税務ニュース2022年12月23日 学校設立に係る寄附金が全額損金算入に(2022年12月26日号・№960) 「設立前」の寄附のみ対象、財務大臣の指定受ければ個別審査不要

  • 令和5年度税制改正で、法人による学校法人等の設立に係る寄附金の全額損金算入制度が5年間の時限措置として創設。財務大臣の指定を受ければ個別審査不要に。
  • 「設立前」の寄附のみが対象。
  • 5年以内に認可を得られなければ、残額は国又は地方公共団体に寄附。

 改正開示府令案(11月7日公表)では「人的資本、多様性に関する開示」が求められているが、このうち「人的資本」に関する取り組みに資すると考えられるのが、令和5年度税制改正で導入される法人による学校法人等の設立に係る寄附金の全額損金算入制度だ。
 同制度は、法人が大学、高等専門学校又は一定の専門学校等の設立を目的とする「学校法人設立準備法人」に対して支出する寄附金のうち一定の要件を満たすものの全額損金算入を認めるもの。モデルとしては、名刺管理サービス等を手掛けるSansan(株)の代表などが中心となって創設を進める「テクノロジー×デザイン」をモットーとする「神山まるごと高専」がある。企業による専門学校等の創設は宮沢自民党税調会長の持論でもあった(本誌919号参照)。
 今回の寄附金は「指定寄付金」の一類型だが、通常の指定寄付金は申請・審査を経て“個別に”財務大臣の指定を受けることにより全額損金算入が認められるのに対し、今回の寄附金は、上記設立準備法人について財務大臣の指定を受ければ、当該法人への寄附(金銭的寄附、物的寄附、人的寄附など)は“包括的に”全額損金算入が認められる(個別審査は不要)。
 具体的な適用要件としては、(1)私立大学、私立高等専門学校、または私立専門学校(大学卒業相当)を設置する学校法人の設立(その設立に関する認可があることが確実であると認められる場合)のための費用に充てられる寄附金であること、(2)学校法人の設立前において、法人が支出する寄附金であること、(3)募集要綱に、設置しようとする私立大学等が法人設立後5年を超えない範囲で募集要項に定める日までに認可されない場合には、残額を国又は地方公共団体に寄附する旨の定めがあること、がある。(1)の「設立前」の寄附のみが対象という点には、早期かつスムーズな寄附金集めを可能にするメリットもある。(3)は、学校法人の設立を装い寄附金控除の適用を受けることを防止する措置と言える。
 なお、本措置は令和9年度までの5年間の時限措置となる(学校法人設立準備法人から財務大臣に対して届出があった日から令和10年3月31日までの間に支出されるものが指定寄附金とされる)。

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