コラム2024年01月01日 年頭所感 年頭所感 財務省主税局長 青木孝德(2024年1月1日号・№1009)

年頭所感
青木孝德 財務省主税局長


 令和6年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年12月22日に「令和6年度税制改正の大綱」を閣議決定しました。
 令和6年度税制改正では、まず、所得税・個人住民税の定額減税により、賃金上昇と相まって、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と好循環の実現につなげていきます。賃上げ促進税制を強化し、赤字の中小企業へのインセンティブとして繰越控除措置を創設する等、賃上げにチャレンジする企業の裾野を広げます。
 また、国として特段に戦略的な長期投資が不可欠な投資を対象に生産・販売量に応じて税額控除を行う戦略分野国内生産促進税制、国内で自ら研究開発した知的財産権から生じる一定の所得の所得控除を行うイノベーションボックス税制を創設し、供給力強化に向けた国内投資を促進します。
 こうしたデフレ脱却に向けた取組みに加えて、経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直しを行います。
 子育て支援税制として、令和6年分の住宅ローン控除、住宅リフォーム税制を拡充するほか、生命保険料控除の拡充も含め、令和7年以降についても検討します。高校生年代の扶養控除は、全ての世帯で児童手当の拡充と合わせて実質的な支援が拡充されるよう見直すこととし、ひとり親控除の拡充とあわせ、来年の税制改正で適用時期について結論を得ることとします。
 国外事業者がプラットフォームを介して国内向けに行うデジタルサービスについて、国外事業者に代わりプラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度(プラットフォーム課税)を導入します。
 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、令和5年度及び令和6年度税制改正大綱に基づき、適当な時期に必要な法制上の措置を講じる趣旨を令和6年度の税制改正法の附則に規定します。
 今後も、税制改正に当たっては、その時々の経済社会情勢に配慮しつつ、構造的な変化を踏まえ取り組んでまいります。新しい年が皆様にとってご多幸の年となりますよう心から祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。

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