者であるかどうかは問わない。

 なお、適格請求書のコピーが大量になるなど、事務的な諸事情がある場合には、立替金精算書等の書類の保存だけでよいこととされている。
(2)口座振替(振込)家賃の取扱い(インボイスQ&A問76)
 口座振替や振込により決済される家賃については、登録番号などの必要事項が記載された契約書とともに、日付と金額が印字された通帳を保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすこととなる。
 なお、不動産の賃貸借のように請求書等が発行されない取引については、中途で貸主が適格請求書発行事業者でなくなることも想定されるので、国税庁のホームページで貸主の状況を確認したうえで仕入控除税額の計算をする必要がある。 

4 任意組合等の適格請求書等の交付(消法57の6、消令70の14・インボイスQ&A問41)

 民法上の組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合等については、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を税務署長に届け出た場合に限り、適格請求書、適格簡易請求書又は適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を交付又は提供することができる。
 また、届出書の記載事項に変更があった場合には、組合契約書などの書類の写しを添付した「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」を速やかに税務署長(インボイス登録センター)に届け出ることが義務付けられている。

 任意組合等が解散し、かつ、その清算が結了した場合には、清算人は「任意組合等の清算が結了した旨の届出書」を業務執行組合員の納税地の所轄税務署長に届け出ることが義務付けられている。

5 登録の拒否・取消し・失効

 法令違反による罰金処分などがない限り、原則として登録が拒否されることはない。ただし、法人の代表者が法人とともに罰金以上の刑に処せられたときは、その代表者は暫くの間は個人事業者としての登録も受けることができない(インボイスQ&A13)。
 また、行方不明・事実上の廃業・合併による消滅のほか、罰金処分などを理由に、税務署長の職権で登録が取り消されることがある(インボイスQ&A17)。
※届出書の提出による登録の効力の失効
 適格請求書発行事業者から「事業廃止届出書」や「合併による法人の消滅届出書」の提出があったときは、登録の効力は失効する(消法57の2⑩二、三)。

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