税務ニュース2023年03月10日 マルチステークホルダー方針、公表間近(2023年3月13日号・№970) 3%以上の賃上げ達成に目途、「45日間」を活用して数字の最終確認へ
令和4年度税制改正で抜本的に拡充された大企業向けの賃上げ促進税制は、継続雇用者の給与が前年度比3%以上増加した場合に、雇用者全体の賃上げ額の15%を税額控除する制度となっている。前年度比4%以上増加した場合には25%の税額控除、さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が5%上乗せとなり、最大30%の税額控除が可能となる。ただし、資本金10億円以上かつ常時使用する従業員数1,000人以上の企業については、従業員や取引先などへの配慮を示した「マルチステークホルダー方針」を公表する必要がある。
本方針の公表期限は事業年度終了の日の翌日から45日を経過する日までとされている。3月末を目前に控え、各社とも、令和4年度において自社が3%以上の賃上げを達成できるかどうかについては概ね見通しが立ってきたようだが、残された課題として、実際に賃上げ税制の適用を受けるために本方針を公表するかどうか、経営サイドの判断が迫られている状況にある。既に建設業や保険業などで個別に方針を公表している企業はインターネット上で確認できるが、ポータルサイトで宣言企業が一覧化されているパートナーシップ構築宣言と異なり、本方針についてはそのような取りまとめの主体が存在しないため、各社の税務担当者は、同業他社の動向の把握のため、水面下で意見交換を行っている。
本誌取材によると、一部の企業からは、「生産性向上」「賃金の引上げ」「人材投資」といった必須キーワードを盛り込まなければならない同方針と自社の経営哲学の調整等に戸惑う声も聞かれる一方、「税メリットを享受できる以上、指針を公表しないという選択肢はない」「もとよりステークホルダー重視の経営を行っており、社内決済上、特段のハードルはない」「むしろ本税制が全社的な連携に役立った」との評価も聞かれ、公表に向けて前向きに検討中、あるいは最終調整中という企業が少なくない。検討中の各社の多くが、数字に間違いがないかどうかを確認する観点から、事業年度終了後の45日間をフルに活用したいとの意向を持っている。年度末から5月上旬にかけて公表が相次ぐであろう各社のマルチステークホルダー方針の内容が注目される。
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