解説記事2023年04月03日 ニュース特集 上位富裕層担当特官、調査企画の範囲拡大(2023年4月3日号・№973)
ニュース特集
東京局、個人特官による企画依頼を開始
上位富裕層担当特官、調査企画の範囲拡大
所得税等担当特官(個人特官)による継続2管理事案の調査選定段階において、上位富裕層担当特官へ調査企画を依頼する試行が東京国税局で実施されている。令和4事務年度から上位富裕層担当特官の調査企画対象が拡大している状況だ。この試行では、企画依頼を受けた上位富裕層担当特官が、関係個人・関係法人を含む課税上の問題点を分析・検討し、連携調査の実施も視野に調査企画を行うもよう。なお、調査難易度の高いスキーム事案については、局統括国税実査官(国際担当)富裕層担当に引き継がれる。
本特集では、個人特官から上位富裕層担当特官への調査企画依頼の試行などについて、Q&A形式で確認する。
Q
東京国税局における富裕層の管理体制は?
A
東京局では継続2管理事案を重点管理富裕層(SF)、上位富裕層(UF)、その他の富裕層に区分し、重点管理富裕層については局統括国税実査官(国際担当)富裕層担当、上位富裕層は上位富裕層担当特官、その他の富裕層は所得税等担当特官(個人特官)が管理しています(図参照)。
上位富裕層担当特官は、管理対象者の関係個人・関係法人を含めた網羅的・一体的な資料情報の集積・分析に重点を置いた管理を行うとともに、調査必要度の高い事案を抽出し、調査企画を行っています。
なお、租税回避スキーム等が見込まれる納税者については、重点管理富裕層に限らず、局統括国税実査官(国際担当)富裕層担当が調査企画を行うケースもあるようです。

Q
上位富裕層担当特官が調査企画した事案の調査事績は?
A
上位富裕層担当特官は、管理対象者グループ(管理対象者、関係個人および関係法人)について、複数税目の観点から分析・検討を行い、課税上の非違がある者(法人)を調査企画事案として調査実施部署に提供しています。また、税目横断的な調査企画事案の組成を目的として、法人課税、資産課税を担当する職員を配置した「総合特官的運用」を行っています。
令和3事務年度における上位富裕層担当特官の調査企画事案に係る処理状況(署個人課税部門、令和4年5月末)をみると、増差所得、追徴税額の中央値が継続2管理事案全体を大きく上回っていることがわかります(表参照)。
東京局は、上位富裕層担当特官が企画した事案に係る調査事績が高額な増差に結びついていることから、調査すべき事案が的確に企画されていると評価しています。

Q
上位富裕層担当特官への調査企画の依頼期間は?
A
所得税等担当特官(個人特官)から上位富裕層担当特官へ調査企画を依頼する試行は、令和4事務年度(令和4年7月~令和5年6月)から開始されています。
上位富裕層担当特官への調査企画の依頼期間は、次のように設定されています。
(1)令和4年7月11日~9月30日
(2)令和5年4月3日~6月30日
Q
調査企画依頼から引受けまでの流れは?
A
個人特官は継続2管理事案の調査選定段階において、調査対象者の保有資産の状況等から課税上の問題点が想定される事案を把握した場合、必要に応じて、広域中心署の上位富裕層担当特官に調査企画を依頼します。
上位富裕層担当特官に調査企画を依頼する際、個人特官は「企画依頼連絡せん」(次頁参照)を作成します。
調査企画の依頼を受けた上位富裕層担当特官は、依頼を受けた事案(関係個人および関係法人を含む)の課税上の問題点を分析・検討した上で、企画優先度(依頼の引受可否)を判断し、依頼元の個人特官へ調査企画引受けの可否を連絡することになります。
Q
調査実施部署と上位富裕層担当特官の関係は?
A
調査企画を引き受けた事案については、上位富裕層担当特官が局と調整しながら調査実施担当部署(資料調査課、総合調査部門、調査企画依頼部署)を決定します。
実地調査を調査企画依頼部署が実施する場合は、上位富裕層担当特官が当該部署の担当者に事案内容の説明・引継ぎを行います。その事案について連携調査を実施する場合は、連携先への事案説明を上位富裕層担当特官が行うこともあるようです。
資料調査課、総合調査部門が実地調査を行う事案については、各担当者に対して上位富裕層担当特官が事案内容の説明・引継ぎを行います。
また、上位富裕層担当特官は、他の富裕層に関する有効な情報収集が見込まれる調査企画事案に対しては、収集する項目や入手方法を調査実施担当部署と協議し、情報収集および提供を依頼します。
なお、調査企画や調査の難易度が高いスキーム事案等については、局統括国税実査官(国際担当)富裕層担当へ引き継がれます。
Q
調査終了後の上位富裕層担当特官の対応は?
A
調査企画事案の実地調査が終了した場合、調査実施担当部署は「企画・情報提供事案調査終了連絡せん」(調査企画内容(想定非違)の状況、調査日数、各税目の処理事績等を記載)を作成して上位富裕層担当特官に提出します。事前に情報の収集および提供を依頼されている場合は、併せて、収集した情報等も提供します。
上位富裕層担当特官は、調査実施担当部署が解明した課税上の問題点について、じ後の管理・調査に活用できるように、その解明事項を整理・記録するとともに、有効な情報を把握した場合は局個人課税課に連絡するとしています。

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