税務ニュース2023年02月03日 企業が学校設立に人的資本の点から注目(2023年2月6日号・№965) 文科省の指導要領の制約なし、カリキュラムは自由に設計可
1月31日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」などを求める改正開示府令が公布・施行されたが(令和5年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用)、サステナビリティに関する企業の取組みの開示の一つとして企業に求められることとなるのが「人的資本に関する開示」だ。企業価値に大きく影響する人的資本に対する投資家の関心は高く、今後も開示事項の増加が予想される。
こうした中、「人的資本投資に積極的」といった投資家の評価につながり得るとして、令和5年度税制改正で導入された、学校を設立するために企業が拠出する寄附金を指定寄附金とする制度が企業の関心を集めている。
同制度については大綱の記述を見ただけでは不明な点が多い。例えば大綱には「大学や高等専門学校、専門学校を設置する学校法人の設立費用として企業が支出する寄附金」については「個別の審査を受けなくても」全額損金算入が可能とある。通常、学校法人への寄附は、寄附ごとに財務大臣の認定を受けなければ指定寄附金とはならないが、国立大学法人等は例外とされている。同制度は、国立大学法人等と同様、学校法人の設立に係る寄附であれば、個々の寄附金ごとに財務大臣の認定を受ける必要はなく、“包括的に”指定寄附金に該当する仕組みとなるようだ。
また、大綱には設立する学校の種類について「大学、高等専門学校又は一定の専門学校を設置する学校法人又は準学校法人」とあるが、今回の改正によって学校法人関連の法令上、「新たな学校」のカテゴリーが創られるわけではないことも本誌取材で確認されている。すなわち、現行の学校法人関連法令の枠組み内の学校を設立するための寄附を指定寄附金とする仕組みを整備したのが今回の税制改正という整理になる。ただし、今回の改正に係る学校は文部科学省が定める教育課程の基準である「学習指導要領」の縛りは一切受けない模様。つまり、企業は自由にカリキュラムを設計できる。人的資本への取り組みの“ネタ”として予想以上に利用が広がる可能性もありそうだ。
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