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解説記事2023年04月24日 SCOPE すべてのリースを資産計上する改正リース会計基準案が決定へ(2023年4月24日号・№976)

個別財務諸表に適用で中小企業に影響も
すべてのリースを資産計上する改正リース会計基準案が決定へ


 企業会計基準委員会(ASBJ)は4月26日にもリースに関する会計基準案等の公開草案を決定する予定だ。公開草案では、借手のリースの費用配分の方法について、IFRS第16号「リース」と同様、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかに関係なく、すべてのリースについて資産及び負債を計上することとしている。連結財務諸表だけでなく、個別財務諸表にも適用されることになっている。適用時期は明記されておらず、強制適用は会計基準公表から2年程度経過した日からとの考え方を示すにとどまっているが、審議が早く終了すれば、2026年4月1日以後開始する連結会計年度等から適用される可能性もある。また、早期適用はリース会計基準公表後の連結会計年度等の期首から可能としている。なお、コメント募集期間は7月末頃までの3か月程度としている。

IFRS第16号「リース」をベースとした単一の会計処理モデル

 公開草案では、借手のリースの費用配分の方法について、IFRS第16号と同様に、すべてのリースを金融の提供として捉えて、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによることとしている。リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかに関係なく、すべてのリースについて資産及び負債を計上することになる。個別財務諸表への適用については、税務上の取扱いなどに対しての懸念を指摘する意見があったものの、連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理は同一であるべきとする基本的な考え方を覆す事情は存在しないと判断された。個別財務諸表への適用により、最終的に税務上の取扱いに影響を及ぼし、結果的に中小企業にも影響する可能性もある。
 借手の会計処理については、借手は、使用権資産について、リース開始日に算定されたリース負債の計上額にリース開始日までに支払った借手のリース料及び付随費用を加算して算定し、リース負債の計上額を算定するにあたっては、原則として、借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法により算定する。借手のリース料とは、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に対して行う貸手に対する支払であり、①固定リース料、②指数又はレートに応じて決まる変動リース料、③残価保証に係る借手による支払見込額、④借手が行使することが合理的に確実である購入オプション行使価額、⑤リースの解約に対する違約金の支払額で構成される。
 使用権資産の計上額については、企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」における貸手の購入価額又は見積現金購入価額と比較を行う方法を踏襲せず、IFRS第16号と整合的に、借手のリース料の現在価値を基礎として使用権資産の計上額を算定することとされている。また、使用権資産の償却については、基本的に企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」等におけるリース資産の償却と同様の会計処理としている。
個別財表の注記を一部省略可
 リースに関する注記としては、借手は「会計方針に関する情報」「リース特有の取引に関する情報」「当期及び翌期以降のリース金額を理解するための情報」、貸手に関しては「リース特有の取引に関する情報」「当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報」が挙げられている。重要性に乏しい場合は省略することができる。なお、借手の注記については、IFRS第16号と異なり、少額リースの費用に関する注記及び短期リースのポートフォリオに関する注記については取り入れられていない。
 連結財務諸表を作成している場合には、個別財務諸表において、「リース特有の取引に関する情報」並びに「当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報」について注記しないことができるとしている。また、個別財務諸表においては、「会計方針に関する情報」を記載するにあたり、連結財務諸表における記載を参照できることが提案されている。

少額リース資産の簡便的措置、300万円以下又は5千米ドル以下
 改正リース会計基準案等では、現行基準と同様、リース期間が1年以内の短期リースや少額リースに関する簡便的な取扱いが明記されている。
 少額リース資産については、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引に加え、IFRSを任意適用している企業に配慮し、新品時に5千米ドル以下の原資産についてリース1件ごとに簡便的な取扱いの選択適用が認められる。

賃貸借取引に係る方法に準じた経過措置の適用を容認

 適用時期については、公開草案に対してコメントが多く寄せられることを想定し、会計基準公表から2年程度経過した「20XX年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用する」との考え方を示すことにとどまっている(早期適用は、会計基準公表後の連結会計年度及び事業年度の期首から可能)。
 なお、2008年4月1日以後開始する事業年度等から適用されている現行のリース会計基準等では、それまで認められていた所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理(賃貸借処理)が廃止されたが、多くの企業が通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理から通常の売買取引に係る方法に変更することが想定され、影響が大きいと考えられたため、注記を要件に引き続き同会計処理を認める経過措置が設けられている(リース適用指針第77項~第83項)。今回のリース会計基準案等でも引き続き経過措置を適用することを容認している。

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