会計ニュース2023年01月27日 預かった電子決済手段はB/Sに計上せず(2023年1月30日号・№964) ASBJ、電子決済手段の合計額や見合いの義務に関する注記は不要
企業会計基準委員会(ASBJ)が開発している資金決済法上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱いでは、第1号電子決済手段及び第2号電子決済手段、第3号電子決済手段の会計処理については、原則として、券面額に基づく価額を貸借対照表額とし、仮に取得価額と券面額が異なる場合には、その差額は当期の損益として計上する方向で検討が進められている。
ここで論点の1つとなるのは、仲介者等が預かった電子決済手段の取扱いだ。まず、仲介者等が顧客から預かった電子決済手段を信託会社等へ信託する場合については、顧客が元本の受益者となるため、当該信託は他益信託になる。この点、①信託法により信託財産の所有権が受託者へ移転する一方で、他益信託のため、受益権は仲介者等ではなく顧客に帰属することから、仲介者等において貸借対照表に計上すべき権利は存在しない、②信託先において顧客の電子決済手段の分別管理が行われている限り、顧客の権利(電子決済手段の返還請求権)が適切に保護され、仲介者等は電子決済手段を顧客に返還することができるため、仲介者等が顧客から預かった電子決済手段を信託会社等へ信託する場合、仲介者等は顧客から預かった電子決済手段を貸借対照表に計上しないとの見解を示している。
仲介者等が顧客から預かった電子決済手段を自己信託により管理する場合についても同様だ。当該信託は他益信託となり、顧客が元本の受益者となる点で、信託会社等へ信託する場合と変わらないことから、仲介者等は顧客から預かった電子決済手段を貸借対照表に資産計上しないこととしている。
また、仲介者等が顧客から預かった電子決済手段を自己信託せず自己又は第三者が管理する場合については、受益権原簿の記載により、顧客の権利が適切に保護され、仲介者等は電子決済手段を顧客に返還することができるため、仲介者等において預かった電子決済手段に関する偶発的な義務は基本的には生じないと考えられることから、この場合も仲介者等は顧客から預かった電子決済手段を貸借対照表に計上しないことになるとしている。
なお、信託法等により顧客の権利が適切に保護されることなどから、仲介者等が顧客から預かった電子決済手段の合計額や見合いの義務に関する注記は行わないこととしている。
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