税務ニュース2022年05月13日 税理士は特定納税管理人の指定対象外(2022年5月16日号・№930) 特定納税管理人制度は顧問税理士のいない納税者を想定
令和3年度税制改正において創設された特定納税管理人制度が令和4年1月1日から施行されている。この制度は、納税管理人の選任をせずに国外へ出国した個人や日本支店等を閉鎖した外国法人に対して、所定の手続き及び期間を経て、最終的に課税当局側で納税管理人を指定することを可能とするものだ。
納税者に顧問税理士がいるケースでは、税理士が納税管理人を選任する必要があることを説明し、納税管理人の届出が所定の時期に適正に提出されるのが通常であり、納税管理手続きを円滑にするため、税理士が納税管理人を兼ねるケースも非常に多い。これに対し、申告業務のみを単発で引き受けていた場合や、納税者と顧問税理士との間で何らかのトラブルが発生したことにより両者の関係が途絶えてしまった場合には、納税管理人の届出をせずに国外へ出国等をする納税者もあろう。税理士の間では、こうした場合に、過去に顧問税理士であったという理由で自分が当該納税者の納税管理人に指定されてしまうのではないかとの懸念が生じている。
この点について本誌が課税当局に取材したところ、過去に顧問税理士であったことのみを理由に税理士が特定納税管理人に指定されることはないことが確認された。課税当局によれば、そもそも特定納税管理人制度は、主に顧問税理士がいない納税者を想定して創設された制度であるということがその理由だ。一見すると、国税通則法117条5項1号ロに規定された「特定納税者に係る国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実について当該特定納税者との間の契約により密接な関係を有する者」という特定納税管理人の定義に税理士は該当してしまうようにも思われる。しかし、税理士は「国税の課税標準等又は税額等の計算」を行う者ではあっても、税理士という職務において、その基礎となる事実について納税者と密接な関係を有してることは稀だろう。したがって、特殊な事情がない限りは、過去に顧問税理士であったとしても、その事実のみをもって特定納税管理人に指定されることはない。納税管理人の指定に不服がある場合には所轄税務署長への再調査請求又は国税不服審判所への審査請求、ひいては訴訟を行う必要があるだけに、税理士としては一安心といったところだろう。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.