税務ニュース2020年01月10日 みずほ銀行、TH課税受け提訴(2020年1月13日号・№818) SPC清算過程の請求権勘案保有株式等割合が争点に
メガバンクの1つであるみずほ銀行が、平成29年度改正前のタックス・ヘイブン対策税制の適用による更正処分等の取消しを求めて係争中であることが判明した(東京地裁民事51部)。
みずほ銀行は、バーゼルⅡ規制下でのTier1資本調達のために、子会社SPCの優先出資証券を発行する資金調達スキームを実行した。具体的には、英領ケイマン諸島に2つのSPC(租税特別措置法66条の6第1項に規定する特定子会社等に該当)を設立した。2つのSPCは、自己資本調達のための優先出資証券の発行を目的として設立された特別目的会社であり、これらのSPCに利益が留保されない建付けとなっていたこと、SPCスキームの清算過程での事案であったことから、請求権勘案保有株式等割合は0%であるとして、タックス・ヘイブン対策税制による課税対象金額を0円として確定申告した。
これに対し課税当局は、請求権勘案保有株式等割合を算出する時点は、当然に特定子会社等の各事業年度終了の時であるものと解されるのは明らかであるとした上で、みずほ銀行は、本件各SPCの事業年度終了の時における発行済株式等の全てを有していることから、請求権勘案保有株式等割合は100%であり、2つのSPCの適用対象金額に100%を乗じた課税対象金額(8,482,790,107円)を益金と認定(所得計上漏れ)する更正処分を行った。
タックス・ヘイブン対策税制の適用については、国際的な租税回避行為に対処するために創設された税制という制度の創設以来の趣旨から、租税回避行為とは認められない事案に対して本税制を適用することに反対する判例がみられる(最高裁平成29年10月24日判決など)とともに、平成29年度税制改正では、実質的な要件を重視した法令自体の見直しも行われている。一方では、文理解釈を採用し、規定の限定解釈又は適用排除を認めなかった判例もみられる(東京高裁平成27年2月25日判決、最高裁平成28年9月30日棄却・不受理)。本件は平成29年度税制改正前の事案ではあるものの、租税回避対策規定の解釈のあり方(文理解釈重視・目的解釈重視)が問われるという意味で注目される事案といえよう。
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