会計ニュース2022年10月14日 EU、SECが独自に非財務開示ルール作成(2022年10月17日号・№950) EU進出企業は未上場でも適用対象の恐れ、ISSB基準との関係は
6月13日に確定した金融庁のディスクロージャーワーキング・グループ報告(以下、DWG報告)を受け、間もなく改正開示府令案が公表されるが、今回の改正開示府令は非財務開示の大枠を定めるものであり、非財務開示のルール化が本格化するのはこれからとなる。IFRS財団が設立したISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は気候変動に関する非財務開示基準を来年早々にも公表する方向である一方、次のアジェンダのコンサルテーションを年内にも実施する予定だ。今後は生物多様性、水資源、人権など様々なテーマの非財務開示基準の策定が見込まれる。こうした動きとともに、日本の有価証券報告書でも新たな非財務開示のルール作りを進めていくことになるが、それはSSBJ(日本サステナビリティ基準委員会)が担うことになる。DWG報告では、ASBJ同様にSSBJを非財務開示ルールを設定する法令上の枠組みとして位置付けることを論点にするとしている(DWG報告15頁最終段落及び注釈36参照)。SSBJはISSBの策定した非財務開示基準をベースにルール作りを進めるものとみられるが、ここに来て複雑な状況が生じている。
EUや米国SEC(米国証券取引委員会)は独自の非財務開示ルールの策定にとりかかっており、EUに進出している、あるいは米国で上場している日本企業は、これらのルールの適用対象となる可能性がある。特にEUのルール(企業サステナビリティ報告指令(CSRD=Corporate Sustainability Reporting Directive))は、たとえEUで上場していなくても一定の要件を満たせば適用されることになる。また、ISSBの非財務開示基準は投資家目線の「シングル・マテリアリティ」を志向しているが、EUのCSRDは「(市民社会等を含む)マルチステークホルダー」目線のダブル・マテリアリティを志向しているという決定的な違いがある。
仮に、SSBJがISSBの策定したベースラインに沿って有価証券報告書の非財務開示ルールを作り、さらにEUに進出している企業にはCSRDに基づく開示が、米国で上場している企業にはSECのルールに基づく開示が求められる(しかも開示要求事項が異なる)となれば、企業にとっての負担は極めて大きい。ISSB、EU、SECの3者間での調整が期待されるところだ。
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