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税務ニュース2022年09月02日 正当な和解に第二次納税処分の恐れも(2022年9月5日号・№945) 経済的合理性等のみでは特段の事情認めない旨判示した地裁判決が確定

  • 国税徴収法39条の債務免除が論点となった東京地裁令和4年5月17日判決が一審で確定。
  • 単に経営上又は経済的に合理的であるというのみでは、債務免除であっても第二次納税義務を負わせるべきでない特段の事情があるということはできない旨の判示を課税庁が引用し、正当な和解にまで第二次納税処分を課す恐れも。

 本誌932号でお伝えした通り、借主から過払金返還債務の免除を受けた元貸金業者(原告)が、借主の滞納国税について第二次納税義務を有するか否かが争われた裁判で、東京地裁は令和4年5月17日、納付告知処分の取消しを求めた原告の請求を棄却したが、同判決は控訴されず、一審で確定したことが本誌取材により確認された。
 この判決の確定に伴い実務家の間で懸念されているのは、東京地裁が「債務免除であっても第二次納税義務を負わせるべきでない特段の事情」について判示した以下の部分だ。

当該債務の免除が当該滞納者又はその相手方である当該第三者にとって単に経営上又は経済的に合理的であるというのみでは、上記説示したところに照らし、上記特段の事情があるということはできないものというべきである。

 この判示について実務家からは、「正当な取引行為の一部としてなされた債務免除であっても、課税の公平を理由に後から取引先が滞納処分を受けるというのは、取引先に国税を害する目的がないにもかかわらず行き過ぎでは」といった批判も聞かれる。
 確かに、本判決が出た際には、和解契約の一部だけ切り取って、債務免除があるから徴収法39条により滞納者である借主の第二次納税義務を貸金業者に負わせるという裁判所の判断は酷として、原告の貸金業者に同情する声もあった。そもそも和解契約とはお互いが譲り合うことで合意に至るものであり、一部の取決めだけを交渉経緯等の文脈から切り離す形で課税関係を判断するのは適切とは言い難いからだ。
 ただ、本件に関する記事でもお伝えした通り、和解は貸金業者側から持ち掛けられたものであり、過払い債権に対する滞納処分(差押え)を免れるために行った、という事実がある。このような事実関係が正しいとすれば、上記のような互譲がないと評価できるため、判決の結論も正当化できると考えられる。今後、課税庁がこの判決に基づき、正当な和解にまで第二次納税処分を課す恐れは否定できないだろう。

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