カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2023年10月09日 未公開裁決事例紹介 台帳価格のない土地に係る登録免許税(2023年10月9日号・№998)

未公開裁決事例紹介
台帳価格のない土地に係る登録免許税
類似の土地か否かは不動産の形状等と路線価を比較


〇台帳価格のない土地に係る登録免許税の課税標準たる土地の価額が争われた裁決。国税不服審判所は、類似する土地であるか否かは価額の均衡が図られる場合の諸事情である、不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等を比較して判断すべきであると解するのが相当であると判断。その上で、原処分の時には、本件土地の台帳登録価格があり、登記の申請時における認定額と相当にかい離していたことが明らかとなっており、原処分庁がかい離の理由、ひいては本件土地と類似するとされていた土地がどのように評価されていたかを調査することが不可能であったとはいえないとし、原処分の全部を取り消した(東裁(諸)令4第103号、全部取消し)。

主  文

 原処分の全部を取り消す。

基礎事実等

(1)事案の概要
 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、売買により取得した土地の所有権移転登記の際に納付した登録免許税の額が過大であったとして、原処分庁に対し、所轄税務署長に対する還付通知をすべき旨の請求をしたところ、原処分庁が、過誤納の事実は認められないとして還付通知をすべき理由がない旨の通知処分をしたことから、請求人が原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令等(略)
(3)基礎事実

 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 各土地の合筆及び分筆の経緯等
 請求人は、令和3年8月27日、××××××から××××××所在の土地(地積151.32㎡。以下「本件土地」という。)及び同番×所在の土地(地積0.48㎡)を代金31,800,000円で買い受けた。
 本件土地は、次の(イ)ないし(ハ)記載の経緯で形成された土地である。
 (イ)従前の土地所有者3名は、令和3年1月1日当時、××××××所在の土地(地積193.19㎡。)、同番×所在の土地(地積271.24㎡。)及び同番×所在の土地(地積49.64㎡。)を各3分の1の割合で共有していた。
 (ロ)××××××は、令和3年5月12日、××××××及び××××××を合筆(以下「本件合筆」という。)した。××××××は、同日、同番×所在の土地(地積363.66㎡)、同番×所在の土地(地積12.61㎡)、本件土地及び同番×所在の土地(地積0.48㎡)に分筆された。
 (ハ)上記(ロ)の分筆後の××××××所在の土地は、令和3年8月23日、同番×所在の土地(地積118.67㎡)、同番×所在の土地(地積118.66㎡)及び同番×所在の土地(地積126.32㎡)に分筆された。
ロ 本件土地に係る登記について
 (イ)司法書士××××(以下「本件司法書士」という。)は、請求人代理人として、令和3年8月27日、××××××に対し、本件土地について、売買を原因とする請求人に対する所有権移転登記(以下「本件登記」という。)を申請した。
 (ロ)令和3年1月1日現在において、本件土地には、台帳登録価格がなかった。
 (ハ)本件司法書士は、本件登記の申請に当たり、××××が発行した令和3年度の××××××に係る固定資産土地公課証明書に記載された1㎡当たりの価額××××に、本件土地の地積151.32㎡を乗じて、課税標準たる本件土地の課税価格を××××××(1,000円未満切捨て)、登録免許税の額を××××(100円未満切捨て。以下「本件納付税額」という。)として申請し、請求人は、納付期限までに本件納付税額を納付した。
 (ニ)原処分庁は、上記(ハ)の申請のとおり、本件土地の価額を認定(以下、当該認定に係る本件土地の価額(端数処理前の××××××)を「本件登記官認定額」という。)し、本件土地について、本件登記の申請どおりの登記をした。
 (ホ)令和4年1月1日現在において、固定資産課税台帳に登録された本件土地の台帳登録価格は××××××であった(1㎡当たりの価額××××。以下、当該台帳登録価格を「令和4年度台帳登録価格」という。)。
(4)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、令和4年度台帳登録価格が、本件登記の申請時における本件土地の正当な価額であり、これを基礎に計算した登録免許税の額××××(100円未満切捨て)と、本件納付税額との差額である91,500円は過誤納金であるとして、令和4年5月4日付で、登録免許税法第31条第2項の規定に基づき、原処分庁に対し、所轄税務署長に対する還付通知をすべき旨の請求をした。
ロ 原処分庁は、上記イの還付通知をすべき旨の請求に対し、令和4年5月13日付で、還付通知をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
ハ 請求人は、令和4年6月20日、本件通知処分を不服として審査請求をした。

争点および主張

 台帳登録価格のない土地に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額はいくらか。(争点に対する主張はのとおり)

【表】争点についての主張

請求人 原処分庁
 以下のとおり、登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、請求人主張額の××××××(1㎡当たりの価額××××)である。
(1)××××××は、隣接する××××及び××××と令和3年度の固定資産土地公課証明書に記載された1㎡当たりの単価が同額であり、これは当該3筆が一体的に土地利用されていることから一体的に評価された単価であると推測されるところ、これら一体的に評価された土地は、二路線に面する角地であり、いずれの前面道路も間口は広い上、不整形の程度(蔭地割合)はやや不整形にとどまる。他方、本件土地は、旗竿地であり、通路部分(間口)は狭く、通路部分が占める土地面積は大きく、不整形の程度(蔭地割合)は極端な不整形といえる。そのため、これら一体的に評価された土地は、本件土地の類似不動産とはいえない。
(2)本件土地に適用される令和3年度の固定資産税路線価と令和4年度の固定資産税路線価は同一であり、本件登記の申請日における本件土地の状況は、令和4年度の固定資産評価がなされた時の状況と変わるところはない。
(3)本件登記の申請日における類似不動産を令和4年度台帳登録価格が付された本件土地と判断することは、便宜的に登記申請した価額と、後に決定される固定資産税評価額との間で不公平等が生じることにならず、法の趣旨に照らしても適正である。
(4)したがって、登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件土地の令和4年度台帳登録価格から類推し、1㎡当たりの価額××××に本件土地の地積を乗じて算定した××××××である。
 以下のとおり、登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件登記官認定額の××××××(1㎡当たりの価額××××)である。
(1)本件登記の申請日における本件土地と××××××との位置関係をみると、ともに道路から奥まった位置に所在していることに加え、本件土地は××××××に包含される土地(本件土地の旗竿の竿部分を除く。)であることから、××××××は、本件土地の類似不動産に該当する。
(2)仮に、本件登記の申請日の本件土地の旗竿の竿部分に当たる××××××を類似不動産と認定するとしても、請求人の主張するとおり××××××と1㎡当たりの単価は同額であるから、その単価に本件土地の地積を乗じて算出した価額を本件土地の課税標準たる価額として課税した原処分は適法である。また、××××××が他の土地と一体的に評価されているかどうかは公示されておらず、登記官が知り得るものではないから、これを考慮していないことをもって不合理とはいえない。
(3)××××××は本件土地の類似不動産に該当するから、固定資産土地公課証明書に記載された1㎡当たりの価額に本件土地の地積を乗じて算出した価額は本件土地の課税標準たる価額である。また、登録免許税の額は、その登記の時に確定するものであり、その後、固定資産税評価額に変更が生じたとしても、登記の時の登録免許税の額を左右するものではない。
(4)したがって、登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、××××××の台帳登録価格の1㎡当たりの価額××××に本件土地の地積を乗じて算定した××××××である。

審判所の判断

(1)法令解釈
イ 登録免許税法第10条第1項は、不動産の登記の場合における登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、当該登記の時における不動産の価額による旨規定し、当該登記の時における不動産の価額とは、当該登記の時における不動産の客観的交換価値、すなわち時価であると解されるところ、同項の不動産の価額について、同法附則第7条は、当該課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該不動産の台帳登録価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定している。これを受けた施行令附則第3項は、台帳登録価格のある不動産の場合は、台帳登録価格に相当する価額とし、他方、台帳登録価格のない不動産の場合は、類似不動産の台帳登録価格を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額とする旨規定している。
ロ これは、登録免許税が、登記等の時に特別の手続を要せずに納付すべき税額が確定するいわゆる自動確定の租税であることに鑑み、不動産の登記に係る登録免許税の課税標準の額も、登記の時における不動産の価額に基づいて算出することとしたものであるが、他方で、登記の時における不動産の客観的な価額を算出することは容易でなく、登記の都度、登記官において個々の不動産の価額を評価することは実際的でないばかりか、不動産の価額に関する評価が多岐に分かれるおそれがあることから、施行令附則第3項は、課税の公平・納税者の便宜等を考慮して、台帳登録価格のある不動産の場合には、当該不動産の台帳登録価格を基礎として政令で定める価額によって不動産の価額とすることができることとし、専らその台帳登録価格によって登録免許税の課税標準の額を算出することとしたものである。
ハ また、施行令附則第3項が、台帳登録価格のない不動産については、類似不動産の台帳登録価格を基礎として、当該不動産の価額を算出することとしたのは、台帳登録価格のない不動産についても、飽くまで台帳登録価格に依拠してその価額を求めることにより、台帳登録価格のある場合とない場合とで、課税の公平や価額の均衡を図ることにあると解するのが相当である。
ニ そして、上記ハの施行令附則第3項の趣旨に照らすと、同項所定の類似不動産とは、登記の申請の日において、台帳登録価格のない不動産と価額の均衡が図られる近傍類似の不動産を意味するものというべきであり、当該類似性の存否は、価額の均衡が図られる場合の諸事情である、不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等を比較して判断すべきであると解するのが相当である。
(2)認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 本件土地について
 (イ)土地の形状等
  A 本件土地は、現況地目が宅地、地積が151.32㎡の土地であり、その評価上、東側で接する道路との間口が約2mあり、奥行き約27mの細長く延びる敷地(通路部分)の先に袋地があるという形状の不整形な土地(いわゆる旗竿地)である。特に、通路部分が屈折した形状をしており、また、地積のうち通路部分が占める割合が大きい土地である。
  B 本件土地の蔭地割合は約63%である。
 (ロ)固定資産評価
  本件土地が東側で接する道路の固定資産税路線価は、令和3年度及び令和4年度ともに××××であり、令和3年度から令和4年度にかけて本件土地の固定資産評価に影響を与える状況の変化は見当たらない。
ロ ××××××について
 (イ)土地の形状等
  A 令和3年1月1日現在における××××××は、現況地目が宅地、地積が193.19㎡の土地であり、道路には接していない無道路地であり、奥行き約28mのく形の土地である。
  B ××××××の蔭地割合は約66%である。
 (ロ)固定資産評価
  A ××××××の東側の道路の令和3年度の固定資産税路線価は××××であった。
  B 令和3年1月1日現在において、固定資産課税台帳に登録された××××××の台帳登録価格は××××××(1㎡当たりの価額××××)であった。
  C ××××は、上記Bの台帳登録価格を算出する際、令和3年1月1日における××××××、××××××及び××××××については、所有者が同じ隣接した土地であること及びその利用状況等からみて、一体をなす一画地(地積514.08㎡。以下「一体利用土地」という。)として評価した。
  なお、台帳登録価格の1㎡当たりの価額は、××××××、××××××及び××××××ともに同一の××××とされた。
ハ 一体利用土地について
 (イ)土地の形状等
  A 令和3年1月1日現在における一体利用土地は、現況地目が宅地、地積が514.08㎡の土地であり、その後に形成された本件土地を包含する土地である。一体利用土地は、北側で接する道路との間口が約14m、東側で接する道路との間口が約20mある角地であり、奥行き約28mの階段状の形状をした土地である。
  B 一体利用土地の蔭地割合は約42%である。
 (ロ)固定資産評価
  一体利用土地が接する道路の令和3年度の固定資産税路線価は、北側が××××であり、東側が××××であった。
ニ 所在の土地(以下「本件近傍地」という。)について
 (イ)土地の位置及び形状等
  A 令和3年8月27日現在における本件近傍地は、現況地目が宅地、地積が105.29㎡の土地であり、北側で接する道路との間口が約2mあり、奥行き約20mの細長く延びる敷地(通路部分)の先に袋地があるという形状の不整形な土地(いわゆる旗竿地)である。
    なお、本件近傍地は、本件土地の北方向約50mの位置に所在している。
  B 本件近傍地の蔭地割合は約55%である。
 (ロ)固定資産評価
  本件近傍地が北側で接する道路の令和3年度の固定資産税路線価は××××であり、本件土地の路線とは異なる路線であるが、その路線価は同額である。
  なお、本件近傍地に係る令和3年度の台帳登録価格は××××××(1㎡当たりの価額××××)であった。
ホ 土地利用に係る行政上の規制等について
 令和3年1月1日及び令和3年8月27日現在における上記イないしニの土地が所在する地域に係る行政上の規制等は同一であり、いずれも、都市計画法上の用途地域は第一種低層住居専用地域、建築基準法上の建蔽率は50%、容積率は80%であった。
へ 本件土地及び本件近傍地の固定資産評価に係る補正について
 上記基礎事実等の(3)及び上記イないしホの各事実を基に、固定資産評価基準に則して本件登記の申請日における本件土地及び令和3年度の本件近傍地の固定資産評価に係る画地計算法の補正率を算定すると、別表2(略)のとおりとなる。
(3)検討
イ 本件登記官認定額について
 (イ)上記のとおり、本件土地は台帳登録価格のない土地であるところ、原処分庁は、本件土地の類似不動産として、本件土地と重なる部分のある××××××に係る令和3年度の固定資産土地公課証明書に記載された1㎡当たりの価額××××に本件土地の地積151.32㎡を乗じて算定された価額を、課税標準たる本件土地の価額として認定した。
 (ロ)この点、上記のとおり、××××××の1㎡当たりの価額××××は、一体利用土地として評価された価額であるため、本件登記官認定額の当否を検討するに当たっては、一体利用土地が、施行令附則第3項に規定されている、台帳登録価格のない本件土地の類似不動産と認められるか否かについて検討すべきである。
 (ハ)確かに、上記のとおり、本件土地は一体利用土地に包含されており、一体利用土地と本件土地とはいずれも現況地目が宅地である。また、土地利用に係る行政上の規制等も同一である。
 (ニ)しかしながら、上記のとおり、一体利用土地は北側で約14m及び東側で約20m接道する角地であるのに対し、本件土地は東側で約2m接道する固定資産評価基準の間口狭小補正の対象となる土地であり、間口距離及び接道状況は明らかに異なっている。
  また、一体利用土地の地積は514.08㎡であったが、本件土地は一体利用土地をおおむね4分割したうちの一つの土地(地積151.32㎡)にすぎず、一体利用土地の主たる土地でない上、上記のとおり、一体利用土地は蔭地割合が約42%の不整形な土地であるのに対し、本件土地は旗竿地で蔭地割合が約63%の不整形な土地であり、その蔭地割合に21%もの開差があって土地の形状も大きく異なっている。
 (ホ)これらのことからすると、一体利用土地と本件土地とは、間口、接道状況、地積及び形状の点で大きな差異があることから、一体利用土地は台帳登録価格のない本件土地の類似不動産とは認められない。
  したがって、××××××の台帳登録価格を基礎として算定された本件登記官認定額は、類似不動産の台帳登録価格を基礎とした価額とは認められないから、施行令附則第3項の規定に従って算定されたものということはできない。
ロ 本件土地の価額について
 以下、本件土地の価額を算定するために、類似不動産について検討した上で、本件土地の価額を検討する。
 (イ)当審判所の調査の結果により、類似不動産の候補地として、本件近傍地を選定したところ、本件近傍地と本件土地とを比較すると、上記のとおり、現況地目はどちらも宅地であり、形状はどちらも旗竿地である。また、地積や奥行きも近似しており、どちらの間口も約2mで固定資産評価基準の間口狭小補正の対象となる土地である。さらに、上記のとおり、路線は異なるものの、その固定資産税路線価は××××と同額であり、用途地域並びに建蔽率及び容積率等の土地利用に係る行政上の規制等も同一である。
  以上のことからすると、本件土地と本件近傍地とは、本件登記の申請の日において、形状、地積、間口、奥行き、利用状況、接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容及び固定資産評価に適用される路線価の点で類似していることから、本件近傍地は本件土地の類似不動産であると認めるのが相当である。
  したがって、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件近傍地に係る令和3年度の台帳登録価格を基礎とした価額とするのが相当である。
 (ロ)そして、本件近傍地に係る令和3年度の台帳登録価格を基礎として本件土地の価額を検討すると、当審判所の調査及び審理の結果、本件土地と本件近傍地の固定資産評価に係る各種補正率の差異が明らかとなったことから、同差異を踏まえた価額とするのが相当である。すなわち、同差異の補正をすると、本件近傍地の1㎡当たりの価額××××について、本件近傍地に係る不整形地補正率0.648を標準化する補正(割戻し)を行った上で、本件土地に係る不整形地補正率0.600を乗じ、さらに、本件土地に係る奥行価格補正率0.97を乗じると、本件土地の1㎡当たりの価額は××××(1円未満切捨て)となる。
 (ハ)したがって、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、別表3(略)のとおり、上記(ロ)の1㎡当たりの価額××××に本件土地の地積151.32㎡を乗じた××××××(1円未満切捨て)であると認められる。
(4)原処分庁の主張について
 原処分庁は、上記の「原処分庁」欄の(2)のとおり、××××××が他の土地と一体的に評価されているかどうかは公示されておらず、登記官が知り得るものではないから、これを考慮していないことをもって不合理とはいえない旨主張する。
 しかしながら、登録免許税法においては、登記官認定額の適法性を検討するに当たって、登記官が知り得るか否かという事情を考慮しなければならない旨の規定はない上、本件通知処分時には、本件土地の令和4年度台帳登録価格が本件登記官認定額と相当にかい離していたことが明らかとなっていたのであり、原処分庁が上記かい離の理由、ひいては××××××がどのように評価されていたかを調査することが不可能であったとはいえない。
 したがって、原処分庁の上記主張には理由がない。
(5)本件通知処分の適法性について
 別表3(略)のとおり、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は××××××となり、登録免許税の額は××××となるから、これと本件納付税額との差額である91,500円については過大に納付されたこととなる。
 したがって、還付通知をすべき理由がないとした本件通知処分は違法ということになるから、その全部を取り消すべきである。
(6)結論
 よって、審査請求には理由があるから、原処分の全部を取り消すこととし、主文のとおり裁決する。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索