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コラム2020年01月06日 年頭所感 年頭所感 国税庁長官 星野次彦(2020年1月6日号・№817)

年頭所感2020
新年の御挨拶を申し上げます
 星野次彦 国税庁長官

 令和2年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 昨年は大規模な災害が続けて発生し、各地に甚大な被害をもたらしました。災害により被害を受けられた皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。国税庁においては、被災状況等に十分配意し、納税者の皆様の立場に立った丁寧な対応を行ってまいります。
 国税庁は、本年も引き続き、その使命である「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現」するため、納税者サービスの充実に向けた施策の実施に努め、より便利に、よりスムーズに申告・納税ができる環境を整備するとともに、多くの納税者に公平と感じていただけるよう、悪質な納税者には厳正な姿勢で臨むなど、適正・公平な課税の実現に努めてまいります。
 近年、経済社会のICT化やグローバル化が進展するなど、税務行政を取り巻く環境は急速に変化しています。こうした中、引き続き、納税者の皆様の理解と信頼を得て、国税庁の使命を果たしていくためには、その時々における課税・徴収上の課題に的確に対応していくことはもとより、国税庁自身がこれらの急速な変化に十分対応できるよう進化していかなければならないと考えております。
 このため、国税庁においては、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本柱とする税務行政のスマート化を目指すこととしており、平成29年6月に概ね10年後をイメージした「税務行政の将来像」を公表し、業務改革やインフラ整備に取り組んでおります。本年も、ICTを活用した申告・納付のデジタル化・ペーパレス化や、データ活用基盤の充実、自宅等からの申告の環境整備等の取組を推進してまいります。
 年も改まり、令和元年分の所得税及び復興特別所得税、消費税並びに贈与税の確定申告の時期を迎えます。
 国税庁では、本年もe-TaxなどICTを利用した自宅等からの申告の環境整備に取り組んでまいります。
 令和元年分の確定申告においては、引き続き、マイナンバーカードを利用することにより、e-TaxのIDとパスワードを入力することなくe-Taxで申告できる「マイナンバーカード方式」と、税務署の職員と対面による本人確認後に発行されたID・パスワードを使用すればマイナンバーカードやICカードリーダライタがなくても、e-Taxで申告できる「ID・パスワード方式」が利用可能です。
 また、一部の給与所得者の方向けに提供していた「スマホ専用画面」の利用対象者を、全ての給与所得がある方、年金収入や副業等の雑所得がある方などに拡大するとともに、マイナンバーカード読取機能を搭載したスマートフォン等でマイナンバーカードを用いたe-Taxの利用が可能となります。
 国税の納付についても、金融機関や税務署に出向くことなく、スマートフォンやご自宅のパソコンで必要な情報を入力して作成されるQRコードを用いて、お近くのコンビニで納付していただくことが可能です。
 ICTを利用した申告は年々増加しており、平成30年分所得税及び復興特別所得税の申告では1,531万件(申告全体の68.9%)となりました。これらの申告・納付の手段については、国税庁ホームページにその手続等の情報を掲載しています。御参照いただき、是非利用していただければと思います。
 次に、本年における重点的な取組について申し上げます。
 まず、納税者利便の向上と行政効率化についてです。
 利便性の高い納税環境を整備するとともに、データの円滑な利用を進め、社会全体のコスト削減等を図る観点から、大法人など一定の法人について、本年4月以後e-Taxによる申告が義務化されます。国税庁では、申告データを円滑に提出していただけるよう、提出情報等のスリム化、申告データ形式の柔軟化、提出先のワンスオンリー化等の施策を順次実施しております。これまでe-Taxを利用されていない法人や、e-Taxによる申告の際に添付書類を書面提出されている法人におかれましても、添付書類を含めたe-Taxによる申告をお願いいたします。
 また、本年10月から、ICTの活用による年末調整手続の簡便化に向けて、「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」を国税庁ホームページ上で無料で提供いたします。このソフトウェアとマイナポータルを活用いただくことにより、各種控除証明書等データを一括取得し、年末調整手続における控除申告書を簡便・正確に作成することが可能となります。
 そのほか、国税庁ホームページに、土日、夜間等の日時にとらわれない新しい税務相談のチャネルとして、AIを活用して自動回答する「チャットボット」を導入することとしています。まずは、確定申告期間を含む本年1月15日から3月末まで試験導入を行い、その結果を踏まえて本格的な導入につなげていくこととしています。AIを活用した技術であり、回答精度を向上させるために事例の蓄積が大事となりますので、是非ご利用いただければと思います。
 次に、軽減税率制度について申し上げます。
 令和元年10月に、消費税率の引上げと同時に軽減税率制度が実施されました。軽減税率制度につきましては、引き続き、区分経理に関する記帳指導や説明会の開催、相談対応等にしっかりと取り組んでまいります。
 また、令和元年分の確定申告は、軽減税率制度が実施されてから初めての確定申告となります。納税者の皆様に適正かつ円滑に申告していただけるよう、税理士の皆様の御協力の下で無料相談を実施するなど、関係民間団体等とも連携し、十分な相談体制の整備を図ってまいります。
 次に、適正・公平な課税・徴収の実現に向けた取組について申し上げます。
 近年、経済社会の国際化・複雑化が進展する中、富裕層や企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に対抗するため、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトをはじめとする国際的な取組が進展しております。また、ICT化の進展の中で、ネット等を通じて自由に行われる個人の取引や、いわゆるシェアリングエコノミー等の新たな分野の経済活動が広がりを見せています。
 このような中、国税庁としては、非居住者の金融口座情報や多国籍企業グループを対象とした国別報告事項の自動的情報交換、本年1月から運用が始まった新たな情報照会手続等を活用して、国際的な取引や新たな分野の経済活動の情報収集に努めるとともに、収集した情報等を分析し、課税上問題があると見込まれる納税者については、調査や行政指導を適切に実施してまいります。
 併せて、財産を海外に移転させる租税の徴収回避等に対しては、租税条約等に基づく情報交換や徴収共助の制度を積極的に活用し、国際徴収に取り組んでまいります。
 我が国全体の申告水準の維持・向上の観点から重要と考えられる大企業については、税務に関するコーポレートガバナンスの充実を促す取組を進めており、その状況等が良好である等一定の場合には、次回の調査時期を延長等することとしています。企業との意見交換等を通じて取組の見直しを行うなど、引き続きその定着を図りつつ、企業の自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて取り組んでまいります。
 滞納については、その未然防止に努めることが重要であり、消費税率の引上げも踏まえ、期限内納付の周知・広報や納期限前後の納付指導等に一層取り組んでまいります。滞納整理に当たっては、滞納者個々の実情に則しつつ、法令等に基づき、整理促進に努めてまいります。
 最後に、酒類行政に関する取組について申し上げます。
 酒類行政については、酒税の適正な賦課・徴収のほか、酒類業の振興に向けた取組を進めています。特に、近年は、累次の閣議決定等を踏まえ、日本産酒類の輸出促進に積極的に取り組んでいるところです。
 昨年は、日本酒の輸出拡大とブランディングを推進するため、「日本酒のグローバルなブランド戦略に関する検討会」を開催し、12月に中間とりまとめを行いました。
 検討会での議論も踏まえつつ、国税庁の取組を抜本的に拡充するため、令和2年度予算においては、大幅な増額を確保し、販路開拓支援を強化するほか、新たに海外向けのブランド化や酒蔵ツーリズムを支援することとしています。また、令和2年度税制改正の大綱においては、輸出用清酒の製造免許を新設することとされています。
 こうした酒類業の振興に取り組むとともに、酒類の安全性の確保や公正取引の確保、20歳未満の者の飲酒防止などの社会的要請にも的確に対応してまいります。
 以上、年頭に当たり、国税庁の取組について申し述べました。引き続き、皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 結びに、皆様と御家族の御多幸を祈念いたしまして、年頭の御挨拶とさせていただきます。

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